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Housing Column ハウジングコラム

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第 77 回
【伝統構法と在来構法】


 環境の変化や技術の進歩もあいまって時代はどんどん変化しています。都市には高層建築が立ち並び、次々と新しい街が出現しています。
 マンションや、戸建においてもRC (鉄筋コンクリート) 造、鉄骨住宅が増えており、木造住宅に住んだことがなく木造住宅を知らない世代も出てくる時代になってきました。
 でも考えてみると、学校の教科書でも学んだように日本は歴史的には木造建築の国であり、長い間多くの建物が木造で造られてきたのです。木の家に親しみを感じ、住みたいという人もたくさんいると思います。
 また、木造住宅の代表的な構法の一つとして 木造在来構法 (木造軸組構造) ということばをよく聞きますが伝統構法ということばもあります。どちらも日本の構法ですが違いはわかりますか?
 今回はそんな木造住宅の構造のおはなしです。

●『伝統構法』

 『伝統構法』は現在でも神社や寺院・民家などで見かける日本古来の構法で、太い柱と大きな梁を使う構法です。
 斜め材である筋交いはなく貫という水平の木材を使って建物を固め、地震や台風などの水平力に抵抗する粘りと復元力のあるラーメン構造で大空間を作ることが出来ます。
 また、壁は柱が外に出る「真壁」が多く使われています。建物内部は外に比べて壁が少なく、板戸・襖・障子などの建具によって部屋を仕切ります。


●『木造在来構法』
ラーメン構造
木造軸組構造

 一方、『木造在来構法』は同じ木造の2×4 (枠組壁式構法) と比較してもよく耳にします。現在の木造住宅の多くはこの方法で建てられており、柱や梁という木材 (軸組) によって建物を支えている構造でこの言葉は「日本にもともとあった構法」という意味で使われています。
 しかし、伝統構法との大きな違いとして主な接合部を金物で補強し筋交いという斜め材を入れ、地震や台風などの水平力に抵抗している点があります。細い柱や梁で作られた庶民の住宅を強くするために、伝統構法を基礎としながらも西洋の考え方を取り入れ、耐震性能を考慮した比較的新しい構法です。
 たび重なる地震や災害の後 1950年の建築基準法制定による義務づけがされたことにより、ほぼ現在の木造在来構法で建てられるようになったのです。(参照: 第20回【構造の種類】第46回【耐震】)
 壁は主に柱の外側に合板を貼る「大壁」構造で、内外ともに壁が多い家になっています。

木造住宅の代表的な構造
在来構法
2×4 (壁式枠組構法)

知っていますか?伝統構法のこんなところ

 今では数も少なくなりましたが、昔からの伝統構法の家は建物の組み立てと逆の手順を踏むことで部材が容易に解体出来、傷んだ部分を継ぎ直して補修することに使ったり、新たな家を建てる材料としても使っていました。古くなった畳も畳床として再利用し、その後には土壌の改良材や肥料として自然に戻し、木の廃材も燃料として使っていたことを考えると、合理的であると同時に限りある資源を工夫して使ったエコロジカルな住まいであったことが判ります。
 日本の気候により、冬よりは夏の高温多湿の厳しい暑さに合わせてつくられた開放的な構造で建具の種類も多く、板戸・襖は押入れや部屋の仕切り、障子は明りとりとして、外部には雨戸や格子を組み合わせるなど、用途や季節により使い分けられていました。冬の寒さ、家の内部の暗さ、プライバシーなど現代生活としては使いにくい部分もありますが、狭い家を使い分け、限りある資源を有効に利用していたことを考えると優れた点もあります。



●わかりにくい 見た目の洋・和風と構造

 日本の建築は明治維新までのほとんどが伝統構法によって建てられており、明治時代になって建てられた洋風建築も大半は、外観は洋風でも構造は和風の擬似洋風の木造建築物でした。


 ところが最近では逆に、木造住宅も2×4工法 (壁式枠組構造) などの洋風構造が増える中で、和室などの内装のみを和風にする場合も多くなっています。
 住宅の欧米化が進むとともに、外観と中身が逆になってきているのは興味深いところです。

 ちょっと堅苦しくて難しいお話だったかもしれませんが、外から見てわかりにくい住宅の構造も耐震や高気密住宅・ライフスタイル・社会のニーズなどと共に、常に変化していることをお伝えしたくてコラムにしてみました。
 また構造に限らず、技術はこれからも進歩し新しい建物が建っていくことと思いますが、変えるところは変えるとしても古くから自然との調和を考えて工夫しながら暮らしてきた日本文化の良いところは取り入れて、次の世代にも伝えていって欲しいものだと思っています。

[住まいのナビゲーター 廣瀬 妙子]
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