毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 91 回
【住宅ローンの基礎知識】


 前回のコラム「無理のない資金計画を立てよう!!」では、住まいづくりの早い段階からの資金計画をお勧めしました。
 住まいづくりが具体的になってくると、こんな暮らしをしたい、あんな家に住みたい…など、要望がたくさん出てくることと思います。せっかくの夢のマイホームですから、全ての要望を叶えたいですよね。しかし現実はそう甘くはありません。要望の数と住まいづくりにかかる費用は、比例しているといっても間違いありません。どこまで要望を叶えられるかを知るためにも、自分たちがいくらまでならローン返済できるかを、しっかり把握することが必要になってきます。
 最近では、インターネットで手軽に返済計画のシミュレーションが出来るようになりました。ゲーム感覚で簡単にできるので、自分なりにいろいろ試してみると、どのようにローンを組むといいのか、興味が沸いてくると思います。
 そこで今回は、知っておいていただきたい住宅ローンの基礎知識として、返済方法の種類について、お話したいと思います。

●「元利均等返済」と「元金均等返済」の違い

 住宅ローンの返済方法には、「元利均等返済」と「元金均等返済」の2種類があります。
元利均等返済
元金と利息を含めた総返済額を、返済回数で割っていくので、月々の返済額(元金と利息の合計)が一定になるような返済方法となっています。
元金均等返済
元金を返済の最初から最後まで変わらず均等に支払っていくので、借りた金額を返済回数で割った額に、残高に対する利息を上乗せして返済する方法です。

借入額2,000万円、金利 (年率) 3.00%
返済期間30年、毎月払いの場合

返済方法 返済期間 毎月の返済額 総返済額
元利均等返済 30年 8万4320円 3035万5392円
元金均等返済 30年
第1回目 ※10万5555円
最終回(360 回目) 5万5894円
2902万4914円
元利均等返済 21.4年 ※10万5575円 2713万2381円

元金均等返済30年の第1回目とほぼ同じ金額で、元利均等返済を組んだ場合の比較

 元金均等返済元利均等返済と比べると、当初の支払い額は多くなりますが、元金を毎回均等に返済していくので、確実に元金が減っていきます。したがって、それに伴う利息も少なくなり、返済が進むにつれて、月々の返済金額も減っていき、上の表からもわかるように、元利均等返済に比べると総返済額が少なくなります。借入れ額、返済期間、金利等、同じ条件であっても、元利均等返済を選ぶか、元金均等返済を選ぶかで、総返済額が違ってきます。
 元利均等返済は、返済の最初から最後まで、返済額が変わらないので、返済計画が立てやすいのが特徴です。一方、元金均等返済は、当初の返済金額が多くなるので、ローンを組むための収入基準を満たすためには、より多くの年収が必要になります。例えば、夫婦共働きで比較的収入面に余裕がある方や、子供が社会人になり家計に余裕が出来た方、子供の教育費がかかるまで少し余裕がある方等、ライフスタイルに伴う収支計画をしっかり把握していれば、月々の返済額を一定にする必要はないかと思います。(上記表 ※)
 
 ただし、元金均等返済を利用できる金融機関が限られているので、利用できないケースもあります。もともと元金均等返済で毎月返せるだけの余裕があれば、元利均等返済で組むと返済期間も短縮になり、総返済額を減らすことができます。
 このように住宅ローンは、返済期間を1年でも短くすることで、その期間の利息を減らすことができるのです。

●繰上げ返済

 住宅ローン返済中に、月々の決められた返済額の他に、まとまった金額を返済することを「繰上げ返済」といいます。繰上げた金額は、すべて元金の返済に充てられるため、予定していた利息の支払いがカットされます。
 繰上げ返済には、返済期間を短くする「期間短縮型」と毎月の返済額を減らす「返済額軽減型」の2種類があります。

 期間短縮型は、毎月の返済額は変わりませんが、繰上げ返済をした金額が、元金部分に充てられ返済期間が縮まるため、短縮された期間に支払う予定だった利息がカットされます。そして、元金に充当された月数分だけ、住宅ローンの返済期間は短くなるので、定年後もローン返済が続く方等、返済終了の時期を早くしたい方にお勧めします。
 一方、返済額軽減型は、返済期間は変わりませんが、繰上げ返済した金額は、返済の最終回まで分割して元金に充てられますので、月々の返済負担を減らしたい方にお勧めです。例えば、ローンを借り過ぎてしまい月々のやりくりが大変になってしまった方や、夫婦共働きではなくなり収入が減ってしまった方等にお勧めします。
 また期間短縮型の繰上げ返済を行う場合は、返済時期が早いほど、利息の割合が多くなり利息の軽減率が高くなるので、早めに行うことをお勧めします。では、具体的に比較してみましょう。

繰上げ返済時期ごとの利息軽減額比較表

借入額3000万円、返済期間30年、固定金利型、金利 (年率) 3.00%のものを期間短縮型、100万円の繰上返済をした場合
繰上返済の時期 利息軽減額
1年後 約130万円
5年後 約105万円
10年後 約78万円

 なお、繰上げ返済については、金融機関ごとに返済を受け付ける条件がさまざまです。繰上げ返済を検討している場合は、金融機関を選ぶ条件として、最低金額や手数料がどのようになっているか、利用条件を確認することをお勧めします。
 また利息の軽減効果が大きいのは期間短縮型の方ですが、毎月の固定的な支出を軽減することができる返済額軽減型だと、繰上げ返済をしてすぐに、その効果を実感することが出来ます。どちらの返済方法を選ぶかは、利息額だけで決めるのではなく、今の自分の状況を判断し、繰上げの目的にふさわしい返済方法を選んでください。
 
 「金融機関でローンが組める」ということは、「しっかり返済できる」ということとは違います。また、「一般的に住宅ローンはこれぐらい」といっても、あなたが「一般的」に当てはまるかどうかはわかりません。仮に同じ収入であったとしても、家族構成や生活スタイルが違えば、支出も違ってきます。お金に「一般的」という定義はありません。
 10年後、20年後、30年後とライフスタイルが変化して行くなかで、いくらまでなら住まいづくりに費やすことができるのかをしっかり把握し、ご自分にあった返済方法を検討してみてください。

[住まいのナビゲーター 高橋 英子]
All Rights Reserved Copyright
Harumi Design Center