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Housing Column ハウジングコラム

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第 23 回
 住まいのヒミツ
【トイレタイムスリップ (4)】


 今回は、ついにトイレタイムスリップの最終章、近代から現代のトイレを探検します!


●横浜の美しい街作りに貢献した六角形のトイレ
 明治の頃には、行政が管理する近代的な公共トイレも登場します。場所は大勢の外国人が訪れるようになっていた最先端の街・横浜。ところが、まだ当時は道端で立ち小便などを平気でする庶民も多く、これを“日本人のもっとも恥ずべき習慣”と考えた政府は、立ち小便するものには罰金100文という布告を出し、厳しく取り締まりをしていたのです。それでも違反者が後を絶たないため、ついに行政が町会所の費用をもって辻々に83箇所の「路傍便所」を設置。しかし、これらは4斗樽を地面に埋め込んで板囲いをしただけの粗末なものでした。これを見かねた横浜のある商人が県に申請し、新式の共同便所へ改造。建物のカタチは六角形。入り口が三方にあり、中に入ると中央に大便所と小便所3つが交互に放射状に配置されていて、外観は、中央に換気を兼ねた塔が設置されていました。文明開化の先端をゆく街にふさわしい、ハイカラな公共トイレが誕生したのです。当然庶民の間で「どうせ用を足すなら綺麗でカッコイイ場所で」と話題になりました。横浜のにぎわいにこのトイレが一役買ったといっても過言ではないでしょう。今や「公共トイレは美しい街作りのひとつ」として、世界的な常識となりつつありますが、横浜の六角形のトイレは、まさしく最先端をいっていたのです。
 トイレは、街を活性化させたり、人々の交流の場の起点になる力も持っているのです。

●日本初の汽車便所

 日本初の“汽車便所”もご紹介しておきましょう。明治も20年代を迎えると、最初の頃は珍しさだけだった「陸蒸気=鉄道」に、さらなる利便性を求めはじめました。それが移動中に車内で用を足せる“汽車便所”。当時の汽車旅行は、新橋発午前6時の一番列車に乗り込むと、午後9時にようやく滋賀県に到着するという長旅。トイレは停車時間中に急いで駅で済ませていたのです。(当時は停車時間が長かった)しかし、駅のトイレが混雑していて列車に乗り遅れそうになり、あわてて乗り込む際に事故が起こったりもしました。また車内に便所を設ければ、停車時間を短く出来、運行時間を1時間は短縮出来るとして、ついに“汽車便所”が登場するのです。
 最初の汽車便所は、ホイロ5150型客車の中央に設けられました。当時の新聞資料によれば、「一方に戸を隔てて便所を設け、一人入れば鍵にてこれを閉じ、一方に手洗水(屋根より管にて水を引く)が設けられている。その他に帽子掛けや電灯なども整い、長旅に適する。特に内部は日本風でよい」とあります。汽車便所第一号は、室内の設備および意匠も、立派なものだったようです。

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●戦後、洋式トイレを普及させた公団住宅

 住まいのトイレの方はどう変化していったのでしょう。明治時代から大正時代にかけて、海外から下水道技術や洋式便器が入ってきました。しかし、実際に普及するのは戦後を待たなければなりません。焼け跡からの復興途中、衛生上の理由から排泄物を肥料として使うことが禁止となり、汲み取り式から水洗へ移行します。そして、大きな変革をもたらしたのが公団住宅でした。
 昭和30年に発足した日本住宅公団は、新しい住宅設計や設備をとおして、日本人の生活を大きく変えていきました。その最たるものが、イスに腰掛けて食事をするダイニングキッチンスタイルであることは、「台所タイムスリップ」でもお伝えしましたが、もうひとつが洋式トイレです。当初は和式でしたが、昭和33年に大阪で洋式が初採用されて以来、全面的に洋式トイレになりました。
 洋式トイレは大小兼用でコンパクトかつ衛生的であり、また膝や姿勢に負担がかからず、とくに日本人に多い脳卒中や痔疾の予防によいということもあり大いに普及しました。今ではほとんどの住まいに普及し、洋式トイレしか知らない子どもが、学校や公共の古い和式トイレで戸惑うということさえあるそうです。

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●最先端のトイレ事情

 既にご存じの通り、トイレはさらなる進化を続けています。今や暖房機能付き便座や温水シャワートイレは当たり前となりました(一般家庭普及率43.2% 内閣府2001年調べ)。ただ用を足すだけでなく、リラクゼーションや健康、バリアフリーの発想を含めて、快適なトイレタイムを過ごすためのアイテムがたくさん出ています。便座の開け閉めを自動で行う「フルオート便座」は、暖房便座の保温効率を上げることで省エネを実現し、フタの開け閉めのために腰をかがまずにすむので、お年寄りにも便利。「自動洗浄便器」は、立ち上がると自動的に水を流してくれる、自動洗浄式のトイレ。節水にも繋がり、レバー操作するために無理な体勢をとる必要がありません。その他にも、寝たきりをふせぐ、「リフトアップ機能付き便座」や「シャワートイレにマイナスイオン装置」がついたものや、「節水トイレ」「収納充実型トイレ」などの様々な最新機能付トイレが登場しています。さらにトイレにIT技術を導入し、排便などの情報を病院と直結させ、健康管理まで出来るトイレが研究されているとか。
 でも、なによりも大切なのは、利用する家族にぴったりのものをみつけることであることは言うまでもありません。
 
 ある小説家がトイレに関してこんなエピソードを書いています。「久しぶりに郷里に帰ったが、便所に入り、その佇まいと、匂いに、なにか安心感を得た。ここで郷里に帰りついたという実感が湧いた」
 これ、すごくわかるような気がしませんか?

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