毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 5 回
頭の中がそのまま住処になっています
清水國明 (タレント・自然暮らしの会代表)
●日々進化する森の中の秘密基地

 富士山が間近に迫る姿を見ながら中央高速河口湖インターを降り、国道を5分ほど走った所で私道に入ると、もうそこは別世界。鬱蒼とした緑と木立のトンネルが出迎えてくれる。さらに緩やかな坂道を上ると‥、森に囲まれた手作り秘密基地といった感じの建物が現れた。ここが清水さんの住居(別宅)兼アウトドア楽校(あえて“学”ではなく“楽”)である。昔は幼稚園として使われていた建物を改築したもので、その名も『清水國明の河口湖自然楽校』。
 「週の半分近くはココで暮らしているかな。家族? 子供はもう大きくなったので東京暮らしがいいって言ってね、いってらっしゃーいという感じで(笑)、僕だけ別宅住まいを楽しんでいるんですよ」と裏庭で大工仕事をしながらニコヤカに取材班を迎えてくれた清水さん。つくっていたのは、建物からスリッパのまま、裏庭の“たき火場”へ行くことが出来る【長い桟橋】と、たき火のまわりに座れる【屋根付きベンチ】。そのすべてを清水さんは仲間と一緒に自分たちでつくったという。
 「もう何日徹夜しても夢中になってつくっちゃう。でも全然苦じゃない。もう楽しくて楽しくて。そんな風に日々なにか出来ていくのがこのうちなんですよ」。そう、清水さんの秘密基地は、ガウディのサグラダ・ファミリア聖堂のように進化する住まいなのだ。

●うちの裏山は富士山!森の真ん中の廃屋をリフォーム


 1995年から『親子の自然体験・子育て支援』として、【学ぶ】のではなく【楽しむ】をテーマに『自然楽校』というイベントプログラムを各地で主催してきた清水さん。実は、その拠点が欲しいと思っていた時に、偶然出会ったのが富士山麓の廃屋になっていた幼稚園だった。
 「元は外国人の園長さんが経営していた幼稚園でね。大きすぎず小さすぎずで凄く気に入って。裏山が富士山っていうのが最高でしょ?(笑)でも最初はカビで壁もボロボロやった。」
 しかし、そこは35歳の時にログハウスづくりにはまり、好きが高じて今やプロフェッショナルのログビルダーとしても活躍する清水さんだ。週末職人(普段は会社員や別に職業を持ちながら、週末はログビルダーとして家をつくる清水さんの友人達)と呼ばれる仲間と共に、あれよあれよという間に幼稚園の教室を“住居兼だれでも参加できる物づくり工房”にリフォームしてしまった。しかも、壁はすべてシックハウス対応! 「ゲストに呼ばれた住宅関係のイベントでこの壁材の存在を知って気にいってね、ちょうだいよってメーカーの人に言ったら、この楽校の主旨に賛同してくれて譲ってくれたんです。言ってみるもんやねぇ(笑)。外の空気がいいんだから家の中もいい方がいいでしょ? 普通の家でもそうなんだけどね」
 今、そこに住み込みで校長先生をやりながら、タレントとしての仕事がある時や家族の住む家に用がある時だけ東京に戻る生活をしているという清水さん。
 早速、そんな手作りリフォームで蘇った工房と住まいを案内して頂いた。

●清水さんの頭の中がそのまま住処になっています

 1Fは【ルアーづくり工房】【ナイフ制作工房】【絵手紙工房】【ウッドクラフト工房】【カヌー工房】などの6部屋&広いホール・キッチン・お風呂・トイレ。2Fは清水さんの住居と宿泊出来る部屋。
 工房には、ナイフの研磨機をはじめ様々な物づくりの道具が揃えてあり、“ものづくり大好き”という“清水さんの頭の中をそのまま部屋にした”ようなつくりになっている。さらに【たき火が出来る裏庭】や【富士山という裏山】もある。森を探検するもよし、たき火にあたりながら本を読むもよし、ギターをつま弾くもよし‥。ここはまさに清水さんが思う《楽しむ》を体現した住処なのだ。
 この自然楽校の会員になった人は、事前に申し込んで材料費さえ払えば、そんな清水さんの頭の中=工房や裏庭で、道具を使って自由に楽しむ事が出来るシステムになっている。

