毎週、様々なテーマでお送りする、
Housing Column。
第 102 回
【太陽光発電】
〜設置するその前に〜
近頃テレビCMや雑誌などでよく目にする「太陽光発電」。以前は個人が導入するには大変高価なものでしたが、太陽光発電が普及し始めた10年前と比較すると費用がだいぶ下がったこと、デザイン面でも屋根建材との一体型や薄型軽量タイプ、屋根瓦タイプ等が開発され、見た目にもすっきりし導入に抵抗がなくなったことから急速に普及してきました。
晴海デザインセンターにご来場いただくお客さまの中にも太陽光発電に興味を持ち、システムや特徴について質問をする方が増えています。
そもそも太陽光発電とは、「太陽電池」と呼ばれる装置を用いて、太陽の光エネルギーを直接電気に変換する発電方式です。地球全体に降り注ぐ太陽エネルギーを100%変換できるとすると、世界の年間消費エネルギーをわずか1時間でまかなうことができる!ほど強大なエネルギーで、また枯渇する心配もありません。太陽の光は無尽蔵とも言えるエネルギーですので、それを活用する太陽光発電は、年々深刻化するエネルギー資源問題を解決する有力な解決法のひとつといわれています。
また、地球温暖化の原因とされる、二酸化炭素など温室効果ガスや大気汚染物質を発電時にまったく出さないというのも注目されている要因です。
住宅用のシステムは、太陽の光エネルギーを受けてパネルの太陽電池が発電した直流電力を、パワーコンディショナとよばれる機器により電力会社と同じ交流電力に変換し、家庭内のさまざまな家電製品に電力を供給します。発電電力が消費電力を上回った場合は電力会社へ送電して電気を買い取ってもらい、曇りや雨の日等発電した電力では足りないときや夜間は従来通り電力会社の電気を使うというしくみです。
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太陽電池
太陽の光エネルギーを直接電気に変換する装置
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パワーコンディショナ
太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換するための装置
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接続箱
太陽電池からの直流配線を一本にまとめ、パワーコンディショナに送るための装置
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分電盤
家の配線に電気を分ける装置
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電力量計
電力会社に売った電力や、購入した電力を計量するメーター。売電用と買電用の2つの電力量計が必要となります
このシステムを自宅に取り入れた方は、自分で発電して余った電力を売ることで収入を得ることができる点や、環境に貢献しているという点、また非常時に自家発電できるから安心であるという点を理由に挙げている方が多いようです。また、どのくらい発電しているかモニターを通して具体的な数字を見ることができ、節電意識が高まる点も挙げられています。
以上のように環境面や導入者の意識に関わるメリットのある太陽光発電ですが、考えなければいけない点もあります。
●季節によって変わります
太陽光発電システムは太陽をエネルギーとして稼動しているので、日射量と発電する電力は比例します。従って日本においては日照時間の長い4〜9月の発電量が多く、日照時間の短い11〜2月は少なくなります。また6月は梅雨で日照時間が短いため、発電量が少なくなります。夏は天気が良い日も多く一年で一番発電量が多いように思えますが、太陽電池の原材料であるシリコンは温度が高くなると発電効率が低下し、反対に温度が下がると効率が上昇するという性質を持っているので、暑い日が続く真夏はそれほど発電量が多くありません。
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日射量とは
太陽からの放射エネルギー量を測定したものをいいます
●天候・時間帯によって変わります
太陽の光がエネルギー源ですから、太陽が隠れる雨や曇りの日には発電量が下がります。冬には屋根に雪が積もるとまったく発電できなくなることもあります。また、一日の中でも発電量は変わり、昼12時ごろが最大電力となります。
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晴れのとき
電力会社へ電気を買い取ってもらう量が多くなります
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曇りのとき
曇り具合にもよりますが、1日の中でも発電量の変化が大きくなります
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雨のとき
雨の日でもそのときの明るさに応じて発電しますが、電力会社から電気を買う量が多くなります
●地域によって変わります
同じ日本においても地域によって発電量は変わります。これは日射量の違いによって起こります。国内では最大約17%の違いがあるそうです。また、塩害が考えられるエリアには一般製品は設置できませんので、その場合は専門業者への相談が必要です。
●方角によって変わります
設置する屋根の方角によって日射量が異なり、発電量が変わります。一番理想的なのは南で、次に東南と西南、その次が東と西、となり、一番発電できないのは北となります。
●立地によって変わります
太陽電池に影になる部分が多いと発電システムが効率的に動くことができなくなるため、家の周りに高い建物や樹木、テレビアンテナ等障害物はないか特に注意が必要です。これから家を新築するため土地から探す、という方は、計画地の周りの確認や、今はなくても今後高い建物が建つ可能性はないかなど事前の確認や役所で用途地域をチェックする、ということも必要です。
●屋根によって変わります。
屋根の形状も発電量に影響します。一年を通じて安定した発電を行うには、一般的には約30度の勾配が最もよいとされ、その前後±10度程度ならそれほど低下しないといわれています。この最適な角度は地域によって変わり、北海道は40度前後、沖縄は10度前後がよいといわれています。
また、屋根の形状により、分割して設置すると発電量の低下が生じる可能性があり、同一面、同一勾配の屋根への設置が理想とされます。
さらに立地の項目で伝えたように、影になると発電できませんので、屋根の形状も大きく関係します。例えば
入母屋タイプの屋根
だと自身の影が発生し、発電を妨げることがあるため注意が必要となります。他にも機器自体が300〜450kg程の重さがあるので、その重みに耐えられる必要があります。
●設置機器によって変わります
停電時には自立運転機能付きパワーコンディショナを使用していないと、電力は使えません。手動切換えにより自立運転した場合には、昼間天気が良ければある程度の電気を使用することができますが、蓄電池が搭載されていないため、夜間や悪天候の時には発電できないことがある点も考える必要があります。蓄電池は現段階では高価すぎて住宅に設置することができないからです。また、非常時普段どおりの暮らしができる、という訳ではなく、非常用コンセントという特定の電源からの電力供給になることにも注意が必要です。
実際に設置した方に行ったアンケート結果によると、8割の方が満足していると回答している一方で、北向きや北東向きに設置してしまい「思ったほど発電しない」「業者に聞いた話より発電量が少ない」という回答もあります。
このような後悔をしないためにも、環境、費用効果、節電意識、非常用など自分はどういう目的を持って太陽光発電を導入したいのかを考え、また自分の計画地に導入した場合のシミュレーションをするなど事前によく検討することが大切です。
[住まいのナビゲーター 町 香奈]
参考・参照資料
・太陽光発電協会ホームページ
・「太陽光発電システムがわかる本」 (株)工業調査会出版
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