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住まいと暮らしの雑学探検隊
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畳タイムスリップ (1)
第 24 回
住まいのヒミツ
【畳タイムスリップ (1)】
●日本が生んだ住まいの文化【畳】
日本家屋に入って、誰もが「ああ、やっぱりいいなぁ」と思うのが、青々とした“い草”の香りが心地いい【畳】の部屋。フローリングは使いやすいけど、真冬の寒い日は、床暖房やスリッパがなければ足の裏がちょっと冷たい。ところが【畳】のある部屋は、その弾力性と質感がトゲトゲしい冷たさを和らげてくれます。夏は湿気を適度に吸ってくれて、涼しさを演出。凛として正座するもよし、ゴロゴロと寝転がってもよし。ついウトウトしてしまい、起きたら顔に“畳の目の跡”がついていたなんて経験がある方も多いのではないでしょうか。
驚いたことに【畳】は、中国を中心とした大陸伝来のモノが多いなかで、日本が独自に生み出した、素晴らしい住まいの文化だったんです。ご存じでしたか? 今回はそんな【畳】に関するタイムスリップ!
●…と、その前に畳の構造チェック!
ルーツ探検をする前に、まずは畳の構造をおさらいしておきましょう。畳は、畳表(たたみおもて)、畳床(たたみどこ)、畳縁(たたみべり)によって構成されています。
1.畳表:
い草を使用した織物。あの青々とした香りのいい畳の表面がこれ。畳表一枚当たり、およそ4千~5千本のい草を使い、麻や綿の経糸(たていと)で織られている。
2.畳床:
畳表を張る畳の芯(しん)。藁(わら)などを重ねて縫い締めて作る(厚さ40センチを5センチに圧縮)。畳床は、ワラだけで作ったワラ床、フォームポリエスチレンやインシュレーションボードをワラで挟み込んだワラサンド床とワラを全く使用しない建材畳床がある。現在、主に使われているのは建材畳床(防ダニ、メンテナンスがしやすいから)。
3.畳縁:
畳の縦方向側面に帯状についている布製(絹や綿)の装飾部分。痛みやすい角や縁を守るという目的もある。琉球畳のように畳縁のないものもある。
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●日本の気候にぴったりの環境共生素材!
昔から畳の主な素材は、稲作でとれる身近な藁(わら)と、自生したものや栽培した“い草”を重ね合わせたものでした。それゆえ通気性が良く、空気をたくさん含み、断熱効果・吸音効果、振動を和らげるという働きをします。さらに畳1枚はおよそ500CCの水分を吸収し、乾燥してくると放湿するという自然の湿度調整機能を装備。高温多湿の日本の風土にぴったりの、素晴らしい機能をもった敷物なのです。あまつさえ、畳表が二酸化窒素ガスを吸着する作用があることも最近判明し、畳が室内環境の浄化に役立っていることもわかりました。しかも、畳表を張り替えたり、手入れをすれば30年~50年は持つという耐久性。捨てる時も自然に戻るものばかり。昔の日本人は、自然の力を利用する、自然と共に暮らす、いわゆる「環境共生」という今最も注目されている住まいづくりの考え方を【畳】でも実現していたのです。
●畳の歴史は敷物の歴史・語源はたたみ重ねるもの?
いよいよタイムスリップです! まずは【畳】の登場までを駆け足でまいりましょう。
時は縄文時代。竪穴式住居の中では、土の上に草を敷き、その上にさらに動物の皮などを敷いて寝ていました。つまり動物の巣と同様に、敷物=寝床=ベッドだった訳です。弥生時代になると、藁を編んで薦(こも)や筵(むしろ)にし、より使いやすくしました。古墳時代から飛鳥時代を迎えると、寝所として床(板敷き)が作られるようになり、それまでの土間と竈だけだった居住空間が進化をとげます。その床の上に敷くモノとしてついに【畳】が誕生するのです。文献では奈良時代の古事記に「菅畳」「皮畳」「絹畳」「薦畳」等の記述が初めて登場します。しかし当時の【畳】は今のようにワラ床がついたものではなく、高貴な人の寝床や座る場所に敷くモノとして、敷物を“畳んで折り重ねたもの”の総称でした。また使わない時は折り畳んでおいたと考えられています。これが【畳】の語源。そしてもっと寝心地や座り心地が良くなるはずと、畳専門の技術者も登場し、畳の開発が進むのです。
●奈良東大寺のベッド・地位を表す平安の置き畳
現存する畳の最も古いモノは奈良時代のモノで、奈良東大寺の正倉院にある「御床畳(ごしょうのたたみ)」と名付けられた聖武天皇の寝具です。これは現在の畳と同じように真菰(まこも)を編んだ筵のようなものを5~6枚重ねて床とし、表に“い草”で編んだ薦(こも)をかぶせ、錦の縁をつけたもので、木製の台の上におかれ、これを二つ並べてベッドとしていたのです。
このような厚みのある畳が主流となったのは平安時代からでした。当時、貴族の邸宅が寝殿造りの建築様式になると、板敷きの間には、座具や寝具として【畳】がところどころに置かれるようになります。その様子は様々な絵巻物に描かれているのでご覧になった方も多いでしょう。ただし、この畳は使う人の位によって、その厚さや縁の色や素材についての細かい決まりがありました。つまり【畳】は権威や地位の象徴、今で言う「社長のイス」(これももう古いですが)的存在だった訳です。
【畳】が庶民に浸透するにはもう少し時間がかかります。この続きは次回!
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