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第 26 回 住まいのヒミツ
【あかりタイムスリップ (1)】
●“あかり”のひとつひとつに暮らしあり 日が暮れた街に灯り(ともり)はじめる“あかり”。街全体に広がる家々の“あかり”は、暖かな暮らしの象徴です。住まいづくりでも照明器具の選択は大切なポイントの一つですね。 |
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でも、ちょっと想像してみてください。電球や電気が住まいに浸透したのは、たった百年前。曾お祖父ちゃん曾お婆ちゃんの子供時代には無かったのです。その頃は、ランプやガス灯‥。 もっと前は‥? さぁ、“あかり”タイムスリップのスタートです! ●縄文時代のあかり 日本の最も古い“あかり”の道具と思われるものが発見されたのは、縄文遺跡からです。中央に窪みのある皿状の器に吊り手のついたもので、その名も「吊り手型土器」。香炉ではないか、という説もありますが、煤の痕や油脂状のものを燃やすのにふさわしい形態からみて、灯火器であったと考えられています。おそらく、この窪みに動物からとった油脂を入れ、そこに直接または芯を浸して火をともし、竪穴式住居の空間に吊していたのでしょう。しかし研究者の中には、土器に施された神秘的な意匠から、「祭礼などの特別な場合のみ使用されたのではないか」という方もいて、またこの様な“あかり”の器具がすべての住居にあったわけではないようです。 少し時代を経て、縄文後期から弥生時代になると、台所タイムスリップでもご紹介した通り、炉を構えた住居跡が増えてきます。この時代は、囲炉裏のたき火で暖をとり、煮炊きをし、そして住まいの“あかり”として利用してきました。いわゆる『薪あかり』が一般的だったのです。でも基本的には夜は寝て、夜が白みかけると活動を開始。どうしても夜動かなければならない時は、月夜を選んで行動していたようです(月あかりはとても明るいのです)。 ●たいまつと篝火 では月の無い晩はどうしたのでしょうか‥。室内では炉の火で過ごしましたが、屋外用にも“あかり”を持ち出します。それが“たいまつ”や“篝火(かがりび)”です。 日本はあかりのために焚く木や竹が豊富にありました。中でも油脂を多く含み、火持ちの上でも他の植物より灯火に向いている「松」が好んで使われました。“あかり”と言えば、松を燃やすことが常識だったため、「松明し(まつあかし)」と呼ばれ、それを手に持つから、「手火松(たひまつ)」、そして「松明(たいまつ)」と言われるようになったと考えられています。しかし、使い古された松明を調べると、松に限らず「竹」「杉皮」などの他の植物が使われていることも多く、その地方で採れる、よく燃える木を使ったようです。 一方、篝火は、鉄で駕籠の様な形体をつくり、その中で薪を焚くもの。篝は鉄製の火籠をさします。今でも『長良川の鵜飼い』や『薪能』などで見ることが出来ますが、戦陣のあかりや、寺社の境内、庭園のあかりなどに使われ、夥しい数の篝火を灯し、広い場所を明るくする際に多く使用されたようです(取っ手付きの手持ち用の篝もある。松明同様、現在の懐中電灯のように使用された)。 ●古代のあかり さて、奈良から平安、鎌倉時代ともなると大陸からの仏教の伝来で、“あかり”の新たな文化も輸入されます。そのひとつが火を囲むようにして灯す「灯籠(とうろう)」。ただし灯籠は一般で使われるものではなく、仏殿の飾りや献灯としての役割が主でした。代表的なのは東大寺や興福寺にある金銅の大灯籠や、春日大社の吊り灯籠、桂離宮の石灯籠。近世になってから一般家屋の庭などに石灯籠が取り入れられることもありましたが、灯籠はあくまで飾りであり特別なものでした。 一般の家では(貴族や武家が中心ですが)、それまでは煮炊きをした後もあかりだけの為に囲炉裏の火を燃やしていました。でも経済的ではありません。そこで、大陸から伝わった仏前に捧げる“あかり”用の器具に触発され、「ひで鉢(ばち)」「松灯蓋(まつとうがい)」「灯台(とうだい)」といった“あかり専用”の器具が登場するのです。
次回は、蝋燭が登場し、“あかり”は更に進化を遂げます。 |
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