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Housing Column ハウジングコラム

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第 46 回
【耐震】

 家を建てようと考えたとき、地震に強い家にしたいと考えるのは当然のことです。日本は地震の多い国ですから、建物の耐震に対する性能はとても気になりますね。そうはいっても耐震性能ってどうやって決まっているの?どれくらいの地震に耐えられるの?と良く判らないこともあるでしょう。前回の「免震・制震」に続き、今回は「耐震」についてお話いたします。

●耐震制度の歴史は地震と共に

 「耐震」とは構造体そのものを丈夫で強く作ることで地震の揺れに耐えられるようにすることです。建物の耐震性は建築基準法によって規定されていますが、この建築基準法は、大きな地震による被害を教訓に考え方が見直され、都度改定され現在に至っています。
 
・地震の被害と耐震性能の進歩

主な基準法改正内容
1948 福井地震 M7.1
1950 ○建築基準法制定 *床面積に応じて筋交い等を入れる「壁量規定」を設ける等
1964 新潟地震 M7.5
1968 十勝沖地震 M7.9
1971 ○建築基準法施行例改正 *コンクリートの帯筋の間隔を短くするなど、構造躯体のねばり強さを強化する規定を設ける等
1978 宮城県沖地震 M7.4
1983 日本海中部地震 M7.7
1981 ○建築基準法施行例改正 (新耐震) *耐震設計性が根本的に見直され、耐震設計基準が大幅に改正される。現在の新耐震設計基準が生まれた。阪神・淡路大震災で、倒壊・半壊した家屋は、古い耐震基準 (1981年以前) で作られたものが大半を占めており、新耐震設計基準の住宅では被害が少なかった。
1995 阪神淡路大震災 M7.3 震度7を記録
2000 ○建築基準法改正 *木造住宅の仕様規定を明確にする等

 新耐震以前に建てられた建物が全て危険だという訳ではありませんが、現行の基準にのっとっていないものもあります。是非、確認しておきたいものです。

●耐震性能とは

 現在の耐震性能は建築基準法によって安全性の基準が定められています。
 建築基準法において、建物の耐震性能は2段階で考えられています。

□ 建築基準法の水準
  1. 数十年に一回発生する地震 (東京では震度5強程度) に対しては、建物の機能が使用可能な状態を確保できる耐震性能
  2. 数百年に一度発生する地震 (阪神・淡路大震災のようなごくまれに起こる大地震・東京では震度6強から震度7程度) に対しては、建物は一部壊れたとしても、最低限、人が逃げる時間内は建物が崩壊しない状態を確保できる耐震性能
 又、2000年に定められた「住宅の品質確保の促進等に関する法律」(品確法) においては、耐震性を判断する目安として3段階の耐震等級が表示されました。等級1が建築基準法と同等のレベル、等級2、等級3となるほど建物の耐震性は高くなります。
◇ 品確法・耐震等級の目安
・等級1 建築基準法の水準と同等
・等級2 同法の水準の1.25倍の地震を想定した耐震性
・等級3 同法の水準の1.5 倍の地震を想定した耐震性
●地震に強い家のかたち

外力に対抗する家のかたち

 では、地震に対して強い形とはどの様な形でしょうか?
 強い風が吹くと窓がガタガタ揺れたりすることを経験したことがあるでしょう。
 また、沢山の雪が降る場所では、積もった雪の重みでギシギシと家が鳴ることもあります。地震で揺れている時など特に不安になることもありますね。
 これらの地震や風、雪の重さなどが建物に及ぼす影響を、「建物に働く力」と呼びます。2階建ての建物では、2階の重みが1階に働く力を鉛直力とよびます。鉛直力には建物の重さである自重及び家具や住んでいる人々の重量である積載重量とよぶものがあります。また、これに類する力に積雪などがあります。これらが上から下への縦の力です。又、地震や風の圧力などは横からの力 (これを水平力とよびます) です。建物が壊れないようにするために、これらの力を上手にコントロールしてあげる必要があります。
 
