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Housing Column ハウジングコラム

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第 35 回
【住まいの防犯対策を考える】

 ここ数年日本での犯罪件数は増加の一途、日本の安全神話は崩れたかに思われます。様々なメディアで防犯対策の情報が飛び交い、嫌がうえにも住まい手の防犯に対する関心は高まってきました。最新防犯商品の情報を得ることも大切ですが、今回は戸建住宅を計画する際の建て主の心構えについてお話したいと思います。

●犯罪傾向を知ることからはじめる

 防犯対策を立てるためには先ず犯罪の実態を知ることが大切です。2003年の1年間に日本で発生した犯罪件数は約280万件に達し、その約15% (33万3千233件) が侵入犯罪です。それを発生場所別に見ると、住宅 (戸建,マンション) で起きた件数が19万2千383件、全体の57.7%です (出典:警察庁統計)。侵入犯罪の半数以上が住宅で起きています。
 戸建住宅はマンションに較べると扉や窓など開口部が多種多様で個数も多く、1階の開口部だけでなく塀や電柱等を足がかりとして2階の開口部なども侵入口になり得ます。進入経路は「道路から直接」が最も多く、居住者のように門扉を開けて正面から入るケースが多いようです。進入方法は「ガラス破り」が最も多く、意外にも浴室や便所よりも居室やベランダからの進入が多いようです。各都道府県の警察本部のホームページなどに常に注意を払ってお住まいの地域での傾向を把握しておくと良いでしょう。
 以上の侵入手口からすると、建物に侵入されないよう扉や窓などの開口部の強化が対策の中心となります。侵入されにくい部品 (防犯性能の高い建物部品) の導入による効果は高いと言われていますが、価格が既存部品よりも高めです。住まいの弱点は何処か、どの部分に重点的に防犯対策をすべきか、よく考えて住まいの計画に取り入れることが大切です。

●周辺環境をチェックしてみる

 周辺環境の特性を把握して、弱点を見つけることが防犯対策の第一歩です。周辺環境の特性を知ることで、住まいの間取り計画での配慮や部材の優先的な強化などの対策を講じることができます。例えば周囲からの見通しが良いか、街の管理が行き届いているか、近隣住民との交流が深いか等チェックして周辺環境を見直してみましょう。これから住まいを建てようとする場所がどのような環境なのか把握しておくことで、住まい手ならではの我が家の気になる部分を依頼先に伝えることができ、防犯対策についてのコンセンサスが得られやすいようです。

●防犯とトレードオフの関係にあるもの

 防犯性を高めようとすると防災、デザイン、利便性、快適性などに矛盾が生じることがあります。例えば、防犯を意識するあまり何重にも複雑に施錠された玄関ドアは、火災時の避難に時間がかかったり、牢屋のようにどこもかしこも格子だらけでは、快適な住まいとは言えません。防犯に効果的な場所と効果的な対策を考え、快適な住まいを計画したいものです。

●防犯計画の5つのポイント
  1. 人目を意識させる…近隣住人や通行人の視線が絶えずあるように、建物配置や外構造園計画での配慮が重要です。高い塀で囲まれている敷地では一旦浸入されると犯行の隠れ蓑にされがちです。反対に何の障害もない敷地は浸入されやすいので、要所が適度に見渡せ、お手入れが行き届いていると、侵入者を拒む抑止力になります。
  2. 時間をかけさせる…侵入者は「入り易く、逃げやすい」建物を選ぶ傾向にあるようです。「防犯性能の高い建物部品」を用いる等ハード面での対策が重要です。一般的に防犯性が高いと認められる時間的目安は、公的基準の「抵抗時間5分」。それは被疑者アンケートでの「5分で約7割、10分で約9割が犯行を諦める」という結果からきています。これは普段の防犯対策の参考にもなるのではないでしょうか。
  3. 音を効果的に使う…例えば、「砂利敷き」の小石がぶつかり合うジャリジャリという音、樹木のガサガサという音。侵入者にとって自分で制御できない心地よくない音は心理的に侵入者に威嚇効果があると思われます。これは決して大きな音である必要はなく、近隣の迷惑にならない対処法ではないでしょうか。
  4. 光を効果的に使う…主に夜間の犯行を予防するための方法です。防犯領域にある程度の明るさを確保する為で、外灯、門灯、庭園等などがあります。特に侵入の恐れのある開口部廻りには人感センサー付きや、フラッシングなどの威嚇機能がある照明設備を設置する方法もあります。
  5. 外部廻りで防ぐ
    塀、柵、生垣
    乗り越えにくさ、見通しの良さがポイントになります。
    門、門扉
    侵入者は普通に門から入ってきます。いかに門を通さないか工夫が必要となります。見通しの良い設置位置、門扉の堅牢さ、優れた施錠機能等が重要です。
    屋外施設 (インターホン、郵便受等)
    インターホンや郵便受の位置が敷地の奥深くにあると不審者を敷地内に誘導してしまいます。不審者を誘導しない設置位置の工夫が必要です。
    駐車スペース
    駐車スペースと道路との境界線が明確でないと侵入が容易となります。またカーポートの屋根が2階バルコニーに上る足がかりとなる場合もあるので注意が必要です。
    手入れされない庭や茂った植物は見通しを悪くし、侵入者の識別を難しくします。また自転車やエアコンの室外機が2階への足がかりになることもあるので注意が必要です。
●鍵のかけ忘れに注意

 警察庁の報告によると、住まいに限らず無施錠のドアや窓からの侵入が相当数に上っています。
 「鍵をかける」ことは最大の防犯対策です。つい忘れてしまう浴室やトイレの窓の鍵。注意するだけでなく、鍵のかけ忘れを防ぐ具体的工夫も必要です。依頼先と相談してみましょう。
 
 従来、日本では町内会・自治会のコミュニティを中心とした防犯活動による犯罪防止が有効に働いていました。それが70年代後半から急激な都市化が進み、地域の近隣関係が崩れ、その有効性に陰りが出てきました。地域全員で防犯に取り組む体制がほとんど無くなってしまった今、ご自身がお住まいの地域特有の犯罪傾向を知り、依頼先と話し合うことが大切です。
[住まいのナビゲーター 蕚 靖子]
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