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Housing Column ハウジングコラム

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第 66 回
【図面のはなし】

 皆さん、住宅の図面 (設計図書とも言います) をご覧になったことはありますか?
 間取り図でしたら雑誌や不動産広告などで目にすることがあると思いますが、その他の図面というとどうでしょうか?
 
 私が普段設計の仕事をする中では、実際の図面をご覧頂きながら、その種類や内容についてご説明する機会があります。その時に、ほとんどの方が「初めて見ました」「こんなにたくさんあるんですね」と驚かれています。家を建てる上で大切な図面ですが、意外と知られていないのが現状なのでしょう。
 
 今回は、住まいづくりに欠かせない図面についてのお話です。
 図面は住まいづくりの段階によって呼ばれ方が変わります。このコラムではその段階に沿って、そこで登場する図面の内容と見る時のポイントについてお話したいと思います。まずは、図面を大掴みに捉えてみましょう。

●基本設計


 図面を見る最初の段階です。
 お客様からの依頼を受けた設計者が、敷地の確認、要望の聞き取り、法規制の確認を行ったあと、様々な条件を総合し、どのような家が建つか検討を重ね、図面化します。この作成された図面を『基本設計図』といいます。基本設計図をもとにお客様との打合せが行われます。基本的にはお客様のご承認を頂くまで打合せ→検討→図面修正という流れが続き、最終的にこれから建てる家の大筋が決まるということになります。
 
 この期間には、設計者と図面を介してコミュニケーションを深めていきましょう。今後の基本となる図面を作っていく段階ですので、要望をしっかりと伝える、図面を見ながらそこで暮らすことをイメージする、より良いアイディアがあれば提案してもらう、そしてそれを図面に反映させるということが重要となります。
 基本設計図には、一般的に平面図、立面図、断面図、仕上表が作られます。また設計者によってはこの段階での工事金額を算定し、概算見積として添付するところもあります。
 
 図面との付き合いが始まって、図面をよく見る機会です。以後、この基本設計図をもとに詳細を詰めていくことになりますので、設計者任せにしないように、自分が暮らす住まいが図面に表現されているという気持ちで、図面と向かい合いましょう。

●実施設計


 基本設計を元に詳細を決め、工事金額を確定させるために、また実際の工事を行うために必要な情報を盛り込んだ図面を作成する過程となります。
 ここで作成された図面を『実施設計図』といい、基本設計時に描かれた図面より縮尺が大きくなりますし、違う種類の図面も登場します。

 この期間も、基本設計時と同様、図面を介していろいろなことを決めていきます。大筋は基本設計で決まっていますが、まだまだ実際に家を建てるための図面としては情報が不十分です。細かい寸法、構造から仕上げに至るまでの材料・材質・メーカー・品番・色など、決定した情報を全て図面に表記していくこととなります。
 
 専門的で詳細な図面を見ると「難しそう」と思ってしまいがちです。確かに図面を全て理解するのは容易なことではありませんので100%理解できなくても良いと思います。但し、この図面を基に工事金額が決まり、契約が行われ、実際に家が作られることを考えると、「難しいから」、「面倒臭いから」・・などと言ってはいられません。図面についての説明を受け、分からないところは積極的に質問をしましょう。
 基本的に、図面に描いていないことは工事金額に計上されませんし、工事も行われません。
 図面を介してコミュニケーションをしっかりと行い、工事が始まってからの追加変更工事が多くならないように、設計時に図面上で十分に検討をしておきましょう。

●確認申請、住宅性能表示制度による性能評価


 これから建てようとしている家が、建築基準関係規定に適合しているかどうか、また希望する性能の等級に適合しているかどうかを判定してもらうために、役所若しくは指定確認検査機関 (性能評価の場合は指定住宅性能評価機関) に申請をします。図面や仕様書を基に審査が行われます。適合していない場合は図面を修正しなくてはなりません。図面を修正するということは、計画に変更が生じる (例えば、部屋が狭くなる、天井の高さが低くなる、屋根の形状や勾配が変わる、など) ということです。確認申請に提出する図面のことを『申請図』といいます。
(住宅性能評価に関してはナットクコラム第30回『知っておきたい「住宅品確法」』をご参照下さい)

●見積・契約


 上記の実施設計図を基に見積が行われます。金額の調整のため、設計変更が行われる場合があります。設計変更=図面修正ということになります。見積時の図面を『見積図』といいます。
 金額、内容とも承認を頂いた図面が契約時に契約書類の一つとして添付されます。図面が添付されるということは『この図面で工事が行われる (建てる) ことを了承しています』ということで、この先は契約書に添付された図面が元になり、変更があれば金額も増減するという具合になります。契約時の図面を『契約図』といいます。(契約に関してはナットクコラム第18回『契約のはなし』をご参照下さい)

●工事


 契約図通りに工事が行われていきますが、図面では表現しにくい部分や細かい寸法が必要な部分など、施工者に意図を伝えるため更に詳細な図面を描いたり、現寸図といって実際の大きさと同じ大きさ (縮尺1/1) の図面を描くこともあります。それらの工事用に使う図面を『施工図』といいます。

●竣工


 実際に建てた状態を図面化し、竣工時または竣工後に建主に提出します。この図面を『竣工図』といいます。契約図から工事中に出た追加変更箇所を修正した図面になります。後々のリフォームやメンテナンス時に有効な資料ですので、大切に保管しておきましょう。
 
 図面は、建主と設計者と施工者の共通言語であり、大事なコミュニケーションツールです。
 住まいづくりをきっかけに図面に何が描かれているのか、図面を基にどうやって家が建っていくのかを、是非見て欲しいと思います。紙上に描かれた図が実際の家になるって、凄い事だと思いませんか?
[住まいのナビゲーター 大里 幸子]
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