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晴海トリトンスクエア物語 (12) 探検したくなる小径のある街「トリトン通り」
第 30 回
【晴海トリトンスクエア物語 (12)】
探検したくなる小径のある街「トリトン通り」
「お気に入りの路地がある」「そこを曲がれば新たな発見や出会いがありそうな気分になる」…そんな台詞が似合う街並みが、晴海トリトンスクエアの、なんと“ビルの中”にあります。それがトリトンのショッピングゾーン。レストランやこれまでご紹介した、インテリアショップ、生活雑貨のショップが入っている商業施設エリアです。今回は、そんな晴海トリトンのインナーモールの出来るまでをご紹介しましょう。
●ちょっとわかりにくい、だからこそワクワクドキドキ
トリトンの商業施設エリアに初めて来た方は、カーブが多く、2階と3階に渡って街が形成されているために、「ちょっとわかりにくい」という印象をもたれるかもしれません。しかし、トリトンではあえてそうしたのです。その道程は簡単なものではありませんでした。
●晴海という土地では商業施設は難しい?
銀座から2キロ先という、一見好条件の立地であっても、その先は海。今でこそ東京の臨海地域は、汐留や豊洲の開発、月島の再開発で新しいイメージの街になってきていますが、当初は「たくさんの人が訪れる活気ある商業施設を晴海につくるのは難しい」というのが開発関係者全員の意見でした。オフィスに通う人が利用できる程度でいいという考え方もありましたが、それでは、「暮らす」「遊ぶ」「働く」のすべてを心地よく、という理想の再開発は実現出来ません。映画館や博物館などの目玉となるものを作るという発想も出ましたが、一時的な集客しか見込めません。なによりも「晴海」ならではの個性を出していかなければならなかったのです。
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●おもちゃ箱をひっくり返したように、
戸建て感覚の専門店が並ぶ港街に
何度もご紹介してきたとおり、晴海は行政主導ではなく、民間の地権者 (土地所有者や住民) で組織した組合がリードして再開発が行われてきた場所。その組合が出したのが「おもちゃ箱をひっくり返した」「戸建て感覚の専門店」「個性的な港町=晴海らしさ」という、方向性でした。
オフィスに通う人の利用だけでなく、外からも引き込む商業施設にするには、店舗ごとに、それぞれのファサード、内装を生かしてこそ魅力的になる。それが、「戸建て感覚の専門店」の意味するところでした。しかし、その一戸一戸が直線の道路に整然と並んでいるだけでは退屈です。近隣の月島や佃島、門前仲町、それに銀座も路地が魅力的であり、そこに発見や出会いがいっぱいあります。日本の街らしい「路地の文化」を出したい…それが、「おもちゃ箱をひっくり返した」というイメージでした。
●みんなの心をひとつにした、子供&女性視点のビデオ
しかし、そのイメージが建築設計担当者や商業エリアのオーナーにはなかなか伝わりませんでした。それも当然で、「おもちゃ箱をひっくり返すという表現は設計の否定」と思われかねません。そのギャップを埋めるべく、国内外の様々な商業施設を視察。ラスベガス等の「屋内にそのまま街を再現する」方式をはじめ、戸建て感覚を取り入れた空間を精力的に調査したのです。その場で平面や断面のスケッチを描いたり、ビデオを回したり、誰もが同じ情報や体験を共有出来るようにしました。
中でも、設計者の心を動かしたのが、担当者の一人が撮影していたビデオでした。彼は、「子供の気持ち」でカメラを回したり、女性の視点での意見を言いながら、映像をおさめていったのです。それは建築的な視点だけでは捉えられない眼差しでした。この視点が、みんなの心をつかんだのです。
私たちの住まいづくりでも、家族の意見が食い違ったり、設計者に上手に希望を伝えられなかったりする事が少なくありません。一方的に伝えるのではなく、様々なカタチでコミュニケーションをとり、ひとつのものを作り上げていく…。大小の違いはあれ、その大切さは同じかもしれません。
●南欧のイメージと取り入れた、探検したくなる街の誕生
設計者のスケッチ
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天井画
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かくして、晴海トリトンスクエアのインナーモールが完成しました。メインストリートの名前は「トリトン通り」。この小径は、2階・3階にわたる吹き抜け空間で、トップライトから自然光が心地よく差し込むようになっています。全体としては、南欧の港町をイメージさせるデザインとし、以前ご紹介した花のテラスなどの外部空間とも視覚的に連続するようにも配慮しました。とはいえ、単にお洒落な欧州の港町を再現したのではありません。ヨーロッパでは広場に集まる習慣があり、これを主体に街並みが形成されていますが、トリトンでは「小径を歩く」「路地を散策する」という日本的な感覚を大切にし、緩やかなカーブのある小径を主体としました。歩く先にどんな景色が待っているかを楽しめる街並みにしたのです。
ぜひ、晴海トリトンスクエアの「トリトン通り」に遊びに来てみてください。小径を歩くと、美味しいレストランや、生活雑貨の店、インテリアショップ、電気店、日本最大級の天井画がある小さな広場などが径の向こうに現れます。また2階を歩いていて、ふと見上げると、3階にある素敵な店を発見することがあります。どうやっていけばいいか迷うかもしれません。そんな時は、近くのお店の人等に訪ねてみてください。そういうコミュニケーションも、「トリトン通り」の魅力なのです。
晴海トリトンスクエア
フロアマップ
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