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住まいと暮らしのHAPPYジャーナル
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江戸の「養生訓」に学ぶ 夏バテしない暮らし方
第4回
クーラーも扇風機もなかった時代、江戸っ子たちはどんな工夫で夏を乗り切っていたのでしょうか? 古くて新しい「和」の暮らしには、夏を快適に過ごす知恵が詰まっています。江戸の健康バイブル『養生訓』を参考にして、年々暑くなる日本の夏を涼しく快適に過ごしましょう。
江戸っ子たちにとって、暑さは立ち向かうものではなく、やり過ごすもの、楽しむものでした。風鈴の音に涼を感じて、団扇の自然な風を楽しみ、金魚や朝顔を愛で、夕暮れには縁台でおしゃべり…。汗水たらして働くなんて「野暮」のすること。ほどほどに働いた後は、夕涼み、川開き、花火、お祭りといった、夏ならではの行事を楽しんだといいます。当時は住まいも、夏に快適であることを基準に作られていましたから、朝晩は気持ちのいい風が通ったことでしょう。
そんな江戸っ子たちがこぞって読んだ健康バイブル『養生訓』には、「夏月、もっとも保養すべし」とあります。四季の中で、夏は特に注意して養生する必要があるということ。なぜなら、夏は「外邪」(外からの邪気、健康を損なう原因)に侵されやすいから。「養生訓」では「外邪」から身を守るためのさまざまな方法を、衣食住にわたって細かくアドバイスしています。たとえば、
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生ものや冷たいものは極力避ける
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温かいものを食べて胃腸を暖める
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食べ過ぎない、飲み過ぎない
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涼風に長時間あたらない。入浴後に風にあたらない
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冷水に入らない。冷水で顔を洗わない
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暑い時もあまり涼しくしすぎてはいけない
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夜、長時間外で露や湿気にあたってはいけない
儒学者・貝原益軒(1630年~1714年)は江戸時代の儒学者。人生50年といわれた時代に83歳まで生きました。亡くなる前年に書いた、健康で長生きするための知恵の宝庫が『養生訓』。「身を保ち生を養う」ための情報がぎっしり詰まっています。
など、現代の私たちの目から見ても納得できることばかり。 体を労わりいくつしみながら、夏という季節を楽しんでみる。これが、日本の夏の正しい過ごし方なのかもしれません。
1年で一番暑いとされているのが、夏の土用から立秋まで。その真ん中にある土用の丑の日といえばウナギが有名ですが、江戸っ子たちに親しまれてきたもう一つの風習に「桃湯」があります。丑の日に入る桃湯は「丑湯」と呼ばれ、当日は江戸じゅうのお風呂屋さんが桃湯をたてたとか。桃の葉は邪気をはらってくれるとされ、またタンニンの消炎作用が日焼け肌をクールダウン。肌のトラブルを軽くし、毛穴を引き締める収斂効果も。現代の私たちは桃の葉の入浴剤で代用できます。
利尿作用のあるスイカは体の余分な熱を取り、暑気あたりやほてり、むくみを改善してくれます。体を冷やす作用があるので、夏にはもってこいですが、「養生訓」には夏でも風が涼しい日にはスイカは食べるな、極暑のときだけに食べるようにと、クギを刺してあります。エアコンの効いた室内で食べ過ぎることのないように。
江戸っ子の夏バテ防止ドリンクといえば甘酒。夏に甘酒と聞くと意外に思う人も多いかもしれませんが、俳句でも甘酒は夏の季語とされているほど。ブドウ糖はじめ、ビタミン類、アミノ酸類を豊富に含んだ甘酒は、暑さで弱った体力を回復させる点滴のような役割を果たしていました。植物繊維やオリゴ糖が豊富で、整腸効果もバツグン。冷たい飲み物や食べ物で疲れた胃の働きを助けてくれます。
『養生訓』では夏の眠り方についても教えています。「暑月は早くおくべし」とは、早起きのすすめ。「暑月も、風にあたり臥すべからず」とは、暑いからと、風にあたりながら寝て寝冷えしないように注意したもの。寝苦しい夜を涼しく過ごすために、江戸っ子たちが愛用していたのが「蚊帳」。冷房による冷やしすぎを防ぐために、今また注目されており、現代の住宅事情に合わせて、写真のようなコンパクトな蚊帳もつくられています。
取材協力/江藤ちふみ
撮影/神子俊昭
参考文献/岡田芳朗『伝承の知恵暦を読む』(三修社)
制作/からだにいいこと編集部
二十四節気とは立春、夏至、立秋など、1年を24等分にした自然の暦。これをさらに5日ずつ3つに分けたのが「72候」。初候、次候、末候、それぞれの時期の自然について表現した言葉は、知っていると同じ暑さでも感じ方が違ってくるはず。
7月7日~22日 小暑
梅雨明けが近く、本格的な暑さの到来を待つ時期。
初候
(7月7日~11日)
温風(あつかぜ)至る
次候
(7月12日~16日)
蓮はじめて開く
末候
(7月17日~22日)
鷹、技を習う
7月23日~8月6日 大暑
夏の土用の頃。空に入道雲がそびえる。
初候
(7月23日~27日)
桐はじめて花を結ぶ
次候
(7月28日~8月1日)
土潤ってむし暑し
末候
(8月2日~6日)
大雨ときどき降る
8月7日~22日 立秋
暑さは厳しいが、ここからは残暑見舞い。秋を待つ日々。
初候
(8月7日~11日)
涼風至る
次候
(8月12日~16日)
ひぐらし鳴く
末候
(8月17日~22日)
深き霧まとう
8月23日~9月6日 処暑
暑さが収まる時期。朝夕、涼風が立ち始める。
初候
(8月23日~27日)
棉(わた)の花開く
次候
(8月28日~9月1日)
ひぐらし鳴く
末候
(9月2日~6日)
禾(こくもの)みのる
※禾(こくもの)…穀物、穀類
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