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Housing Column ハウジングコラム

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第 25 回
 住まいのヒミツ
【畳タイムスリップ (2)】


前回に続き、畳タイムスリップです。鎌倉・室町時代からスタートです。


●敷き詰められるようになった畳
 鎌倉から室町時代にかけて、武家屋敷の主流は書院造りとなり、畳は部屋全体に敷き詰められるようになります。書院造りとは、玄関・床の間・違い棚・付書院をもち、ふすま・障子・畳を使った、現在の日本家屋の元となった様式。畳はこの頃から、床の一部に敷く座具や寝具ではなく、建築の床材のひとつになっていったのです。
 安土桃山時代から江戸時代へと移るに従い、書院造りは“茶道”の発達によって、装飾を排し簡潔さを特徴とする数寄屋づくりへと変化を遂げます。格式を重んじる書院造りは、格調高くて良いが日常生活にはちょっと堅苦しい。もう少しシンプルにして風情のある様式にしようと考え始めたのです。そして、儀式を基本にした大広間ではなく、より親密にコミュニケーションがとれる四畳半の茶室が脚光を浴びるようになります。これは、元々書院造りの十八畳の広間を四つに分け屏風で囲むことから始まったそうで、人と人が接するのに、また心のこもったおもてなしをするのに、最も心地よい空間の広さが、畳を四つ半使った広さであることに行着いた結果でした。
 利休の頃には、茶室の四畳を春夏秋冬にみたて、残りの半畳を土用(季節の変わり目の意)としたり、各々の畳に座る人や機能を元にした名前もつけられました。この四畳半が座敷の基本とされたのです。それゆえ四畳半より大きな部屋を“広間”、小さい部屋を“小間”と言うのだそうです。

●関西の畳のサイズは町の大きさで決まった?

 とはいえ、関西と関東では畳一枚の広さが違うのはご存じの通り。畳のサイズが地域によって異なることは、「住まいの専門用語なっとくコラム【第五回 住まいの広さと高さ】」でもご紹介しましたが、なぜこれほどの違いが生まれたのでしょうか?
 基本的には「畳は寝具だったから人の大きさに合わせた」とされていますが、京間と江戸間のサイズが違うのは、地域で身長が違った、という訳ではありません。時代は遡りますが、畳の中で最も大きい寸法である京間は、794年京都から平安京に遷都された時に決まったと言われています。町を区割りするのに、まず全体を正方形に均等に区分し、その1区画の1辺を36帖、それに道幅の4帖を加えて40帖としました。これを6等分したものから、柱の太さ4寸を引いたものを、京問の6尺3寸というサイズに決めたのです。関西地方ではこの畳の広さを基準にして家を建てました。そのため「畳と家具を持って引越しする」といわれたほど、畳はどの家に持っていっても寸法が合いました。これに対し関東では、まず家を作り上げ、柱と柱の寸法に合うように畳が作られあとから入れました。だから東西でこれほどまでにサイズの違いがあるのです。
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●庶民にも畳が普及した江戸時代・敷き方にも作法があった

 さて、茶室建築から、いよいよ畳は町人の家に引き継がれていきます。一般庶民の家にも導入されるようになったのは江戸中期。この頃、畳はその敷き方などの色々な決まりが出来上がりました。まずは敷き方。住まいの専門用語なっとくコラムでもご紹介した“畳の敷き方”は、婚礼やお祝いの時の敷き方で【祝儀敷き】と呼びます。これに対し、葬儀の時の敷き方もあり、これを【不祝儀敷き】といいます(不吉なので普段はこうしない)。つまり、現在のような洋風の暮らしになる前は、家で行う行事によって畳は敷き替えるものだったのです。
 また、床の間がある場合は、必ずその前の畳は床の間に対して長い辺を並行に敷かなければなりません。これはお客様が床の間の掛け軸などを楽しむ際、姿勢を変えても、縁を擦らないようにするため。床の間がない場合は、部屋の入り口に長い方を並行に敷き、畳の目にそって歩けるように決めました。見た目の美しさもありますが、すべては畳の傷みが少なくて済むようにと考えられた決まりだったようです。庶民にとって、畳はそれだけ高価なものだったのです。

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●畳ブーム再来の気配?

 お膳を置けば家族団らんの場になり、布団を敷けば静かな寝室に、障子を開ければ畳と庭が一体となって広々と見え、隣室との襖を開け放てば広間にもなる“畳の部屋”。明治に入って、畳は地方の農家にも普及し、大正・昭和・戦後と、日本の住まいには欠かせないアイテムとなりました。数十年前までは、そんな畳を長く大切に使うために庭に畳を干し、はたきで埃を出す子供達や、湿気とりのために敷いていた古新聞を思わず読んでしまうお父さんの姿が、春と秋の晴れた日によくみられました。
 時代が変わり、昔ながらの畳の部屋を作る人は確かに少なくなりました。しかし、今、フローリングに置き畳を敷き、い草の心地よい香りに包まれて寝転がったり、座具として使ったりする人がたいへん増えているといいます。その使い方は、畳誕生の時代そっくり。時代は繰り返すの言葉通り、そのうち畳ブームがまた訪れるかもしれませんね。
 
 次回からは住まいに欠かせない照明のルーツを探検する、“あかりタイムスリップ”です。

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