毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 73 回
『ビオトープ』わが家の大自然

 「となりのトトロ」をはじめ、宮崎アニメに登場する里山や日本の自然に「いいなぁ」「昔はこうだった」「今は少なくなった」と思うことありませんか? 特に都会や街中ではカエルやトンボの姿がめっきり減ったような気さえします。このような自然が無くなってしまうのは仕方のないことなんでしょうか? いえ、そんなことはありません! 今回はトンボがやってくる“わが家の小さな大自然”の作り方とポイントをご紹介しましょう。キーワードは「ビオトープ」です!

●「ビオトープ」ってなに?


 これはドイツで生まれた自然保護の考え方で、「ビオ=生き物」と「トープ=場所」という言葉からつくられた生物学の用語です。簡単にいえば、“地域の野生の生き物が暮らす場所”という意味をもっています。広くは地域の森や河川、湖、里山などもビオトープのひとつなのです。
 しかし、開発や以前の街づくりなどで次々とそういった場所が少なくなってしまった為に、「地域の生き物の住む場所」を守ったり、新たにつくったりしようという動きが広がっています。
 みなさんの街にも、集合住宅のまわりや住宅地に計画的につくられた人工の池や草地をみかけることも多くなったのではないでしょうか。これが日本で一般的に言われる「ビオトープ」です。

●プチビオトープはわが家の大自然


 そんなビオトープをご自宅のお庭や屋上、ベランダでつくることも出来るんです。別名“プチビオトープ”、“ミニビオトープ”、“ビオトープ・ガーデン”などと呼ばれる家庭用ビオトープは、ガーデニングや本格的な庭づくりにくらべ、お手入れも簡単。子供と一緒に小さな大自然を観察することができます。専門的な視点からいえば、家庭でつくるそれは「ビオトープ」とは呼べないと言う方もいらっしゃいますが、地域と環境を考える機会にもなり、なによりもワクワクドキドキがいっぱい!

●プチビオトープの作り方

 最近では園芸ショップなどに家庭用ビオトープセットも売っているようですが、ここでは最もシンプルで基本的な作り方をご紹介しましょう。
  1. まずビオトープのための場所を決め、園芸用の鉢や、古い火鉢、バケツなどの容器を用意します。
  2. 家の近くの河川敷や田んぼなどの土を、必ず許可を得てもらってきてください。
  3. これを容器にいれ、水を張れば出来上がり!
 近くの川などで採ったメダカや水草を入れるのもいいでしょう。生き物の隠れ家になる石や、止まり木などを入れるのもポイントです。すると、土の中に入っていた植物や動物、飛んできた植物の種や虫、動物のふんなどからいろいろな生き物が出てきます。これを観察するのがとても面白いのです。
 注意して頂きたいのが、安易に地域のものではない植物を植えたり、動物を放したりしないこと…。本来ビオトープは“地域の生態系を守る”こと。外来種を入れては、かえって環境によくありません。
 どうしても外来種の草花や動物を入れたい場合は、地域の生態系を壊さないためにも『このビオトープを自然に返さない』ことを条件に楽しんでください。

●びっくり! 水を綺麗にする小さな生態系


 水が腐ったり、ボウフラがわいたりして大変ではないかと心配する方がいますが、ビオトープ内で生態系がきちんと機能すれば問題はおきません。
 例えば、水草の汚れをメダカ等の小魚が綺麗にしてくれ、小魚の食べ残しや死骸などは小さなヌマエビ等が処理してくれたり、水草の肥料になります。また濁った水も、目に見えない小さな生き物が誕生する過程でもあるんです。

●お手入れ簡単! そのままがいいという考え方も!

 あまりに水が濁ったり、臭いがするようなら、別の容器に水を汲み一日置いてください。プチビオトープの水を、生き物を流さないよう注意しながら半分くらい出し、一日置いた水を足してください。
 また、繁殖力の強すぎる草が多く気になるようならば、間引きしたりするのもポイントです。
 「放置することこそ自然」という考えの方もいて、雨水もそのままに、ご近所にはみ出す草のみ処理している人もいます。確かにこの方が生き物はたくさん誕生します。ビオトープはガーデニングではありませんし、そこに住む生き物はペットではありません。その土地の生き物を守り、自然のままに楽しむ、“いのち”や“生命力”を感じることがビオトープの醍醐味なんです。

●ワクワクドキドキ、都会の真ん中でトンボが舞う

 生き物はビオトープの外からもやってきます。真夏から秋にかけては、水を見つけたトンボがやってきて止まり木に止まり、卵を産んでヤゴが産まれたりすることもあります。
 トンボを呼ぶポイントは、空から水面の輝きが見えること。
 実際に、大都会東京のど真ん中にあるご家庭でも、プチビオトープから今年もトンボが巣立っていきました。
 そろそろ空を舞う赤とんぼが、秋の到来を告げる季節。今年まにあわなくても来年、みなさんの家のプチビオトープから、そんなトンボが生まれるかもしれませんよ。
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