- 第 3 回 住まいのナビゲーター:田中哉子さん[前編]
「住まいのナビゲーター」には
どこまでわがままを
言ってもよいですか?
知識も経験も豊富な「住まいのナビゲーター」ですが、よりよいコミュニケーションを行うためには、相談する側の心がけも大切です。ナビゲーターの田中哉子さんに、相談するときのマナーについて聞きました。
「自分の言いたいことを
ナビゲーターに言ってもらう」はOK
お客様の立場に立った、丁寧なナビゲーションを心がけているという田中さん。
「たとえばご夫婦で相談にみえた時に、奥様が遠慮している様子が見てとれる場合があります。キッチンにカッコよさを求めるご主人に対して、奥様は使い勝手のいい、掃除のしやすい台所がほしいのに、なかなか言い出せないでいたり。注意深く話を聞いていると、発言の少ない方は、たいてい、何か言いたくても言えないことを抱えているものです。そんな時、言いたいことを言葉にしてさしあげると、『そうなんですよね』と相槌を打つことによって自分の意見を表明することもできます」。
「住まいのナビゲーター」には「自分が言いたいのに言えないことを代弁してくれる人」という役割もあるようです。
「私たちナビゲーターをコミュニケーションの媒介にして思いを伝えられるのなら、どんどん活用していただければと思います」
「メーカーの裏側を教えて」「どこがいいか決めて」
はマナー違反
お客様から頼りにされる田中さんですが、一度だけ、「それならテント暮らしをするしかないですね」と言ったことがあると言います。
「そのお客様は、以前、仕事場を作られた時に、手抜き工事をされたというご経験があったらしく、設計者も工務店も何もかも信じられないというご様子で。私たちは、最終的にはお客様がベストな依頼先を見つけるお手伝いをするのが役目ですから、“あれもダメ、これも信じられない”では家は建てられないということをお伝えしたかったのです」。
「住まいのナビゲーター」泣かせのNG相談は、ほかにも数々。「実際のプランを持ち込まれて、いいか悪いか判断してくれという相談、住宅メーカーの裏の情報を教えてほしいという相談は困ります。また、どこの依頼先がいいのかを決めてほしいという相談もお断りしています。あくまでご自分で判断して最終的に選んでいただくことが大切なのです」と田中さん。
とはいえ、「住まいのアドバイザー」に決めてほしいというお客様が多いのは確かだと言います。
「私たちナビゲーターの間にも、なかなか依頼先を決められないのは、住まいが金額的に大きな買い物であることもありますが、“住経験”が不足していることも一因なのではないか?という意見があります」現代の生活では、一般的に人の家を行き来することも少なく、人の家に行ってもリビング以外に通されることは滅多にありません。「住まいづくりナビセンターでは、オープンハウス(新築の一戸建てやマンションを特定の日時や一定期間、一般客に公開して自由に中を見られるようにした物件)や住宅展示場、民家園などを見に行って、“住経験”を積むこともお勧めしています。そういった所に行き、自分が住むとしたらどうするだろうと想像してみるのもよいでしょう」
より確信を持って選びたい人のための
「住まいづくりのパートナー選び」サービスも
依頼先の選択・決定に悩むお客様のために、「住まいづくりナビセンター」では「住まいづくりのパートナー選び」サービスを開始しました。
「住まいづくりのパートナー選び」とは、依頼先として住宅メーカーを希望したお客様が、7社の中から希望のメーカー2社を絞り込み、2社それぞれがお客様にヒアリング、その内容に沿って提案された具体的なプランを比較して、お客様が最終的な選択を行うというものです。
この新サービスの第1号は、田中さんがナビゲーションしたお客様だとか。
「今、ヒアリングが終わったところですが、どんな提案が出てくるか、楽しみです。選択肢が狭く、深くなる分、お客様にとっては、自分の選択により自信が持てるようになると思います」


- 田中さんが監修した「うごくとかわる」展の展示。同じスペース、同じ家具でも、配置によって部屋の機能を変えられることがひと目でわかります。
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ストレートな内容も穏やかな語り口で語られると、すっと納得できるから不思議。「結構ガンコです」とはご本人の評。
ナビゲーターfile2
田中哉子さん
- プロフィール
- 大学の家政学部に学んだ後、建築を志し、設計事務所勤務を経て設計事務所を主宰。家政学の知識を生かして、暮らし方まで踏み込んだきめ細かいアドバイスが身上。趣味は写真と、誘われて3年前から始めたというマラソン。昨年の「那覇マラソン」にはカメラを持参、沿道の風景を撮影しながら走り、至福の時間を味わったとか。



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