毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 3 回
【室内建具(障子・ふすま・ドア)】
 その昔に清少納言は「香炉峰の雪は」と問われ、御簾 (みす)を上げてみせて、喝采をあびました。御簾は高級な「すだれ」のことですが、当時としては室内建具の一種だったと思われます。室内ドアは、洋風のものですが、障子・ふすまはまったくの和風で、日本の古くからのさまざまな工夫と『なるほど』がつまっています。先人たちの工夫の跡を楽しみながらしっかり学び、その上であなたのこだわりに合わせて選びたいものです。

●建具の部位の名称
建具:
窓、ドア、障子、襖などで、部屋の出入り口の開口部を仕切るものが「室内建具」。
建具枠:
壁の開口部で、戸や扉そのものを支える枠。支え方は、レール・溝・丁番などです。枠は、通常現場で施工しますが、最近は工場で事前に加工して現場で組み立てるだけのことも多くなりました。「枠つき建具」といい、セットになって搬入されます。
丁番(ちょうばん):
ドアの開閉をさせるために扉と建具枠をつなぐ金物。また、レール・戸車・ドアノブ・ドアクローザーなどを含め「建具金物」といいます。
吊元(つりもと):
扉のどちら側に丁番をつけるかで使い勝手が変わります。丁番をつける側を吊元といいます。主に「動線(ひとの動き)」によって吊元をどちらにするかを決めます。
桟(さん):
框戸の周囲にある部材のうち横方向に入っている材。上桟・横桟・下桟といいます。(上框・下框ということもあります)
框(かまち):
框戸の周囲にある部材のうち縦方向に入っている材をいいます。
鏡板(かがみいた):
1枚の平たい板。框戸の場合は、框と桟の間にはめ込みます。
下地骨:
襖の骨組み。割り返し骨、十文字骨などがあります。
格子(こうし):
障子の骨組み。組子(くみこ)ということもあります。障子紙をはって障子になります。格子のデザインによってさまざまな障子の名称があります。
●開き方から見た室内建具の種類
開き戸:
扉がスイングして人が出入りするものです。片開き扉、両開き扉があります。また、2つの扉の大きさが違う親子扉もあります。通常開き戸は、洋室と廊下、洋室と洋室の間などに使われます。ふつうは手前か向こう側かどちらかに開くようになっていますが、特別な丁番を使って、手前にも向こう側にもスイングするようになった扉もあります。これは「自由扉」といいます。
引き戸:
戸が左右に動くものです。片引き戸、両引き戸、引き込み戸、引き違い戸などがあります。開放性が高いのですが、戸締りは一般的に難しいです。和室と和室、和室と廊下の間などに使われます。
和室と洋室の間の建具:
どちらの部屋に重きを置くかによって、引き戸になったり、開き戸になったりします。また、表面の仕上は向いている部屋によって変えるのが一般的です。和室側が襖で、洋室側は合板仕上げなどになったものを「戸襖(とぶすま)」といいます。
折れ戸:
戸が折れて開閉する戸(扉)です。浴室の入り口などに使われます。アコーデオンドア(カーテン)などもこの種類です。
●戸の種類
框戸(かまちど):
周りの枠組み材によって強度を保っている戸(扉)。鏡板の部分が無垢の板でできた重厚感のあるクラシックドア、ガラスをはめ込んだガラス戸、細い羽根を斜めに使ったガラリ戸などがあります。
桟戸(さんど):
框戸に比べ、周りの枠組み材が細く、全体を軽くした戸(扉)。強度は枠組みの中に入る沢山の細い桟に分散させています。舞良戸(まいらど)、格子戸などがあります。雨戸なども同じ仲間です。
フラッシュ戸:
住宅の室内に使われる戸としては最も多いもので、表面を覆う材料(面材-めんざい-)の強度によってもっている戸(扉)。面材の多くは合板です。仕上がペンキ塗りのときはシナ合板(微密な木質で木肌が大変滑らかで表面が美しい合板。)、クロス張りのときはラワン合板が使われますが、天然木化粧合板(スギやチークなどの天然木を薄くスライスしたものを合板の表面に貼った高級合板)やプリント合板(木目などを印刷した紙を表面に貼った合板)を仕上材と兼ねて使うこともあります。
障子(しょうじ):
繊細な格子のデザインと障子紙を通したやわらかい光が「和」の雰囲気を作ります。和室と縁側の間だけでなく、サッシの室内側に作ることも多くあります。障子紙も、国産楮(こうぞ)使用の手漉きの高級品から、レーヨン・パルプなどの廉価品までいろいろあります。
また、障子の張替えのしやすい商品も出ていますので、気軽にご自分でしてみてはいかがでしょう。張替え方法はアサヒペンのホームページに詳しく解説されていました。
襖(ふすま):
桟戸の仲間ですが、表面の仕上は和紙が主で、周りの縁(ふち)の仕上(漆塗りが最上級。カシュー塗りなど)、引手(取っ手)のデザインなど和風建具の代表です。仕上の和紙は、「鳥の子」と呼ばれる雁皮(がんぴ)を原料とした越前和紙が有名。手漉きのものが「本鳥の子」、上新鳥の子、新鳥の子など「本」のつかないものは機械漉きです。なお、価格は種類によって相当異なります。
襖の張替えも、縁の扱いなど紙の張替えだけでない難しさもありますが、仕上げたときの達成感がありそうです。詳しくは、アサヒペンのホームページで。
●換気との関連
アンダーカット:
換気・通風のために、扉の高さを短くし、扉の下と床面に隙間を開けること。音も漏れることになるので、注意が必要になります。
換気ガラリ:
扉の下のほうに作る換気・通風のためのガラリ小窓。
●バリアフリーとの関連
段差(だんさ):
床がフラットになっていないことを「段差がある」といいます。例えば、廊下とトイレの床そのものはフラットですが、トイレのドアがついているところには、通常建具枠があり、その下部(沓摺(くつずり))が出っ張った形になります。車椅子などで進入するためには、足元の建具枠がない三方枠にして段差をなくすことが必要です。
有効開口幅:
自走式の車椅子が通るためには、850mm以上の幅が必要だと推奨されています。これは、建具枠・丁番や扉自身の厚みを除いた数値ですから、普通より相当広めになることを覚えておきましょう。
吊り戸:
ドアの開け閉めは、高齢者や障害者にとってなかなか大変です。そこで、軽く引ける吊り戸が良いといわれています。戸を引き込む壁があるかどうかなど解決すべき問題もありますが、簡単な自動締まり装置のついたものもありますので検討してみましょう。
トイレの開き勝手:
開き戸の時は、必ず廊下側に開くようにします。万一内側で人が倒れたときに、助けやすくするためです。
●特殊ドア
防音ドア:
ピアノを練習したり、ドラムをたたいたり、大音響の再生をしたかったりするときには、部屋の防音をすることになります。そのとき忘れてはいけないのが「防音ドア」です。扉本体も遮音性のあるものを選びますが、建具と建具枠の隙間を埋める気密材や気密枠、さらに、がっちり閉まる特別な錠(グレモン錠)も必要になります。
●解説イラスト
文章だけでは解りにくいことをイラストにしました。
下のボタンをクリックしてください。
All Rights Reserved Copyright
Harumi Design Center