 縦方向の力 (鉛直力) と横方向の力 (水平力) に対抗するための構造として主に「軸組構造」・「壁式構造」・「ラーメン構造」の3つの構造があります。
 そして、建物は、この3つの構造の組み合わせによって作られています。

軸組構造 壁式構造 ラーメン構造
ブレース (筋交い) で地震に対抗する構造。
木造軸組工法
軽量鉄骨造 など
建物に強い壁面をつくることによって地震に対抗する構造。
2×4工法
RC壁式構造 など
柱と梁の接合部分を強靱にすることによって地震に対抗する構造。
重量鉄骨造
RCラーメン構造 など

バランスも大切なポイント

 建物に働く横からの力に対抗するのは、筋交いなどの壁の一部です。この力を受けている壁を耐力壁と呼びます。建物には一定量の耐力壁が必要ですが、量を満たしていたとしても、平面的に偏っているなどバランスが悪いと、建物にねじれが生じ、地震などに対して弱い建物になります。このバランスを確認する方法に「重心」と「剛心」を確認する方法があります。
 「重心」とは建物の重さの中心であり、「剛心」とは建物の強さの中心で、耐力壁の位置から計算されます。
 地震の時には、建物は「剛心」を中心に「重心」部分が揺れます。振り子に例えるならば、「重心」は重りであり「剛心」を支点にして揺れるのです。
 この時「重心」と「剛心」の位置が離れていると、建物は剛心を中心に回転してしまい (回転しない部分からみるとねじれてしまい)、倒壊につながることもあります。これを偏心が大きい建物といいます。

重心:建物の重さの中心
剛心:建物の強さの中心

構造はどのように設計されている?

 建物には「構造計算が必要な建物」と「基準 (仕様) に従って建てる建物」の2通りのものがあります。

□ 構造計算が必要な建築物


 これらの規模に該当しない一般の木造2階建住宅等においては、構造計算を行う必要はありませんが、基準 (仕様) の内容を満たすものでなければなりません。
 
 木造住宅の基準 (仕様) の規定では、柱の太さや筋交いの位置、基礎などについて定められています。阪神・淡路大震災の被害を受けて、2000年の建築基準法改定では今まであいまいだった木造住宅の仕様規定が明確になりました。この中で構造的に特に重要とされたのは (1) 基礎 (2) 構造材の接合部 (3) 壁の3点です。
 
□ 接合部

 ここでは、ちょっと気になる接合部について述べます。
 筋交い端と柱・梁などの接合部、耐力壁脇の柱の柱頭・柱脚と土台・梁などの横架材との接合部の接合の方法が決められています。専用金物として筋交いプレートやホールダウン金物、アンカーボルトなどが使われるように規定されています。ホールダウン金物は、柱が土台から引き抜かれるのを抑えるための金物です。


基礎
地盤の強度により、基礎の基準 (仕様) を決める。
底盤の厚みや立上り部分の厚みの他、各部の鉄筋量や地中に埋める深さなどを定められています。
厚さ3cm以上幅9cm以上の木材の筋交いをたすき掛けに入れた軸組 構造用合板を打ち付けた軸組

壁 (耐力壁)
地震や風などの横からの力水平力に対して抵抗できるように筋かいを入れ、または構造用合板などを張った壁のことを「耐力壁」と呼びます。耐力壁の量を満たすだけでなく配置に偏りがない様にバランス計算が必要となっています。
 
●家づくりと構造について

 耐震についてご理解いただけましたか。最近では、構造計算の不要な木造2階建ての住宅でも構造設計者が参加して構造計算を行い、デザインと機能と構造を同時に解決する、あらたな可能性も生まれています。このような流れにはコンピューターを用いた構造設計の技術進歩も寄与しています。
 
 「南側や景色の良い方向に大きく窓を取りたいけれど、バランスのことを考えると小さな窓で我慢しようか」などとお考えになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。快適性と安全性はぶつかることもあります。設計者に相談することで、大きな窓とバランスの良い家を手に入れることも可能です。
 地震に強く安全であり、かつ快適に暮らすことができる住まいづくりを目指してください。

[住まいのナビゲーター 与倉 亜紀子]
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