「ストレイジキューブ」 (ハウス K) 新しい収納のかたち
結婚を期に、家を建てたいと依頼されました。要望は「物が散らかっていないシンプルな空間、快適な生活がいい」、そして「物を片づけることに追われるのもいや」でした。相反する要望をどう解決するか。でも、ここに「新しい快適な家」のヒントがありました。
「発想の転換ー新しい収納のかたち」
「片づけるのはいや、でも、散らかっていない生活がいい」
矛盾する問題の答えを出すために、私たちは固定観念をはずして考えていきました。大きく二つの固定観念をはずしています。生活と収納の関係、方位(東西南北)と光の関係の二つです。「ストレイジキューブ」はリビングフロアとスリーピングフロアの2層構成です。上はスリーピングフロア、比較的暗くなりがちな下は天井高さのあるリビングフロアとして、また、南側の窓だけに採光をたよらず、あらゆる方向に開口を設けて、家全体での明るさや開放度を均質にしました。
そして家の中心に巨大な収納(ストレイジキューブ)を置き、その周りで展開される、「物」から開放された「散らからない生活」をつくりました。さまざまな生活の変化にも対応できるプランニングです。
家の中心の巨大な収納(ストレイジキューブ)。その周りに展開する1階リビングフロア、ダイニング、キッチン、ソファコーナー。巨大な収納から突き出てM2階に浮かぶ、バスルーム(右側)、タタミルーム(左側)が見える。
1階リビングフロア。ソファコーナー、キッチン、ダイニング、そして大きな窓が北側デッキへとつながっていきます。北側ダイニングも明るく、開放感があります。
キッチン左の入口から「ストレイジキューブ」へ、すぐそばにキッチン物入れや冷蔵庫があり使いやすい。キッチン上部には、浮かんでいるタタミルームの地窓が見えます。
アイランドキッチンも収納量たっぷりで機能的です。

ダイニングより北側デッキとM2階に浮かぶバスルームを見る。階段は2階へとつながっていきます(階段は2カ所あり、生活しやすい)。

「ストレイジキューブ」の中はこんな感じです。真ん中にらせん階段があり、収納は扉を付けず半透明のカーテンで仕切っています。あちこちに開いた開口から光りが柔らかく入ってきます。
1階リビングフロア。エントランスコーナーからソファコーナーを見る。上にM2階スタディルームが透明な床を通して見えます。スタディルーム上部のトップライトから光りが落ちてきます。
M2階スタディルーム。透明な床を通してエントランスコーナー(床は透明アクリル)が見えます。現在、エントランスコーナーはワンちゃんたちのケイジが置かれていてワンちゃんを見ながら楽しくスタディです。

「ストレイジキューブ」2階。真ん中のらせん階段、前後ろ2段の本棚上部のトップライトからは柔らかな光が入ります。廻りの壁面は全て部屋の入口や収納の扉です。
M2階タタミルーム。キッチン上部に位置するこの個室は、外部との窓がありません。採光はトップライトからです。タタミ両側の地窓が1階リビングフロアと柔らかくつながり、落ち着いた場所になっています。

生活の収納をあちこちに配置するのではなく、発想の転換で、家の中心を一つの巨大な収納とし、その周りに生活を展開させる。だから、どこにいても手を伸ばせば物入れがある。片づけやすく物が散らからないシンプルな空間は、エンドレスにぐるぐる廻れる空間構成によって、さまざまな生活の変化に対応できる「未完成な強い家」ともなっています。 |