●校長であり住人であり、ちょっとオセッカイなオジサン

 主に週末になると、自然楽校にはナイフやルアーづくり・ウッドクラフトなどの手作り講座に参加しようと、家族連れや様々な人たちが訪れる。講座はまず焚き火【火をおこす】事からはじまる。
 「火って人が生きるために基本的に必要なもの。だからまず火をおこしてもらって原始にもどってもらうんです。」
 でも中には、隠れてライターを使ってしまう人もいるとか。「それはそれでねハハハ」と笑う清水さん。後は、ほぼほったらかし! 道具の使い方など基本的な指導以外はしない。
 「物づくりの基本は自分で工夫して苦労してつくりあげ完成するところ。わからない所は見て盗む!(笑)つまりそれは自分で遊び方を学んで、楽しむことにつながるんです…いきすぎた指導はその一番の醍醐味を奪ってしまう。最初はとまどう人もいますが、帰る頃にはもうみんな自分の世界に浸っていますよ(笑)。昔は釣りや森で遊びたいと思ったら、肝心な事だけ教えてくれる近所のちょっとオセッカイなオジサンが田舎にいたでしょ? 僕はそれなんです」
 ここは自分なりのやり方で“自分と向き合う”時間を楽しむ“楽校”。清水さんはその校長先生であり、住人であり、ちょっとオセッカイな田舎のオジサンなのだ。
 豊かになりすぎて「楽(ラク)すること」と「楽しい」が混同されている昨今。ホントに楽しいことは、大変だったり、時に失敗したりすることもあるという清水さん。

●新たな自分との出会い&富士山現象?

 「そんな時に、失敗して“自分はアホやな”と思ったり、うまく出来て“自分凄いやん”と思ったりと、新たな自分と出会えるんですよ。それが一番楽しい!」
 清水さん自身も、この秘密基地に住むようになってから、自分自身の人生にさらなる変化を感じるとか。さらに清水さん言う、「実はほんまにあるんですよ、富士山パワー、富士山現象!。」
 次回は、清水さんが実感している富士山麓暮らしの不思議なる力と清水流“生き様”をご紹介!(3月23日公開予定)
タレント・自然暮らしの会代表

略歴

1950年 10月15日福井県に生まれる。
1976年 京都産業大学法学部を卒業。
1973年 芸能界デビュー。

テレビ、ラジオの司会やコメンテータ、新聞雑誌への執筆活動など幅広く活躍中。
芸能界きってのアウトドア派として自然体験イベントや講演活動も多い。家族と共に楽しむアウトドアライフは、ライフワークでもある。
 
1995年、アウトドアネットワーク<自然暮らしの会>を結成、代表を務める。

役職
  • アウトドアライフの全国的ネットワーク<自然暮らしの会>代表
    自然志向の人達に向けて、ログハウスやカヌー作り等、様々な自然体験の場を提供中。現在、会員数は5,000名を越えている。
    <自然暮らしホームページ:http://www.bnl.co.jp/>
  • 二輪車安全振興会理事
    オートバイの安全普及活動『SAVE OUR LIFEキャンペーン』を継続中。
  • JRB(ジャパン・レスキューサポート・バイクネットワーク)顧問
    阪神大震災でのボランティア活動の経験を踏まえ、災害に対するオートバイのレスキュー組織。
  • 「自然災害に対する国民的保障制度を求める都民会議」代表世話人
    『100回の防災訓練よりも、1回のキャンプを』と、アウトドアライフのノウハウを防災に役立たてようと提唱。
  • 「特定非営利法人 日本釣り環境保全連盟」理事
    釣り場の環境保護を主目的として設立。水辺の環境保護を提唱中。
All Rights Reserved Copyright
Harumi Design Center