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第 79 回

住宅取得のタイミング

ファイナンシャルプランナー
香取 玲子

 連日報じられる世界的な金融不安や景気悪化は、現在マイホームを検討されている方々に対しても大変悩ましい状況をもたらしています。

 先日の日本経済新聞日経プラス1には、あなたはどっち「マイホーム、買い時と思う?」というネット調査において、「今は買い時とは思わない」が「思う」と比べやや多い56%という結果が出ていました。その理由としては、まだ十分な自己資金がたまっていない、今後の生活への不安といった経済的な側面が大きいようです。
 一方、買い時と思う理由では、物件価格が安い、住宅ローン減税の拡充、住宅ローン金利の低さ等が挙げられていました。近年ミニバブル的に上昇していた住宅価格が手の届く水準にまで下がってきていると感じている方が増えているのは確かです。
 それではマイホームを取得する時期を見極めるためにはどのような要因から判断したらいいのでしょうか?

*

*
主体的側面
結婚や出産、子供の成長、家が手狭になった等を契機に
自分や家族にとっての必要性が生じる
相応の自己資金の準備ができ、資金計画のめどがついた
住宅取得後の生活のイメージを描くことができる
家計・返済計画の見通しが立つようになった
先送りしていると年齢的に借入が難しくなる
追風となる外的側面
不動産相場の下落
供給過剰により買手の立場が有利となる
住宅ローン金利の低下
税制優遇

注意すべき点

 しかしこれらの追風は表裏一体でマイナス要因も潜んでいます。例えば、現在所有している不動産の売却を前提とした買換えの方にとって相場の下落局面での売却は不利となりますし、買手市場から多くの物件をじっくり比較検討することができても、不況の波の直撃を受けている不動産業者の選別にはより慎重にならざるをえません。
 今年に入ってからも建設業者が破産して、未完成のまま工事が途中でストップしたり、過払金の回収が危ぶまれるなど多くの契約者が厳しい状況にあわれています。このような事態を招かないためには、住宅完成保証制度の加入の有無や契約内容を十分にチェックしたり、通常では考えられない支払い条件を提示された場合はまず疑ってかかるなどで自衛をしていくことが必要です。また費用はかかりますが、建物の構造や技術、不動産業界の商業上の取引についての習慣など複雑で分かりにくい部分について専門家に相談して助言を仰ぐことも1つの手段です。
 税制面では、平成21年度住宅ローン減税の拡大「最大控除額600万円」が見込まれていますが、これは一定基準以上の性能を持つ長期優良住宅を対象とし、10年間借入残高が5000万円を超えるローンを組み、且つ所得税・住民税合わせて年間60万円以上を支払っていることが前提となります。住宅ローンを借りた人すべてに600万円戻ってくるわけでは決してありません。ちなみに年収500万円、夫婦+子供2人のサラリーマンの場合で所得税と住民税の合計金額は20万円程度です。仮に借入残高3000万円で控除額が1%の30万円としても、ローン控除は借入人が実際に支払った金額が上限ですから全額は行使できないのです。また、住民税の還付は申告の翌年となり、タイムラグがあることも念頭に置いて下さい。

<税源移譲>

 景気低迷のなかマイホーム取得の決断をすることは勇気が要ります。まずは自分自身のライフプランの中でマイホームを持つ時期が今かどうか、10年20年先の自分と家族の将来のライフスタイルを再確認することが大切です。長期にわたってご家族が満足して住み続けていくことが出来るのであれば、金銭的価値が下がったとしても悲観することはありません。マイホームを投資としてではなく、あくまでも自分と家族にとって必要不可欠なものとして考えることができれば、納得できるのではないでしょうか。
 しかし、年月を経るにしたがってライフスタイルに合わなくなってきたり、予想外のことが起きて万が一手放さなくてはならなくなった時のリスクも想定しておかなければなりません。そのリスクを出来る限り軽減するためには、やはり無理な住宅ローンを組まないことや借入金額を抑え早期返済に努めることが有効です。
 また昨年12月には、良質な住宅をつくり長く大切に使っていくことを掲げた長期優良住宅に関する法律が公布されました。今後はメンテナンスをしっかり行なうことで建物の資産価値を保つことが大切になってきます。

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長期優良住宅について

住宅完成保証制度
全国の住宅建設業者を対象とした制度で、工事を依頼している建設会社がこの制度に加盟していれば、万が一建設会社が倒産しても、工事の続行が保証される。倒産した建設会社に代わって別の業者が工事を請け負い、その工事費用は保険などでまかなわれるしくみ。こうした制度は(財)住宅保証機構といった第三者機関やフランチャイズの本部が行っている。この制度を活用するためには、着工前に取扱機関と、建設会社、施主との間で書類をかわすなど一定の手続きが必要。

 不動産・金融市場を客観的に見た状況判断はもちろん必要ですが、住まいに対しての価値観や将来設計は人それぞれ異なるはずですから、周囲に踊らされることなく自分自身にとってのベストタイミングを計ってマイホーム取得を実現させましょう。

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