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Housing Column ハウジングコラム

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第 19 回
 住まいのヒミツ
【お風呂タイムスリップ (4)】
― 改良風呂の登場と戦後風呂文化 ―


 お風呂タイムスリップは江戸時代を経て、いよいよ明治維新へ。庶民の誰もが温泉や銭湯を謳歌し、日本人は世界一の風呂好きとなっていました。当時の外国人にはどう見えたのでしょう?

●外国人から見た銭湯はふしだら?

 開国した日本にやってきた外国人は、識字率の高さなど日本人の教養の深さに驚きました。ところが、こと入浴に関しては眉をひそめたのです。開国のきっかけを作ったペリー曰く「教養があるのに、互いに入り乱れて混浴とは、なんとふしだらな」。西洋医学を伝えたオランダ人ポンペさえ、「銭湯の近所に住むものが裸のような格好で帰宅するのはいかがなものか」。ロシア使節として来たオレインブルグは日本滞在記で「真冬にも関わらず素っ裸で、カラダを茹でカニのように真っ赤にさせた銭湯帰りの子供が私たちの前を走っていった。見れば銭湯の二階には茶を飲む部屋があり、男達が二階の欄干からふんどし姿の裸の男達が私たちを見ているのには驚いた」と書いています。

●混浴禁止・柘榴口禁止!

 ヨーロッパにも銭湯や混浴がありましたが、いつもは裾の長い着物を着て、何事にも控えめな日本人が、こと風呂だけは大胆だったのが不思議に見えたのでしょう。あくまで裸に対しておおらかな民族だっただけなのですが、「このままでは世界と交流するのに恥をかく」と考えた政府は「混浴禁止」を発令するのです。さらに、柘榴口を設けた蒸し風呂式は、中が暗く、衛生上もあまりよろしくないと指導され、これも取り除くことになります。銭湯にも“開国”の影響が出始めたのです。

●開放的な改良風呂登場

 こうして誕生したのが“改良風呂”と言われた新スタイルの銭湯です。蒸し風呂式をやめ、浴槽は板間に沈めて湯をたっぷり入れました。さらに流し場の天井を高くし、湯気抜きの窓を設置。暗くて湯の入れ替えを少々怠っても清潔さを判断出来なかった今までの銭湯にくらべ、格段に開放的で清潔な銭湯に生まれ変わりました。各銭湯の顔であった柘榴口の豪華な破風造りは、あらためて銭湯の入り口に据えられ、今も残る古い銭湯の原型となったのです。
 とはいえ浴室内部は依然として“板壁”で男女を仕切り、流し場も板敷き、長方形の浴槽も木製でした。タイル張りの壁やカランが登場するには、水道が普及する大正時代を待たなければなりません。

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●地方の農家では風呂はどうしていたの?

 さて、当時の都会における銭湯の普及に対し、その背後に広がる地方や農家ではどうだったのでしょうか?
 実は、豪農や温泉の出る地域を除いて、高価な薪や大量の水を使う風呂はあまり普及していませんでした。都会ほど人口が多くない農山村では、当然共同浴場も発達せず、通常は井戸端で行水するのが一般的だったようです。それでも一部の地域では、少量の水と薪ですむミニ蒸し風呂がいくつか考案されています。
 例えば、「ふごぶろ」と呼ばれる蒸し風呂。これは土間に竈を築いて鉄の釜を据え、その上に桶を置いたモノで、藁で編んだ“ふご”と呼ばれる蓋を滑車で上げ下げするようになっています。桶の底には簀の子を敷いて、その上に人がしゃがみ込み、上から“ふご”を降ろして蓋をするのです。桶の上から飛び込むように入るので「飛び込み風呂」とも呼ばれました。この他にも樽状の蓋付き桶の横に出入り口をつけ、側面から出入りする「むぎぶろ」など、様々なミニ蒸し風呂が考案されていました。
 一方都会では、中流階級の住宅を中心に、生活改善の視点から水回りの改良が進み、家風呂の普及が始まります。


●戦後開花する日本独自のお風呂文化!

 ここで家風呂は、前回ご紹介した移動可能な「据え風呂」から、五右衛門風呂(別名「長州風呂」)の“作りつけ”に移行していきます。釜が一体型の据え風呂に比べ、釜の周りを煉瓦積みに出来て火災になりにくく、耐久性も高いところから安全で経済的であると考えられたからです。
 ところが、大正~昭和になり、日本は戦時色に染まっていきます。当然、風呂文化の発達はここで足踏み。終戦、復興をとげるまで、我慢の時代の到来です。
 戦後となって、欧米文化が庶民に浸透。個人の生活を楽しむ発想を取り入れ、住宅の進化と共に、家風呂が各地に普及していきます。でも、風呂好きの思いは、欧米式の「洗うだけの風呂場」では収まりませんでした。電気・ガスを利用した様々な風呂の登場後、ご存じの通り、温度自動調節機能や未使用時の乾燥機能付きの浴室や、ジャグジー、24時間風呂、テレビ付きと、暮らしのエンターティメントのひとつとして、日本の家風呂は独特の発展を遂げたのです。
 日本人の風呂好きはそれだけにとどまりません。多彩な【家風呂】だけでなく、裸のつきあいや開放感を楽しむ【温泉】や、【スーパー銭湯】の登場と、お風呂を外と内で使い分け、世界に誇れる文化としてゆるぎないものとしてきたのです。
 今やお風呂は、住まいの中になくてはならない、最も「自慢できる場所」となりました。
 まだまだ進化しそうな日本のお風呂文化。みなさんはどんな家風呂にしたいですか?
 
 次回からは、台所・風呂に続き、「トイレタイムスリップ」です!
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