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Housing Column ハウジングコラム

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第 11 回
木の上の家  《南の島のツリーハウス》

●大人も子供も憧れる秘密基地

 「木の上の家」と聞くと、子供の頃大好きだった、トム・ソーヤの冒険のハックとつくった家や、ロビンソン一家の無人島の家、ターザンの家、中にはゲゲゲの鬼太郎の家などを思い出す人が多いかと思います。それは、子供の憧れでもあり、大人も(実は子供以上に)ワクワク・ドキドキする家、別名ツリーハウス。木の上の誰も気づかない場所に建て、ハシゴで登り、部屋に入ったらそのハシゴをするすると引き上げてしまう‥、そんな秘密基地のイメージが強いツリーハウスですが、もちろん世界には、木の上の家を住居として暮らしていた地域が数多くあります。最近では日本でも樹上生活をしていたと思われる縄文時代の櫓跡が発見されたり、中世ヨーロッパの皇帝や貴族たちが、競って豪奢なツリーハウスを建てさせたという記録がみつかったりしています。そんな中で、最も樹上生活を営む人が多かったと言われているのが、南の国の島々です。今回はそんな南国のツリーハウスをいくつか探検してみましょう。

●ツリーハウスの様々なカタチ

 南の島の中でも特にフィリピンは樹上家屋の多いところで、かつてはどの島々にあったと言われています。そのカタチは様々で、あえて分けると【大木を中心に櫓を組むタイプ】【大木の木の股に建てるタイプ】【大木の上部を切り、その切り株を支柱にして建てるタイプ】の3つ。とはいえ、ツリーハウスにルールはあまりありません。メインは「この木につくろう」と思った木の状態次第。大きさや枝ぶり、傾きなどを見て、それこそ木と会話をするかのように工夫を凝らしながら造っていくのです。もちろん、木の選び方が最も大切な要素です。しなりやすい木や腐りかけた木はもってのほか。森の中なら木々の生態を知らなければいけませんし、海辺ならば風を知り、悪天候の時の状態も想像して木を選らばないとすぐ壊れてしまいます。「その土地を良く知り、土地にあった家をつくる」というのは住まいをつくる上でとても大切な事だと言われていますが、ツリーハウスにはその原点を見ることが出来ます。

●巨大な共同住宅もあるんです

 木の上に造る以上、あまり大きな家屋は無理と思うかもしれませんが、フィリピン・パラワン島のコノイ族の中には、その昔巨大な共同住宅型ツリーハウスを造る部族もいました。【大木の上部を切り、その切り株を支柱にして建てるタイプ】のひとつですが、1本の大木ではなく、数十本の木々を使った極めて珍しいものです。まず同じ木々が並ぶ場所を選び、その立ち木を水平に切り揃えます。これを支柱にしてその上に家屋を建てるのです。いわば、林の上に大きな家を建ててしまう感じです。中には複雑な斜面に生える木々を利用している家もあり、水準器もなしで水平に切り株を揃える相当な技術をもった人間が部族に必ずいたと考えられています。間取りは共用広間の周囲になんと15部屋! 大きな部屋は夫婦家族用、小さな部屋が独身者用で相部屋のことも多く、この巨大ツリーハウスで35人ぐらいの一族が暮らしていたと言います。
 ただし、3年間ほどでこの家は放棄されてしまいます。焼き畑農業をしていたので、移動するからというのが主な理由ですが、年月が経過すると支柱となる木の形が変わってしまうから、ということもあります。そう、木は生きているのです。これはどのツリーハウスにも言えることで、木の成長にあわせて手入れをしなければなりません。木の上の家に住むというのは、“生きている家”に住むということなのです。

●ツリーハウスは快適涼風住宅

 木の上の家は、「敵部族の襲撃をいち早くみつける」という望楼的な役割が強かったと言われていますが、それだけではありません。地面から離れているので、毒蛇や虫、また獰猛な獣を防ぐことが出来ます。また、住まいの大敵である湿気を防ぎ、涼しい空間をつくることが出来るのです。
 特に南国の島々のツリーハウスでは、床面を籐や竹敷きにし、下からの風も入るようにしています。また、成長する木の為に・枝用の窓・を備え、木に葉が茂れば、それが自然の日除けになるようにしている家もあるとか。
 南国でも、リゾート用の施設を除いて、住まいとしてのそれはだいぶ少なくなりましたが、心地よい風が吹きぬけるツリーハウスは夕涼み用の場所や暑い日の会議室として、地元の人に今も活用されているそうです。

●海辺のツリーハウスの窓

 最後に、ある旅行者が南国の島に行った時に、年老いたガイドから聞いた海辺のツリーハウスの話をご紹介しましょう。その老ガイド曰く「昔は海辺に漁師の住むツリーハウスがいっぱいあった。その窓からは海が一望できて、父親は息子に、海側の窓辺で潮の満ち引きや魚影の動きをみて漁の仕方を教え、森側の窓辺で木々の生長を教えた。高い木の上に住むというのはそんな意味もあったんだよ」。
 つまり、ツリーハウスの窓は大自然や社会を知る窓。情報はテレビという窓から、が常識になっている昨今ですが、私たちが住まいをつくる時、ツリーハウスの窓のような発想も大切であることを感じさせるエピソードでした。
大木を中心に櫓を組むタイプ
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大木の木の股に建てるタイプ
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大木の上部を切り、その切り株を支柱にして建てるタイプ
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