毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 71 回
処暑の候を楽しむ
フラワー&空間コーディネーター
浜 裕子
処暑とは、二十四節気のひとつで立秋 (8月7日頃) から15日目、8月23日から9月7日頃までを指します。処暑の「処」の字には、「とまる」とか「とどまる」の意味があります。朝夕は、幾分かしのぎやすくなり、日中の時間が短くなったように感じる頃とされますが、暑さがまだ停っているという意味もあります。
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二十四節気とは、太陰暦を使用していた時代に、季節を現すための工夫として考えだされたもので、1年を24等分にし、その区切りに名前をつけたものです。現在でも季節の節目節目に、これを示す言葉として使われています。
8月の異称、葉月の語源は、旧暦では秋まっさかりだったことから、葉落ち月 (木の葉の落ちる月)、初来月 (雁が初めて来る月)、稲葉月 (稲の茂る月) など諸説ありますが、どれも秋に関係した言葉だったのですね。でも現実の8月は、厳しい暑さが続きます。今回は処暑の候に、和風、洋風に大別しながら、涼しさを演出するテーブルコーディネート、ホームデコレーションをご紹介いたします。
●和風に粋に楽しむ
昔の人は、床の間の掛け軸がひらりと揺れることで風を感じ、涼を感じたといわれています。軒先に吊された、よしず、風鈴、庭先に高く伸びた朝顔の蔓、打ち水なども、涼をとる日本人の知恵です。最近では、地球環境を守るエコの視点からも昔ながらの風習が見直されています。 朝夕の庭の植物の水やりのついでに、玄関先まで打ち水をするだけで、不思議と体感温度も変わってきます。最近では、若い方たちにも和雑貨の人気がありますが、手ぬぐい、うちわ、扇子などは、不思議と心和むものです。冷たく冷やしたおしぼりが供されるのも日本人ならではの心配りです。扇子に香をたきこみ、ほのかな香りを楽しむ・・・なんとも優雅で風流な文化です。視覚だけでなく、聴覚、臭覚、触覚、味覚、五感を通して涼を感じたいものです。
和の演出の場合は、はっきりした色や、透明感のある清色使いより、濁色をうまく使うと風情が増します。自然の水や清流のせせらぎをイメージしたコーディネートも処暑の候の室礼にぴったりです。和の場合のテーブル構成は、左右非対称 (アシンメトリー) にします。お花は、極少量で、竹、笹などのグリーン、雀瓜、テッセンなどの蔓物をさりげなく、またキキョウ、女郎花(おみなえし)などの初秋の花をあしらっても素敵です。
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●処暑の候にせせらぎのある食卓
食卓の上にせせらぎのある風景をイメージしてコーディネート。和風のストライプのクロスの中央にアクリル板をセットして、その上に青の釉薬のかかった船形の陶器を置き、フラワーアレンジ。和のテーブルの場合は、中央ではなく、左右非対称になるような置き方を。あたかも清流の上に身をおいているように、花も季節の素朴なものを選び、花とグリーンの配分は、グリーンを多めにアレンジ。せせらぎのテーマにあわせて創った和菓子は、先付けに見立てて、氷を思わせるガラスの器に盛り涼やかに演出。
せせらぎをイメージした和菓子、ガラスの器に盛って。
処暑には、食もこってりしたものより、すっきり、さっぱりしたもののほうが嬉しいものです。見た目も寒天や、ゼリーなど透明感のあるものにすると、相乗効果が増します。冷たく冷やした水にこだわったデザートは期待感が高まります。
●洋風に爽やかに楽しむ
洋風に楽しむ場合のポイントは、白もしくは、寒色系の清色を基調にコーディネートすることです。色相 (色合い) も絞ったほうがすっきりとまとまりのある演出になります。
素材としては、ガラスやアクリルなど透明感のあるものを使うと効果的です。またアルミやステンレスなども冷たく感じられるので、コーディネートによっては、効果的といえるでしょう。
左写真は、水色のクロスに、ガラスのプレートや花器を多く使うことで透明感が増し、清涼感のある印象になります。
ウィンドーの演出としては、ドレープをとり、シャープシェードだけでシンプルにしても爽やかな印象になります。アクセントが欲しいときは、透明のビニールのポケット型の花器を吊るして、グリーンやお花を少量あしらえば、楽しい空間になります。簡単に取り外しができるので、私は花だけでなく、時にはビー玉や、貝殻、カラーサンドなどをいれ、お部屋の彩りを変化させています。
シェードをして、直射日光をさえぎっても、夏場の生花は、そう長くはもたないのは、いたしかたないことです。そんな折は、観葉植物が大活躍。またアーティフィシャルなグリーンを飾ってもいいでしょう。アクリル板にフェークのモンステラをいれて、飾れば、夏のアートの完成。間接照明をあてれば、影もできるので、より立体感も楽しめます。
冷製トマトスープは、ガラスの器に盛って。下の段には、氷をいれて、ひんやりいただきます。トマトジュース (有塩) と牛乳を1:1の割合で、生クリーム少々、コショウ少々、バジル少々を一晩寝かせただけの超簡単レシピ。食欲のない朝食にもぴったりですし、このようなガラスの器にもれば、おもてなしの一品にもなります。
季節は着実に秋に向かっていますが、まだまだ暑い処暑の候、だからこそ楽しめる晩夏の風情、涼をとる演出で季節と上手に向き合って、日々の移ろいを楽しみたいものです。
フラワー&空間コーディネーター
英語、日本語講師を経て、フラワー・インテリア・テーブルコーディネートをはじめ、旅館・ホテル・レストラン等での空間演出及び社員教育、パーティー、イベント、広告等の企画、演出を手掛けている。商品企画、地場産業活性化にも意欲を燃やし、ショッププロデュース、店舗リノベーション企画を手掛ける。和と洋の融合、精神性の高いデザインをテーマにライススタイル提案に取り組む。大学、各種専門学校、キャリアスクールの講師、講演等行う。マスコミで活躍。花のある暮らし、生活空間をアートすることをコンセプトに「花生活空間」主宰。幸商事株式会社代表取締役。著書に「イメージどおり演出できる 花のテーブルコーディネート」(株) 誠文堂新光社、共著に「テーブルコーディネーターの仕事」(優しい食卓出版部)。「フラワー&テーブルコーディネーター養成講座」開催。
月刊「フローリスト」にて「歳時記で豊かに楽しむ 花のあるテーブルコーディネート」連載中
花生活空間
ガラスのコップにお花とミントを浮かべて。それだけで演出にもなります。
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