毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 96 回
【環境と住まいの長寿命化】
地球温暖化や環境汚染などの環境問題と共に、世界中で食料やエネルギーと資源の不足が心配されています。これからの世の中で人々が豊かな生活を長く続けて行くためには、地球環境を考え無駄なく大切に資源や資産を生かし保ちながら、環境と共に生きていく必要があります。そしてこれらのことは、住まいづくりにおいても例外でないことは言うまでもありません。今回はそんなサスティナブル (=持続可能) な環境と住まいについてのお話です。
●消費型からストック型へ
伝統的にヨーロッパやアメリカなどでは住宅の寿命は日本よりも長く、50〜150年位は設備や内装を交換したり、メンテナンスしながら代々済み継ぐことは当たり前です。
一方、日本の近年の住宅は20年もすれば家としての資産価値はほとんどなくなり、平均すると30年位で建て替えられる消耗品のように扱われてきました。
しかし、今後も持続する社会を実現するためには、今のままではうまくいきません。環境をできるだけ維持し限られた資源を生かすためには、私たちの暮らしも大量につくって消費する社会から、良いものをつくり・長く大切に使い・次の世代へ資産を残していく『ストック型社会』へ変わることが必要です。
●200年住宅
ここのところ建築の長寿命化を目指し、「200年もたせる家」が官民共通の目標となってきました。
構造体以外の点検とメンテナンス、ライフスタイルに合わせたリフォームやリモデルを20年ごとに10回行うことで、ひとつの家を200年住み繋ぐことができると考えられています。建物の具体的な仕様や基準はこれからの課題となりそうですが、耐震・ユニバーサルデザイン・リサイクル・省エネ・エコ住宅・住宅履歴書 (管理維持と記録) などの考え方が柱となっています。
【参考:第65回
バリアフリーとユニバーサルデザイン
】
住まいの構造を長寿命化させることで、資源やエネルギーの節約と廃棄物を減らすことによる環境の保全のメリットが考えられますし、住む側にとっても優良な住宅を世代を超えて長く使うことで、住宅にかかる費用を抑え、ゆとりある安定した暮らしが送れるようになると考えられます。
●住宅の履歴書
住宅の性能・品質・管理の記録です。永く住み繋ぐために、その家の内容や状態を図面・施工記録・設備の保証書などの書類と共に保存し、メンテナンス・改修などの情報も書き加えながら、履歴として記録し残していくことをいいます。
自分たちの覚書きとしてだけでなく、相続や売却時に次の所有者に引き継いでいくものでもあります。
また住宅表示の適正化を図る
住宅性能表示制度
を合わせて利用することで、より客観的ににその住宅の性能を把握し記録できます。
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●スケルトン・インフィル (SI)
スケルトン (構造体:土台・柱・梁 等) とインフィル (内装・間取り・設備等) という言葉を足してつなぎ合わせてつくった言葉で、建物の構造と内装や設備を分離した家の造りのことをいいます。長期間使用する耐久性のある構造躯体部分と、使い方やメンテナンスのために変更・交換が起きる内装・設備部分をあらかじめ分離して造っておくことで、建物を建て替えることなく間仕切り壁の位置を変えたり、内装・設備工事だけで使い続けることができるので、ライフステージに合わせて変更しながら住み続けて行くことができます。このような考え方で造られた家をスケルトン・インフィル住宅 (SI住宅) と呼びます。
日本に古くから伝わる民家など木造の伝統構法も、実はリサイクルに富んだエコロジカルなSI住宅でしたから、その伝統や技術も再び見直され生かされていくことが期待されます。
【参考:第77回
伝統構法と在来工法
】
●人と環境の共生
限りある自然や環境と資源を残し次世代に手渡すための、環境との共生を目指した最近の動きは自然でかつ必然的なことであるといえます。
「人が快適さを求め豊かに暮らす」ことと、「自然の環境や循環を壊すことなく維持する」ということが、相反することがないように工夫し、今自分たちがしていることが自分たちと自分たちにつながる将来に戻ってくることを忘れずにいたいものです。
また次世代に継承するという意味では個々の家だけでなく、良い住環境としての豊かな街並み全体を時間をかけて皆で創り、文化・伝統として引き継いでいくことも必要となって来ます。
[住まいのナビゲーター 廣瀬 妙子]
環境共生住宅
環境共生住宅とは、「地球環境を保全する観点から、エネルギー・資源・廃棄物などの面で充分な配慮がなされ、また周辺の自然環境と親密に美しく調和し、住み手が主体的にかかわりながら、健康で快適に生活できるよう工夫された住宅および、その地域環境」のことを言います。
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