- 第 8 回 住まいのナビゲーター:松本亜古さん[後編]
「住まいの計画書づくり」の具体例
その2
「住まいの計画書づくり」のプロセスは、お客様の状況や家族構成、課題などによって十人十色。新人ナビゲーターの松本亜古さんが手がけた2つの事例を通して、「住まいの計画書づくり」の実際をご紹介します。
別々に住む親世帯と子世帯が、
新しい土地で初めての家づくり
松本さんが手がけた第2のケースは、都内の社宅に暮らすご夫婦が、他県に住む夫の両親と共同で海の近くに土地を手に入れ、一番上のお子さんの中学入学を機に二世帯住宅を建てようと考えて、「住まいづくりナビセンター」に来館されました。
ご夫婦は転勤が多く、ずっと社宅住まいだったため、初めての定住、初めての住まいづくりになります。そのため、家に対して、とても強いこだわりや思いをお持ちでした。その一方で、ご両親にとっても新しい土地で、老後に向けた生活をスタートさせることになるため、家族みんなが満足する住まいづくりのためには、ご家族全員で「住まいの計画書づくり」に参加することが必要だと松本さんは考え、ナビゲーションの際に提案しました。
当初は小さいお子様がいらっしゃることや、ご両親が他県在住であることから1人で計画書づくりを進めようと考えていたご主人も、松本さんの提案に賛成し、家族全員での計画書づくりがスタート。計画書づくりに必要な宿題(家族全員のプロフィール、1日の生活のタイムスケジュール、これからの暮らしに望むことなど)も2家族分ご用意し、宿題をやることを通して、ともすると子供世帯まかせだったご両親も「海に近い家だから、孫と一緒に釣りをするのが楽しみ」「お互いの安眠のために夫婦別寝室を希望」など、ご自分の思いや希望を口にするようになりました。
「住まいの計画書づくり」を通して、
3世代家族の思いがひとつになった
「住まいの計画書づくり」2日目には、お父様もはるばる他県から参加。この日は、「これからの暮らしのイメージ」についての宿題をもとに、新しい住まいに望むことをまとめていくことがテーマでしたが、「小学校3年生と6年生のお孫さんたちが、それぞれ好きな写真を貼り合わせて作ったかわいらしいコラージュを見ながらのディスカッションで、親、子、孫、3世代の家づくりに対する思いが一気にまとまっていったようです。あらためて、『住まいの計画書』の、コミュニケーションツールとしての力を実感しました」と松本さん。お父様も「楽しかった」と、笑顔で帰っていかれたそうです。
「それまでは、漠然と“家をつくる”ということだけが決まっている状態だったのが、計画書づくりを通して、お互いの生活や、好きなもの、嫌いなもの、その理由などへの理解が深まり、テーマが明確になってきたのでしょう。ご家族の様子を見ていて、意見が違っても、その理由を話し合い落としどころを見つけながら、いい住まいづくりをなさるだろうと確信しました」
このご家族は、「住まいの計画書づくり」を進めながら、依頼先探しも並行して行っていましたが、ある有名設計事務所に行ったときに、家族の同席を求められることもなく、ご主人一人での打ち合わせになり、「ここは違う」と思ったとか。
「『住まいの計画書』は、住まいづくりに対するお客様の思いを依頼先に伝えやすくするためのツール。専門家相手に正確に伝えるには、まずは家族の思いがひとつになっていることが大切です。一見遠回りのようですが、効率よく、満足度の高い住まいづくりのためには、このひと手間が大切。ぜひ気軽に利用していただければと思います」

- お客様が受付に電話をかけてきた時から、住まいづくりナビセンターのナビゲーションは始まります。「受付で的確に状況を把握してナビゲーターに伝えてくれるので、お客様が来館された時にスムーズに話を進めることができます」(松本さん)
|
もともと聞き上手、話し上手な松本さんですが、「ナビゲーターとして、もっともっとコミュニケーションスキルを磨いていきたい。先輩ナビゲーターと積極的に情報交換をしながら、どんなお客様にも満足いただけるような対応力を身につけたいと思います」。
ナビゲーターfile4
松本亜古さん
- プロフィール
- 大学の住居学科を卒業後、設計事務所に勤務、退社後2年の独立準備期間を経て今年の1月に独立。昨年11月から住まいのナビゲーターに。一方、大学で非常勤講師として設計製図を教え、また、地元の「里山を守る会」や、国際交流協会で学生の国際交流の手伝いをするなど、ボランティア活動にも熱心に取り組んでいる。趣味はベランダガーデニング。



|