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第 75 回
【図面のはなし (2)】


 ナットクコラム第66回【図面のはなし】では、住まいづくりの各段階でいろいろな図面が登場すること、また、その図面を見る時のポイントについてのお話をしました。
 家が完成するまでには多くの図面が作成され、それがお客様・設計者・施工者がコミュニケーションをとるための重要な役割を果たしているのだということを分かって頂けたと思います。
 このように、出来上がった図面の最大の目的は、情報を人から人へ伝えることと言えますが、作成途中の段階においても図面は重要な役割を果たしています。それは「検討・確認」の役割です。
 
 さて今回はいろいろな図面がある中で、「展開図」という図面についてお話をしたいと思います。「展開図」の役割をご紹介しながら、図面の重要な役割である「検討・確認」機能についても知って頂くことが出来れば幸いです。

●展開図とは


 単純に言うと、室内の壁を正面から見た図、ということになります。
 通常、北面⇒東面⇒南面⇒西面のように、ある方向から時計回りに描かれます。
 部屋の中心に立って、北面~東面~南面~西面という具合に、時計回りに写真を撮って並べた感じ、と言ったら分かりやすいでしょうか。家が完成した時の壁の様子が図上に表現されます。
イラストはクリックすると拡大表示されます。

●展開図で何を知る?

 「壁を描いた図」と分かったところで、さてこの図面、何のために必要なのでしょう?
 
その1.壁の形と寸法です。
 床から天井までの高さが一定の場合、平面図に天井高 (床から天井までの高さ) を記入することもありますが、天井が傾斜していたり途中に段差があったりする場合は、平面図だけでその情報を伝えることは不可能です。平面図で見ると同じ長方形の部屋でも壁の形や高さが違うことがありますので、それを展開図で表現します。
 
その2.壁に付いてくるもののチェックです。
 ナットクコラム第21回【間取りを「どう」読む?】では、「間取り図に描かれた窓がどんな窓なのか、間取り図だけでは分からない、間取りを見るときは立体的にイメージすることが大事である」と書いています。確かにとても大事なことですが、平面から立体を想像するのはなかなか難しいことです。それを助けるための図面として展開図が必要になります。

 ここでちょっとイメージして下さい。
 今お持ちの家具を、新居に持っていこうと思っている。⇒平面図で見て、この窓の下に置けそうだとイメージしていた。⇒新居が完成、引越しして実際に置いてみると、家具が窓にかかってしまって、意図したようにならなかった。
 その他にも、手摺を付ける予定だったのが、位置の指示がなかったために手摺の取付に必要な下地が入っておらず、後から壁を壊して下地を入れたなど。
 このような問題は、展開図があれば事前に窓の高さも分かりましたし、手すりの位置も指示できた、ということになります。
 展開図に記入するもの、つまり“壁に付くもの”は、たくさんあります。
 設計者はそれらの位置について、使い勝手が悪くないか、何かにぶつからないか、バランスが悪くないか、下地が入れられるか、構造体に影響を与えないかなどを展開図上で入念にチェックしていきます。
 
 今回は「展開図」をご紹介致しましたが、実はこの図面、家をお建てになる方にとって、窓のデザインや高さ、コンセントの位置決めなど、大変身近な図面でありながら、あまり存在を知られていないようです。また、そもそも作成されていない場合もあるようです。
 もし、家を建てるときにこの図面がなかったら?と考えてみて下さい。まず、図面上での検討・確認作業が省略されたことが心配です。もし図面がなければ、現場で家を建てる職人さんは、何とか他の図面から情報を読み取るか、現場監督もしくは設計者にいちいち質問するか、自分の経験で施工するか、というような工事を強いられます。その結果、お客様のご要望と違ったものが出来上がってしまうかもしれません。
 これから家づくりをされる方にとっては初めてで、しかもその時だけのことで知らずに通り過ぎてしまうかもしれませんが、是非、このコラムを通して「展開図」の認知度が少しでも上がりますように。
[住まいのナビゲーター 大里 幸子]
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