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第 23 回
【晴海トリトンスクエア物語 (6)】
街の名前と地上100mのこいのぼり

 晴海デザインセンターがある「晴海アイランド トリトンスクエア」。5周年を迎えたこの街を様々な角度からご紹介するシリーズの第6回目は、街の名前の“いわれ”や、新たな街を知ってもらうために行われたちょっと素敵なエピソードをご紹介しましょう。

●完成前につけなければいけなかった街の名前

 “名は体をあらわす”などと言いますが、新たに生まれ変わる街にとっても、名前はたいへん重要です。住んだり働いたりする人々に愛され、また世間の人々が覚えやすい名前でなければ、「あの街に行ってみたいな、住んでみたいな」という気持ちは生まれません。もちろん東京の“銀座”のように長い歴史があれば、街の経てきたドラマが自然に魅力を伝えてくれるでしょう。しかし、晴海は生まれ変わろうとしている最中。街が出来上がる前に入居者募集などを行うために、完成の5年も前に名前をつけなければいけない状況だったのです。それだけではありません。今でこそ臨海副都心はお洒落で最先端な街のひとつになりつつありますが、当時はバブル崩壊から間もない時期で、世界都市博が中止になるなど、再開発地域に対して向かい風が吹いていたのです。
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●こんな街にしたい…3つの案から選ばれた「トリトン」


 地元の地権者や民間によって街づくりを行おうとしていた晴海は、住民や関係者、そしてプロの意見も取り入れ、様々なネーミングを検討しました。
 一番大切なのは「こんな街にしたい」という人々の思いです。晴海の持つ「海」というイメージ、そして、働く・触れ合う・暮らすために生まれ変わった街というメッセージを込めた名前が検討され、
 (1) 晴海アイランド・モートン (MO-TON)
 (2) 晴海アイランド・セイルシティ (Sail City)
 (3) 晴海アイランド・トリトンクスエア
の3つに絞り込まれました。覚えやすさや、響き、そして意味を吟味し、「海に開かれた街」というイメージをギリシャ神話の海の神「トリトン」に託し、ついに名前を決定したのです。
 さらに、「トリ (Tri)」には、「3」をあらわす意味があり、職・遊・住の3つの都市機能の調和と、街のランドマークとなる3棟のタワービルのイメージとも重なります。シンボルマークも、半人半漁神の姿をモチーフにオリジナリティあふれるデザインのものをつくりました。
 そしてオープンから5年、今やトリトンと言えば「晴海」というイメージが定着してきたのです。
 歴史ある古い街はもちろん、新たな街の名前にも、こんなドラマがあるのです。みなさんがお住まいの街の名前はどのようにしてつけられたか、ぜひ、確かめてみてはいかがでしょうか。

●超高層ビル地上100mの空にこいのぼり


 さて、名前がついただけでは、まだ完成していない街のぬくもりやコンセプトは世間の人に伝わりません。テレビや新聞に大々的に広告を出せればいいのですが、莫大な予算を使わなければなりません。そこで出たアイディアが「地上100mの上空に、こいのぼりを泳がせよう」でした。
 建築中のビルのてっぺんにクレーンがのっています。そこに、百匹ちかい“こいのぼり”をつけ、トリトンスクエアの空を大海原に見立てて、新たな街のイメージを伝えようというものでした。
 しかし「もしも、こいのぼりが走っているクルマに落ちたら危険だ」という反対の声があがりました。当然の心配であり、危険を回避するための準備も簡単ではありません。誰もが断念せざるを得ないと思いました。ところが、この手作り感あふれる企画を実現させようと、地権者である民間企業の担当者が立ち上がったのです。

●晴海の大空に泳いだ164尾


 安全対策を万全にし、工事中の超高層ビルY・Z棟の一番上に取り付けられたタワークレーンに、ロープが張られ、なんと合わせて164尾のこいのぼりが晴海の大空を泳ぎました。予算はたった50万円。しかしマスコミ各社が注目し、予想を遥かに超えた宣伝効果が上がりました。完成の2年前、平成11年のゴールデンウィークのことでした。
 翌年には「ぼくらのこいのぼり」と題し、白地の大きなこいのぼりを準備。地元の幼稚園児と小学生に様々な色のこいのぼりを描いてもらい、大空に泳がせました。
 地域と一体となる街の誕生を、大いにイメージさせたのです。
 
 このほかにも、「1万本のクリスマスツリー」作戦など、ユニークな手作りイベントも開催されましたが、その詳細はまた次の機会にご紹介します。

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