毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 68 回
今様で七夕を楽しむ
フラワー&空間コーディネーター
浜 裕子

 7月の呼び名に文月がありますが、短冊に詩歌を書いた七夕の行事から文披月 (ふみひろげつき) が転じて文月となったようです。他の異称には、七夕月、七夜月、愛逢月があるように、7月といえば七夕だったのですね。織り姫とひこ星の1年に1度だけ逢える恋物語に想いをはせ、愛に逢う月…なんともロマンチックな言葉の響きにときめきを感じながら改めて大切な人との時間を季節の室礼で楽しみたいものです。

 7月7日の七夕の節句は、五節句のひとつですが、もともとは中国から伝わってきたものです。天帝の怒りをかって、天の川の両側に隔てられた牽牛 (ひこ星) と織女 (織り姫) が、かささぎの橋を渡って年に1度だけ逢える物語は、よく知られていますが、織女星は、糸や針をつかさどる星だったことから、この日二つの星にお供えをして、機織や裁縫が上手になるように願う『乞巧奠 (きっこうでん)』という儀式が奈良時代に日本に伝わったものです。一方日本古来では、神事で、奥深い水辺の機屋に穢れを知らない棚機津女 (たなばたつめ) がこもって神をお迎えし、お祓いをする『祓え』の行事が旧暦の7月7日頃行われていました。七夕は、中国の行事と日本古来の神事がひとつになったものです。
 
 笹飾りは、本来、屋根や物干し台の上に高くしつらえますが、現代の住宅事情では、室内や、食卓の上での演出でも許されるでしょう。「乞巧奠」は、技が巧になるように乞う意味がありますが、学問や、裁縫、和歌、習字の上達を願ったことから、それにちなんだ盛り付けをしても会話が弾むことでしょう。五色の短冊にそれぞれの願いを込めて、星空をながめてみてはいかがでしょうか? 五色とは、五常の精神 (仁、義、礼、智、信) を表わした青、白、赤、黒、黄を指します。必ずしも伝承に忠実な七夕でなくても、2つの星に因んだり、夏の風物詩である、すだれ、よしず、水打ち、朝顔、朝露、風鈴などを言葉に盛ったり、上手に取り入れて、夏の歳時記を愉しむのもいいでしょう。
七夕の代表的な花
笹の葉、竹
テッセン、ヤマユリ、リキュウソウなど添えると彩りがプラスされる。

代表的な食べ物
素麺
夏の収穫物 (ナス、きゅうり、トマトなどの夏野菜)
七夕は、作物の実りを感謝する収穫祭の日でもあるため

七夕の飾り
笹飾り
五色の短冊 (青、白、赤、黒、黄)
梶の葉 (かつて宮中では、梶の葉に和歌をしたため、供えていた)
掬い網 (すくいあみ:願いことと収穫の恩恵を自分のもとに掬い寄せることを意味する)
写真をクリックすると拡大して解説文章が表示されます。
七夕飾り

●七夕にドラマチックな出会いの予感
・・・今夜は浴衣でお越しください・・・

 中央のアレンジを天の川にみたてて、波もようの緑のランナーの上に花器で川の流れのようにウェーブをつくり、少量の夏の花で涼やかに。昔、芸事や学問の上達を願って、筆や硯を供えたことから、筆の墨を連想させる器を選び、コーディネート。きりりと冷えた冷酒とともに夏野菜と川魚料理も和づくしで。大人の夏遊びを愉しむ趣向。献立の素麺もりっぱな演出ツールとなります。

●普段使いの食器で

 庭から切った笹の葉を白のグラス器に挿し、色紙で五色の短冊を飾れば、七夕の食卓に。
 和のコーディネートの場合は、写真のように、同じシリーズのもので統一するではなく、違った素材を組み合わせて楽しんでも良いと思います。 普段使いの食器もこうして重ねて使えば、おしゃれな食卓に。またランチョンマットの代わりに、ブリッジランナーも効果的です。
先付け
素麺
フラワー&空間コーディネーター
英語、日本語講師を経て、フラワー・インテリア・テーブルコーディネートをはじめ、旅館・ホテル・レストラン等での空間演出及び社員教育、パーティー、イベント、広告等の企画、演出を手掛けている。商品企画、地場産業活性化にも意欲を燃やし、ショッププロデュース、店舗リノベーション企画を手掛ける。和と洋の融合、精神性の高いデザインをテーマにライススタイル提案に取り組む。大学、各種専門学校、キャリアスクールの講師、講演等行う。マスコミで活躍。花のある暮らし、生活空間をアートすることをコンセプトに「花生活空間」主宰。幸商事株式会社代表取締役。著書に「イメージどおり演出できる 花のテーブルコーディネート」(株) 誠文堂新光社、共著に「テーブルコーディネーターの仕事」(優しい食卓出版部)。「フラワー&テーブルコーディネーター養成講座」開催。
月刊「フローリスト」にて「歳時記で豊かに楽しむ 花のあるテーブルコーディネート」連載中
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