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第 84 回

シニア期のマイホームの有効活用

ファイナンシャルプランナー
香取 玲子

 住まいづくりを考え始めたとき、その家で生活しているイメージを描くことができるのは何年後くらいまででしょうか?

 今の家族と共に過ごす姿が浮かぶのは10年〜20年、長くても住宅ローンの返済期間といったところでしょう。子どもが成長・独立した後には夫婦二人ということも十分あり得ますし、あるいは二世帯でにぎやかに生活しているかもしれません。そのときには広すぎる家を持て余したり、使い勝手が悪くなったりと不具合が生じてくることも考えられます。また、自宅の維持への負担や求めるライフスタイルの変化、健康への不安から住み替えを意識することも予想されます。
 資金相談にお見えになる方は30~40代の方が中心ですが、年金の動向や景気の先行きが不透明なことから、住宅ローンの返済のみならず老後資金の心配を口にされる方もいらっしゃいます。

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 そこで、シニアライフを迎えたときにマイホームをどのように取り扱っていくのかを、住宅を資産として捉えて老後の資金の調達・確保について考えてみたいと思います。

住み続ける

 生活資金のほかにマイホームを持ち続けるためには税金(固定資産税・都市計画税)やリフォーム・メンテナンスなどの保有コストがかかってきます。手持ちの資金や年金でまかなっていくことになりますが、不足する資金を調達するためには後述するリバースモーゲージという手段もあります。

住み替える

 有料老人ホームへの入居、病院や子供世帯近くの賃貸住宅や利便性の高い都市でのマンションでの生活あるいは田舎暮らし等、それぞれ希望する住環境は異なることでしょう。
 住み替えの際は自宅をどのように活用するかを考える必要があります。
 売却する場合は、愛着あるマイホームを手離すわけですから勇気が要りますし、売却価格と時期によって受け取ることができる老後資金も大きく変わってきます。
 賃貸する場合は、自宅周辺の家賃相場や入居見込みを十分に事前調査することが大切です。信頼のおける仲介業者を見つけることや、空室不安への対策として家賃保証や借り上げ制度等の利用も有効と思われます。また家賃収入を得るためには、住宅の耐震・耐久性やメンテナンスに掛かる費用も考慮に入れておかなくてはいけません。
 平成18年に設立された一般社団法人「移住・住みかえ支援機構(JTI)」は、「住み替えに関する情報提供」「マイホーム借り上げ制度」を実施しています。

リバースモーゲージの拡充

 リバースモーゲージとは自宅を担保にお金を借りる方法であり、現在地方自治体や民間金融機関(東京スター銀行と中央三井信託銀行)などで扱っています。通常の住宅ローンが期間経過すると借入金が減少するのに対し、リバースモーゲージでは逆(リバース)に契約期間が進むとともに借入金が増えていく仕組みです。
 自宅を手離すことなく生きている間生活資金を得ることが可能となりますが、契約者の死亡後は物件を処分して一括返済するため、子孫に自宅を残すことはできません。
 最近では、従来の年金式の受取形式から一括借り入れが可能となったり、住み替えを前提とした商品も取り扱われ始めています。ただし、借入金利や担保の評価額は随時見直しが行われるため注意が必要です。

長期優良住宅

 現在65歳以上の持ち家比率は8割、保有資産の内訳として土地・建物が6割かつそのほとんどが自宅ですが、その資産価値の対象は土地であり、30年サイクルで建て替えられてきた建物に関しては残念ながらほとんど評価されていないのが実情です。
 先日6月4日に、安心して快適に住み続くことができる建物を作ってきちんと手入れして長く大切に使っていくことを目的とした「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されました。
 この住宅には「住まいの履歴書」が義務付けられるため、中古住宅としての適正な価値が認められ、さらには欧米に比べて大きく遅れている中古住宅市場が活性化して流通が促進されることが期待されます。そうなれば住宅を売却・賃貸・担保とすることで生み出す資金が増えることにつながります。
 長期優良住宅を取得した人に対しては税制優遇のほか、建物の資産価値を高めることで老後の生活資金を確保する選択肢が広がる後押しとなってほしいものです。

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長期優良住宅について
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 今後ますます老後の生活不安が高まるなか、依然高齢者の資産の大部分を占めると思われる自宅を有効活用していくことが求められていきます。
 住まいづくりを考えていくうえで、多少のコストアップは覚悟しても将来の老後資金を生み出す家を持つのか、あるいは老後資金は別の方法で確保していくのかについても考えてみてはいかがでしょうか?

私のクローゼットの中には、若い頃その値段にためらいながらも思い切って購入した洋服やバッグ・靴が何点かありますが、いまだに十分活躍してくれています。
 縫製や作りがしっかりしている、飽きがこない、愛着を持って手入れをし、大切に使う・・・
 本当にささやかですが、あとになってからちょっぴりトクした気分にひたれてうれしくなってきます。マイホームもそうであってほしいものです。

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