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Housing Column。
第 62 回
【小粋で鯔背 (いなせ) な秋を暮らす】
秋の風情の中にも小粋な雰囲気で彩る暮らし

 日本の四季、文化の中でも様々な情景や情緒を彩り鮮やかに飾る季節『秋』がもうそこまで訪れています。世間では「読書の秋」「食欲の秋」「文化、芸術の秋」「スポーツの秋」「行楽の秋」など人々が過ごし易く、活発になる季節でもあります。
 今回は、江戸時代の「粋」「鯔背」な秋の暮らし方をご紹介します。

●「粋」「鯔背」の意味はご存知でしたか?

 「いき」とは、江戸時代後期に、江戸深川の町人の間で発生した美意識 (美的観念) のことでした。
 身なりや振る舞いが洗練されていて、格好よいと感じられることや、人情に通じていること、遊び方を知っていることなどの意味を持った言葉として表現されていたのです。
 他に「いき」には、単純美への志向など、わび・さびなどの日本の美的観念と共通部分もあり現在では「さっぱり」「すっきり」などという、より親しみやすい意味にも使われるようになり、意味は更に拡大され、現在でも日常的に使われる言葉となったのです。
 
 「いなせ」とは江戸時代、日本橋の魚河岸 (うおがし) の若い衆が結った髷 (まげ) の形が“ぼら”の幼魚の鯔 (イナ) と言う魚の背に似ていたことに由来すると言う説が現在有力で、当時この髷は、鯔背銀杏 (いなせいちょう) と呼ばれていたそうです。そしてこの鯔背銀杏 (いなせいちょう) は、寛政 (1789年〜1801年) の頃から一般にも流行したと言われているのです。
 鯔 (イナ) は昔から東京湾でよく捕れ、江戸っ子には身近な魚でした。そして、魚河岸には粋なお兄さんが多かったことから、評判が広まって、『いなせ』が、”江戸っ子のいなせな”という意味に使われ、粋 (いき) で威勢がよく、さっぱりとして男らしいさまや、そのような気風を表すようになったということなのです。
 
 この「いき」「いなせ」の両方とも、実は江戸からの語源として文化に根付いていたのです。
鯔 (イナ)

●江戸の粋な色彩:秋


 涼風が立つと、深みのある色が不思議と急に美しく見えてくる季節となります。特に咲く花の色、木の実の色、枯れ葉の色など。江戸時代では、その季節毎の葉花の色を季節色とし、衣類、食、文化へと反映し粋に楽しんでいたそうです。
 ここでは、秋に親しまれた主な色を紹介したいと思います。

・桃色 (ももいろ)
桃の花のような薄い赤。現在では外来語の「ピンク」に取って代わられている。
・葡萄色 (えびいろ)
暗い赤。古くはヤマブドウの仲間をエビカズラと呼んだ、その実の色。
・小豆色 (あずきいろ)
やや茶色っぽい、くすんだ赤。小豆の実の色。粋な色として、江戸で一番好まれた。
・栗色 (くりいろ)
栗の実の色。やや黄色みをおびた、暗い赤。小豆色よりも濃いめの黄赤。
・柿色 (かきいろ)
柿の実の色。橙色やオレンジ色よりも赤みが強い。また、赤茶色を意味することもある。
・朽葉 (くちば)
落ち葉のような、くすんだ黄赤。古くからシックな色として、おしゃれな人に好まれた。
・海松色 (みるいろ)
海草の一種でミルという植物。暗い黄緑、海藻の名が色名に用いられるのは珍しい。
・木賊色 (とくさいろ)
くすんだ青緑。色名はトクサという植物に由来する。粋な感じの色。

・桔梗色 (ききょういろ)
キキョウの花のような、あざやかな青紫。あでやかな色。



 まさに、花鳥風月を嗜む、江戸時代の人たちの「いき」で「いなせ」な楽しみ方となっていたのですね。現代でも、彩色は様々ですが、自然の色彩に勝る物は無いのかもしれませんね。

●江戸の粋なお月見


 江戸時代から伝わる秋の代表的なイベントといえば「月見」がありますが、現代でも行われるとても風情のある粋なイベントといえるでしょう。
 さて、江戸時代の人たちの粋な月見とはどんな内容だったのでしょうか。
 当時月見は宴として行われていました。庭には萩の花が咲き乱れ、部屋には屏風を飾り付け、盆には料理、銚子と盃があり、酒宴を行っていたのです。現在で言うホームパーティーという所でしょうか。この時代の宴も現在と同様音楽は付き物で、胡弓、琴 (箏)、三味線を弾く人がおり合奏を楽しんでいたのです。これら宴で使用された琴、三味線、胡弓の合奏を三曲とよびましたが、幕末頃から胡弓の代りに尺八が用いられるようになったといわれております。
 また、その場を彩る植物にもこだわりがあり、江戸の人々は主に萩を好んでいたそうです。萩と言えば秋の七草です。萩は万葉の時代から日本人に愛され、秋の七草も山上憶良の歌に始まるもので「ハギ・オバナ (ススキ)・クズ・ナデシコ・オミナエシ・フジバカマ・キキョウ」と萩は筆頭にあげられているのです。
 当時のお月見は、歴史、文化を大切に飾る程に粋な物として行われていたのですね。
 
 今年のお月見は、江戸時代の内容にちなんだホームパーティーというもの、いつもと違うちょっと小粋な風情を感じられるかもしれません。
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