毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 14 回
ドイツの環境に優しい住まいと暮らし
今回は、ドイツのハンブルグ市にある環境に配慮してつくられた住まいのプロジェクトを2つご紹介します。一つは20年前に開発された街、もう一つは2年前に完成した集合住宅です。ハンブルグ州は古くから省エネへの取り組みをしており、1930年代には学校などの公共の建物での管理暖房がスタートしています。1980年代には、公共のプールで太陽熱が利用され、1990年代には住民の省エネ意識を高めるために「フィフティフィフティプロジェクト」がスタートしました。これは、学校などで使われた水や電気の使用量をデータ化して、節約した分を行政と学校で折半し、自由な使い方を認めるという取り組みです。このような行政の取り組みにより住民の省エネに対する意識は、日本に比べ高いものとなっています。
●アラメーエ住宅団地
ハンブルグ市の東南にあり都心まで20分という通勤距離の20年前に開発されたニュータウンです。街全体に水路がめぐらされていて、水辺の居住を楽しむ工夫がされており、エコロジーに配慮した実験住宅やソーラーパネル、屋上緑化などを随所で見ることができます。また、ヒューマンスケールをコンセプトにした街づくりで、住宅の高さは樹木より低い4階建てまでに制限されています。
路地のある街
大きな通りから少し中に入ると写真のような路地が現れます。大規模に開発された新しい街は、合理的に区画された街並みとなり、あまり路地のような空間はないようですが、この街はヒューマンスケールをコンセプトにしているだけあり、足を踏み入れると人間のサイズに合った心地よい空間があらわれ、心がほっと落ち着きます。
駐車場にもソーラーパネル
出来る限り多くの自然の恵みを享受するために駐車場にもソーラーパネルが設置されています。
どこまでが屋根?
自然にまかせた屋上と壁面の緑化で、まるで立体花壇のようです。
写真はクリックすると拡大表示されます
●ルルップ
ハンブルグの中心地より北西8kmに位置し、入居予定者が計画段階から参画し2年前に完成した集合住宅です
ベランダ設置型のソーラーパネル
自立型のバルコニーにソーラーパネルが設置されています。夏の日差しを遮る庇 (ひさし) にもなるものです。
ベランダからの景色
住居棟に囲まれて共同のスペースがあり、子供達の遊び場となっています。緑化屋根には高山植物が植えられています。住民の方が「鳥が樹木の種を運んでくるので大きくならないように監視しています」と楽しげにお話していくれました。
住宅が完成してからも住民の方々は月一回のミーティングを重ねているためか、ここの暮らしを楽しみ、とても満足しているようです。
●おわりに
ヨーロッパの住まいや街並みを視察して感じたことは、省エネなどの技術は決して日本に比べて高いものではありませんが、住民の意識が日本に比べ大変高いということです。ヨーロッパ連合が出来たようにヨーロッパの人々には共同体意識があり、一国単体で物事を考えるのではなく、もう少し大きな規模で生活を考えているのでしょうか。そしてその延長線上に地球規模の考え方があり、エネルギーを捉えているのではないでしょうか。特にドイツにおいては原子力エネルギーの利用を廃止することが決まり、行政が具体的に省エネに取り組んでいることも大きな要素となっているようです。
日本における住まいづくりでは、「環境への配慮」が優先順位のトップになることは残念ながらありません。イギリスで見た100年越しの街づくりや、オランダやドイツの省エネに対する行政の具体的な取り組みは、明らかに住民の意識を変えていると感じます。そして、環境に優しい住まいや暮らしを実現させることで、その環境が、そこに暮らす人々を優しくしていくのだと思います。日本に住む私たちも同じ地球の一員として、優しい気持ちで暮らせる住まいや街が実現するために晴海デザインセンターでの活動が一助となればと思います。
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