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Housing Column ハウジングコラム

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第 4 回
【階段】
 高さの違うところを上り下りするためにあるのが「階段」です。吉野ヶ里遺跡の高床式倉庫へ上る梯子(はしご)も、映画「風とともに去りぬ」で、ヴィヴィアン・リー扮するスカーレット・オハラがしずしずと降りてきた大きな吹き抜けのホールにあるのも「階段」です。当然平屋以外の住宅には必ずありますが、これがなかなかの難物で、使いやすさを考えると思わぬ面積を必要としますし、家庭内事故発生箇所の上位にあるのも「階段」です。また、階段の位置やデザインによって住まいの使い勝手や心地よさが決まってきます。慎重に工夫してもらいたいところです。

●階段の部位の名称
踏み面(ふみずら)
階段の足を乗せる部分。先端部分を「段鼻(だんはな)」といいますが、踏み面寸法とは、段鼻から上の踏み面の段鼻からの垂直線を降ろしたところまでをいい、「T」で表します。幅が狭いと足がうまく乗らず上り下りがうまくできません。建築基準法では15cm以上の有効幅が必要とされています。また、バリアフリー用には19.5cm以上といわれています(日本住宅性能表示基準)。
蹴上げ(けあげ)
階段の一段の高さをいい、「R」で表します。ここが低い方が楽に上がれますが、段数の多い長い階段になって面積を必要とします。建築基準法では23cm以下とされています。
蹴込み(けこみ)
段鼻から、下の段の蹴込み板までの寸法をいいます。これが長いとつま先がひっかかって上りにくい階段になります。バリアフリー用では30mm以下とされています(日本住宅性能表示基準)。
段板(だんいた)
踏み面の材料のことで、「踏み板」ともいいます。通常は木製のものが使われますが、金属製のものもあります。
蹴込み板(けこみいた)
段板と段板の間を縦につなぐ材料。これのない(つまり「蹴込み」のない)階段もあり、「透し階段」といいます。
滑り止め(すべりどめ)
段鼻の部分に足がすべるのを防ぐためにする工夫。ノンスリップ材料を取り付けたり、溝をつけたりします。
手摺り・手摺り子(てすり・てすりこ)
吹き抜け部分の階段の場合など、壁ではなくオープンにして手すりをつけることがあります。手をかける部分が「手摺り」、手すりを支える桟(さん)など縦の部材が「手摺り子」です。
側桁(がわげた)
一般的に階段の両側には斜めに「桁」が通り、段板や蹴込み板を受けます。これを側桁といい、この階段を「側桁階段」といいます。
ささら桁
段板を受ける桁が段々状になっているものをいいます。この階段を「ささら桁階段」といいます。
踊り場(おどりば)
階段が長いときや向きを変えるときに階段の途中に設けます。通常より広い段板で、ほっと一息つくところです。
●形状による階段の種類
直進階段
まっすぐ一直線の階段。俗に「てっぽう階段」ともいいます。長い場合は途中に踊り場を作ることもあります。
折り返し階段
階段のほぼ中ほどに踊り場があり、折り返して上り下りするもの。「いってこい階段」とも言います。安全性は最も高いのですが、直進階段のおよそ1.5倍の面積が必要になります。なお、踊り場を持って直角に曲がる階段は、矩折れ(かねおれ)階段といい、吹き抜けに作ると視界の変化が楽しめます。
回り階段
踊り場がなく、折り返したり、曲がる部分にも段のある階段のことです。必要面積は直進階段とほぼ同じなので、割とよく作られます。ただし、上がりながら体の向きを変えてゆきますので、平らのところで体の向きを変えられる踊り場を持った階段より、安全性は劣ります。
螺旋(らせん)階段
機能的に良いとはいえませんが、デザイン性を追及することができます。また、中央の柱1本で階段全体を支えることが多いので強度のチェックも欠かせません。
●階段の留意事項
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勾配
勾配は、階高(床面から床面(たとえば1階から2階まで)の高さ)と階段の長さによって決まります。階高は天井高などにより建築的に決まりますが、長さは、踏み面(T)と蹴上げ(R)の寸法により決まります。通常は「2R+T=63」程度(勾配としては30~35度が上がりやすいといわれています。また、バリアフリーの階段には「55≦2R+T≦65」(住宅金融公庫 (現 住宅金融支援機構) 基準)という計算式があります。
いろいろな寸法の階段を書いてみました。参考にしてみてください。
有効幅
住宅における 階段の幅は、建築基準法で75cm以上必要です。これは壁の仕上材の表面から向かい側の表面までの長さ(つまり有効)として必要です。ただし、手すり等については、10cmを限度としてないものとみなすことができます(令23条3項)。
天井高
階段の上が吹き抜けになっている場合は、問題ありませんが、ついつい上階の面積が無駄に見えて、物入れなどを作ってしまいます。階段の上り下りのとき頭がつかえることがありますから、底をあげておくなど設計に留意してもらっておきましょう。
引越しのときの家具の搬入
新居への引越しのとき、意外に問題になるのが階段の形状と幅です。2階の窓から直接入れられる場合はあまり問題になりませんが、階段だけしかルートがないときは、事前に良く考えておきましょう。
●バリアフリーと階段
手すり
高さ1mを超える階段は、手すりを設けなければなりません。さらに、バリアフリーの観点からは、階段につける手すりは、両側にあり、しかも連続的につながっていることが望ましいとされています。
照明
階段は足元が暗いと上り下りしにくいものです。照明の位置に気をつけることと、できれば、蹴込み板などに「足元灯」があればお年寄りにも楽になります。
斜行機(しゃこうき)
階段の上り下りが難しくなったときに、座席に座ったまま機械で上り下りするものです。階段昇降機ともいいます。有効幅に配慮が必要になります。
ホームエレベータ
ビル用エレベータよりも簡易な家庭用の仕様が決められてから普及するようになりました。中級の自動車程度の値段になっています。ところで、エレベータを設置しても、階段は必要ですのでお間違いないように。
階段の種類
転倒したときに最下段まで転げ落ちる心配のある「直進階段」や、踏み面の幅が途中で変わる「回り階段」などはできるだけ避けたいものです。
●階段の工事
階段セット
以前「階段」は大工の腕がはっきり分かるところといわれていました。木材の乾燥具合や癖を知って、あとでギシギシしないように仕事をするのは、なかなかに大変なものだったのです。最近は、建築材料メーカーが、側桁、段板、蹴込み板、手すりなどをセットにして工場から出荷しています。仕上面もバライティに富んでいますし、集成材を使って、難しい調整なしで施工できるようです。
各イラストをクリックすると拡大表示されます
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