毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 18 回
【「契約」について】
住まいづくりには、たくさんの人がかかわり、非常に多くの費用(ローン手数料、設計報酬・監理報酬・工事費など)がかかります。理想の住まいを実現するために、あなたを支える専門家の力が必要となります。契約は、専門家を動かすために大変重要な行為です。 設計や施工を依頼する先には、これまで手がけた住まいの写真や現物を見せてもらい、住まいづくりの流れ・どこから費用が発生するのかなど重要事項を確認しましょう。考え方や物事の進め方に共感でき、一緒に住まいをつくるパートナーとして信頼できる依頼先に出会えたら、さあ契約です。
●契約は3種類
A.設計契約 (
建築設計業務
委託契約)
建築士事務所登録をしている会社に設計業務を委託する契約です。主な業務は、プランの検討、法規等諸条件の整理、工事をするための設計図書を作成です。
B.監理契約 (建築監理業務委託契約)
建築士事務所登録をしている会社に監理業務を委託する契約です。主な業務は、工事請負契約について施主の立場に立ったアドバイス、工事については施主に代わって設計図書の通りに施工が行われているかを確認します。条件が変わり設計変更が必要な場合に施主にとって最善策を検討し、工事請負契約が円滑に遂行されるように
技術的な協力
をします。また、工事費支払い請求の内容と現場が合致しているか確認し、施主に報告します。
C.工事契約 (工事請負契約)
建設業の許可
を受けた会社と契約します。施工会社(請負者)は、設計図書に示した工事内容を見積書の請負代金と契約書に示す工期で完成させる事を約束し、施主(発注者)は、工事の成果に対して契約書で定めた支払条件通り請負代金を支払う事を約束する契約です。現物を確認してから結ぶ売買契約と違い、請負契約は
書類
を基に結ぶ契約なので、その内容がとても重要です。
●
契約書
への捺印は慎重に
契約の一週間ほど前に「契約書(案)」と「約款」、「契約に必要な書類」を契約先に提出してもらい、じっくり目を通してから契約に臨みましょう。「約款(契約内容の説明書)」を読み解くポイントは、トラブルが起きた時の対処方法を想定しながら読むことです。3種類の契約とも、以下のような内容を協議して定めます。わからない所は必ず質問し、納得した上で捺印しましょう。
支払いの条件→何回分割にするのか、どの段階で支払うかなど資金計画に関係します
履行遅滞・違約金→竣工が遅れた場合など契約遂行中のトラブルに関係します
瑕疵担保→瑕疵となる項目の内容、損害賠償を請求できる期間など住み始めてからの不具合が発生した場合に関係します。
等々
その他、保証制度などを利用する場合には、登録料や書類作成等の費用が発生するので別途協議が必要です。
工事契約締結後の内容変更は、工事費、設計報酬共に追加費用が発生します。設計、見積りの段階で設計者と充分検討し、手戻りと追加支出を生じさせないような、事前の努力が大切です。
●「契約」と言うと、なんとなく身構えてしまいますが
お互いに不信感を抱いてしまったら、せっかくの住まいをつくる楽しい過程が台無しです。「契約」は、そういった状況にならないよう法律の助けを借りて、信頼関係を補完する手段の一つです。すまいをつくるパートナーとして縁あって出会えた人達と、良い信頼関係を築いていきたいですよね。そんなとき私の考えるキーワードは「他人」です。どんなに長い付き合いの友人でも他人であることに変わりはなく、想いが完全に一致することは難しいことです。まして初めて会う人に、住まいに対する「要望や期待していること」を完全に察してもらうのはとても困難なことです。まとまっていなくても住まいに対する想いを話したり、イメージに近い写真の切抜きを用意するなど、理想の住まいの為に「他人」に「伝える努力」をする事が私のオススメです。その想いに対してどう応えてくれるか、その辺りが住まいのプロである「他人」と協働する楽しさであると思います。自分の感性を大切に、住まいづくりを楽しんでくださいね。
[住まいのナビゲーター 八木 雅子]
用語解説
建築設計業務
技術的な協力
建設業の許可
書類
契約書
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