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HOUSING COLUMN
第 107 回

【住まいの温熱環境を見てみよう!!】

  前回は、温熱環境を決める6つの要素と熱の伝わり方についてお話しました。熱の伝わり方を考えながら温熱環境の要素を工夫して組み合わせることで、快適な暮らしをすることができます。
そこで今回は、住まいの中ではどのように熱移動が起こっているのかをお話しながら、住まいの温熱環境について見ていきましょう。

*

住まいの熱移動はどうなっているの?

  住まいは、雨風や気温の変化といった外部環境から、わたしたちを守ってくれますが、夏の厳しい日射や冬の冷たい外気は、どのように住まいに影響を与えているのでしょうか?
外部の熱は、屋根・壁・窓・床などから住まいの室内に伝わります。外部から室内に入る熱もあれば、室内から外部へ逃げてしまう熱もあります。
まずは、外気に面した壁の熱移動の様子を見てみましょう。

 図1のように外周部の壁では、室内側の空気の流れによって対流が起こり、同じように外の空気でも対流が起こっています。また、壁の中では伝導によって熱の移動があります。さらに、その壁からの放射熱が室内に伝わるとともに室内の人体や冷暖房機器などからの発熱による放射熱も壁に伝わります。

図1

 

  窓でも同じような熱移動が起こりますが、ガラスは直射日光が透過するために放射熱が直接室内に移動します。
 壁と同じように、対流やガラスそのものの内部の伝導が起こりますが、もっとも影響を受けるのは日射による放射熱です(図2)。夏に冷房しているときに住まいの中に入り込む熱のおよそ70%が窓から入り込んでおり、そのほとんどが日射によるものです。一方、冬は窓から入る日射による温もりはうれしいものですが、暖房しているときに住まいから逃げてしまう熱のおよそ半分はやはり窓から流出しています。
 なお、窓のガラスを複層ガラスLow-eガラスなどの機能性ガラスにした場合には、空気層によって伝導熱が小さく抑えられたり、直射日光による放射熱を遮ったりするので、室内への影響は小さくなります。

図2

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複層ガラス

Low-Eガラス

 それでは、住まい全体ではどうなっているのでしょうか。

 図3では主な熱移動を表しています。
 屋根、壁、ガラス、1階の床など、外部に面している部分では、内部で伝導、表面で対流、周囲で放射による熱移動が起こっています。現在では少なくなりましたが、すきま風が入る場合には、さらにすきま風による対流によって熱移動が起こります。
 快適な温熱環境の住まいにするためには、これらの熱移動をできるだけ小さくすることが大切です。

図3

もう一つの熱移動

  ここまで、伝導、放射、対流という3つの熱移動についてお話してきましたが、住まいをとりまく熱移動にはもう一つ、「蒸発冷却」というものがあります。水分が蒸発するときに気化熱を奪うという熱移動です。わたしたちが汗をかいているときに団扇であおいで汗が乾くとすっと涼しくなるのが一例です。
 日常の住まいの中では、雨や雪解けで濡れた屋根や外壁が太陽の日射などで乾くときに蒸発冷却がおこります。真夏の暑いときに打ち水をして涼しくなるのも蒸発冷却によるものです。

熱移動を小さくするには?

 屋根や外壁などを通して入ったり逃げたりする熱の量を減らすためには、屋根や外壁そのものの熱の伝わりやすさを小さくすること、つまり断熱性能を高めることが有効です。一般的には外部に面した部分に熱の伝わりにくい断熱材を取り入れます。前回お話した熱伝導率の小さい材料が効果的な断熱材で、実は「空気」はとても良い断熱材です。ただし、まとまった空気になると対流による熱移動が起こるので断熱効果は小さくなります。

熱の伝わり方の比較

 例えば、複層ガラスは、ガラスとガラスの間に乾燥空気を入れて断熱性能を高めたものです。
 さらに、空気よりも断熱性能を高めるには、真空状態にすることです。実際に真空の断熱性能を活かしたガラスもあります。
 また、どんなに断熱性能を高めても、すきま風があると室内に熱が入ったり逃げたりするので、すきま風がないように気密性能が高いことも求められます。
 この断熱性能と気密性能がとても高いこと=「高気密高断熱」は、みなさんも耳にされたことがあるのではないでしょうか。

住まいで発生する熱は?

 住まいの中では、いろいろな場所で熱が発生しています。
 わたしたち人体からの発熱、照明器具やパソコンなどからの発熱、ガスコンロやクッキングヒーター、アイロンやヘアドライヤーなどの加熱機器、料理や炊飯、浴室などの給湯、そして冷暖房器具など、様々なものや行為によって熱が発生しています。
 これらの熱によって室内の温度は変化していますが、外気の温度が変化しても室温には影響を及ぼさないように工夫することで快適な住まいとなります。
 また、住まいはいくつかの部屋にわかれており、部屋と部屋の間でも熱移動が起こるので、冷暖房している部屋としていない部屋の間では熱移動が起こらないような工夫も必要です。

 いかがでしょうか?このように、住まいの中ではいろいろな形で熱が移動して、温熱環境に影響を与えています。基本的な熱の移動の仕組みを理解して、住まいのどこでどのように熱が伝わっているのかがわかると、より快適な住まいづくりや暮らし方にするための工夫ができるようになります。
 次回は、季節ごとの温熱環境の工夫についてお話しします。

[住まいのナビゲーター 青木 千枝子]

 
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