住まいのことナビ
home
>
Housing Column
>
住まいと暮らしの雑学探検隊
>
家の遺産相続もある!? キタキツネの子育て住宅
第 3 回
家の遺産相続もある!?
キタキツネの子育て住宅
●メスが建てるんです、キタキツネの家
今回は我が国の北海道に生息するキタキツネの家を探検します。実はこの住まい、オスも手伝うこともありますが、基本はメスがつくります。恋の季節の訪れる前 (秋) に、子育てにピッタリの場所に新築の家をつくったり、いまや住んでいない旧キタキツネ住宅をさがしだし、これを修復して結婚に備えるのです。しかも1軒だけではありません。1~2キロの範囲に数軒の家を建てる (掘る) のです。どうしてなんでしょうか?
●住まいづくりは、
まず地盤や立地条件を検証!
キタキツネの多くは、大森林ではなく、草原・林・川がほどよい距離にある、地盤が良く穴を掘っても崩れにくい丘や斜面に家をつくります。住まいづくりは、まず地盤や立地条件を検証することが大切であることをキタキツネはよく知っているのです。でも斜面を好むのは、単純に平地に縦穴を掘ってから横に進むよりも、横穴を掘った方が楽だから。中には農地の外れにつくられた防空壕の横穴を利用して、ちゃっかり住まいにしてしまうキタキツネもいます。
クリックすると拡大表示されます。
キツネの手は実に穴掘り向きに出来ています。歩いている時はあまりよくわかりませんが、押しつけると扇型のようになるのはまるでシャベルのよう。さらに尖ったツメがあるので、小石混じりの土も効率よく掘り進めることが出来ます。石や木の根っこにぶつかったら横へ曲げ、最後に袋小路状の産室をつくります。だから迷路状になっている訳です。でもここで終わりじゃありません。非常口を離れた所にもうひとつ、場合によっては複数つくります。例えば、人間がキツネを捕まえようとして巣穴に近づき様子をうかがっていたら、既に別の出入り口から脱出していて、遠くからマヌケな人間をちゃっかり見物しているなんて事もあるそうです。
さて、住まいを確保すると同時にメスのキタキツネは恋をし結婚します。そして雪がもっとも深くなり、天敵もあまり活動しない1月~2月に出産。雪でつくった“カマクラ”が中に入ると意外に暖かいのと同じように、雪に包まれたキタキツネの巣穴も快適な温度が保たれます。いわばキタキツネの住まいは大自然の力を利用した防寒住宅でもあるわけです。
●
危機回避と巣立ちのための引っ越し?
キタキツネ一家のテリトリーをホームレンジ(暮らす範囲)といいます。キタキツネはこの数キロの範囲内で準備してあった別宅を補修しながら、何度も引っ越しを繰り返します。敵に襲われた時や豪雨で巣穴が補修不可能になった時にすぐさま別宅へと移動するのです。それも最初ホームレンジの中央にあった家から、次第にホームレンジの境界線ギリギリの家へと引っ越しを繰り返します。これは、あの有名な「子別れ」(親キツネが子ギツネを追い出す)の時、立派な大人になった子ギツネを親のホームレンジから外へ出すためとも言われています。余談ですが、親が子に激しく噛みついて追い出す行為は、実はあまりみられず、血気盛んになった子ギツネが自分の意志で、自然に巣立ってゆくほうが多いそうです。
●母キツネが娘に家を遺産として残す!
家造りを何度も経験し、使いやすい良い家を建てた母キタキツネは、年老いてくると「子別れ」の時期になっても一匹だけ子供を巣穴に残すことがあります。しかも娘ギツネに限ります。一匹だけ巣立たせないのです。次の春まで、その娘と一緒に子育てをし、2年目には、その年老いた母キツネは姿を消してしまいます。なんと死期を悟った母キツネは、使いやすい家を娘キツネに引き継がせるのです。しかも、争いなきよう一匹だけ遺産相続人として指名するという念の入れよう。まさにこれは家の遺産相続! 母の愛した家を住み継いでゆく…、なんかとっても良い話だと思いませんか?
Copyright (c) Sumanavi Center All Rights Reserved.