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Housing Column ハウジングコラム

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第 60 回
バリアフリーリフォームが
なぜ大切なのか (下)
河名 紀子 (ハウジングジャーナリスト)

 前回は超高齢化社会の到来を背景に、平成19年度税制改正で「住宅のバリアフリー改修促進税制」(以下、バリアフリー改修減税) が創設されるなど国も力を入れていることについて触れましたが、ではなぜ、ここまで国が政策に掲げているか、その背景と実態について述べたいと思います。

●バリアフリー 3 条件を満たした住宅は全国でたった 3%

 一般的に、「住宅のバリアフリー化」として国の指標 (住生活基本計画の高齢者等への配慮指標) にも掲げられている基本的なポイントは、(1) 手すり2箇所以上 (2) 段差のない室内 (3) 廊下等が車椅子で通行可能--の3つ。国民の住宅実態を調査する住宅需要実態調査の項目も長年この3点で普及度が計られてきました。ではいま日本全体で、この3つのバリアフリー化を満たしている住宅は一体どのくらいあるのでしょうか?
 
 平成15年住宅需要実態調査によると、このバリアフリー3条件をすべて備えている住宅は、全国でたった3.4%。そして3条件をいずれも備えていない住宅は何と72.1%もあり、国が公的融資などで政策支援しているほどには普及していないのが現実です。「設備が壊れた」「水回りが老朽化した」といった切実さがなく、また「内装の模様替えをしたい」といった希望より優先順位が下がってしまうことも理由の一つとして考えられます。

住宅のバリアフリー化の状況
3つすべてに対応している住宅 3.4%
どれか1つでも対応している住宅 27.9%
高齢者のための設備等 手すり2箇所以上 16.2%
段差のない室内 15.0%
廊下等が車椅子で通行可能 10.6%
いずれも備えていない住宅 72.1%
※ 資料:平成15年住宅需要実態調査 (国土交通省) より
(重複して集計されている項目があるため、計100%とはなりません)

 しかし、現実に高齢者の住宅内での事故も年々増加傾向にあり (下表参照)、それを反映するかのように、住宅に不満を持つ世帯のうち7割は「高齢者への配慮に対する不満」が占めています。
 
 つまり、これらの調査からは、最近の高齢化で住宅内の危険性が認識されるにつれ、バリアフリーリフォームも徐々には増えているけれども、本格普及には達しておらず、先延ばしにしているうちに転倒・つまづきなどを体験し、はじめてバリアフリーの重要性に気づく--といった現実が見えてきそうです。

●倍増する要介護高齢者、半数が「自宅で介護を受けたい」


 しかし、超高齢化の急速な進行により、そんな悠長なことはあまり言っていられない現実もあります。
 
 これまではバリアフリー化がそれほど普及していなくても何とか対処できましたが、厚生白書によると、2000年に120万人だった寝たきり高齢者は2025年には230万人、認知症高齢者も倍増すると予測されています。なのに一方では、「将来、子供世帯と同居するか」との問いに対し、同居派 (同一敷地内・同一共同住宅内を含む) は21.1%しかおらず、残りの8割近くは近居も含めて子世帯とは別居で老齢期を過ごしたいと思っています (平成15年住宅需要実態調査)。子供に老後や介護を頼る人は意外に少ないのです。
 
 さらに、「可能な限り自宅で介護を受けたい」と思っている人も45%と約半数。その理由は「住み慣れた自宅で生活を続けたい」「施設で他人の世話になるのは嫌」「他人との共同生活はしたくない」「施設に入る資金がない」など。確かにどれも頷ける理由です。




 つまりバリアフリーリフォームが必要になるのは、単に高齢化が進んで要介護高齢者が増えるという理由だけではありません。日本人の多くが老後に対して「子世帯とは別居しつつも、在宅で介護を受けたい」という相反した希望を持っており、そのニーズを満たすためにはどうしても、自宅のバリアフリー化が今まで以上に必要不可欠な生活インフラとなると思われるのです。

ハウジングジャーナリスト
上智大卒。東京新聞ならびに住宅業界紙の記者、住宅業界誌編集長を経て、現在は住宅雑誌やサイトで住宅関連記事を執筆。オールアバウト「家づくりトレンド情報」公式ガイドを務めるほか、住まいの達人ブログ「スマッチ!」、不動産情報ポータルサイト「リフォームHOME'S」、子育てと住まいを考える「gooベビー」などでもコラム連載中。
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