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住まいと暮らしの雑学探検隊
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あかりタイムスリップ (4)
第 29 回
住まいのヒミツ
【あかりタイムスリップ (4)】
世界中で大ヒットした映画「ハリーポッター」に登場する夜のロンドンの街を想像してみて下さい。薄暗くて怪しくて、ちょっと安定していない明るさだけど、どこか暖かく懐かしい“あかり”に包まれた路地や建物‥。あれは“ガス灯”をイメージした演出と言われています。「あかり (照明)」タイムスリップの最終章である今回は、そんなガス灯・電灯が普及し始める日本へまいりましょう!
●日本初の“ガス灯”は新しモノ好きが点灯?
日本初のガス灯というと、明治時代の「横浜馬車道のガス灯」「銀座煉瓦通りのガス灯」をイメージされる方も多いかもしれませんが、実は幕末にも当然“新しモノ好き”がおり、西洋の書物などを参考にガス灯点灯を成功させた記録が残っています。それは安政の初め頃、南部藩の藩医 (医師) が、江戸亀戸の自宅で、造船用のコールタールから発生したガスを利用して点灯したもの。ちなみに、この時のガス管は竹の管だったそうです。また同じ頃、先進的な幕末の藩主として有名だった薩摩藩の島津斉彬も、石炭からガスを発生させる実験を行わせ、別邸の石灯籠を使ってガス灯点火を成功させています。斉彬はこの成功を受けて、西洋列強に負けない街作りをしようと、鹿児島全域にかけてのガス灯設置を推進。費用の見積もりをするなど綿密な計画を立てていました。ところが翌安政5年に急死。その夢は彼の死と共に葬られてしまったと言われています。
●銀座の客寄せにもなったガス灯
時は幕末の動乱を経て、文明開化の明治へ。斉彬が他界してから13年後の明治4年 (1871) 大阪造幣局の敷地やその付近の往来に、貨幣の鋳造の際に発生するガスを利用したガス灯が設置されました。これが日本のガス街灯第一号と言われています。さらに翌年、神奈川県庁の本通り (馬車道など) に十数基のガス灯が灯りました。元々は外国人居留地に住む西洋人から「日本は暗い。ガス灯をつくって欲しい」と要請されたことから始まったものでしたが、これがガス事業の実用化のさきがけとなったこともあり、灯火史における歴史的な瞬間となったのです。
その2年後の明治7年に、東京銀座通りにもガス灯が設置されます。煉瓦街がほぼ完成していた頃なので、ガス灯の“あかり”はとてもモダンに見えたことでしょう。銀座通りの小売商店の人々は、店内にもガス灯をつり下げて夜間営業を始め、ガス灯見物を兼ねた買い物客で夜もにぎわうようにしたとか。しかし、当時のガス灯は石炭から発生させたガスをそのまま燃やす「裸火」で、空気を取り入れ、不完全燃焼の状態にしないと炎が広がらないというものでした。
●ガス灯のライバル電灯登場!
明治10年(1877)に上野公園で開催された国内の第一回博覧会では「花瓦斯 (はながす)」と命名されたガス灯によるイルミネーションが公開されたり、芝居小屋の新富座やあの鹿鳴館にもガス灯が設置されたりと、ガス灯は新たな時代の“あかり”として市民権を得ようとしていました。
ところが、1879年、トーマス・エジソンが世紀の大発明を成し遂げます。カーボン電球の誕生です。十年後にはタングステンによる電球も出現し、ガス灯最大のライバルとして、“電灯”が日本にも普及しはじめたのです。
しかし、ガス灯も負けてはいませんでした。それまで裸火だったものに対し、“マントル”(特殊な布に発光液を含浸、網状の帽子にして炎にかぶせるもの。別名、白熱ガスマントル) にガスの炎をあてる事によって、電灯にはない黄白色のやわらかな光を発するガス灯がオーストリアで開発されました。明るさは、裸火のガス灯の5倍、白熱電球でいえば、なんとおよそ25ワットもの明るさでした。これが一般家庭にも普及し始め、大正モダニズムの象徴的な存在ともなるのです。
けれども、決定的な大事件が起こってしまいます。
●電灯全盛時代から、選ぶ“あかり”の時代へ
大正12年 (1923)、関東大震災によって、首都東京は壊滅的な大打撃を受けました。これを境に、その輝きと安定した明るさ、手軽さと安全性によって、“あかり”はガス灯から電灯へと急速に変化をとげてゆくのです。
その後電球は、長寿命化、高照度と進化をし、昭和の半ば過ぎまで、白熱電灯全盛時代を築きあげます。昭和40年代には蛍光灯が出現。家庭に爆発的に普及しました。
現在ではハロゲンランプなど、さらに進化をとげた照明器具も登場し、未来の“家庭のあかり”として、省電力で長寿命の白色LEDなども注目されるようになっています。
しかし実は21世紀の今でも、光源に違いはあれど照明器具のデザインや配置の仕方は、幕末から明治・大正にかけてのそれと大きな差はありません。行灯や提灯を電球で灯したり、蝋燭の光りをあえて使った幻想的な時間を楽しむこともあります。いわば、現代は“あかり”を選択できる時代になったのです。
様々なものがあるからこそ大切にしたい、住まいを演出する“あかり”。今日も日が暮れ始めると、家族団らんを照らし出す個性豊かな様々な“あかり”が街に灯り始めます。みなさんは、どんな“あかり”がお好みですか?
店の軒先や、店内・室内で使用されていた
フロアタイプのものや、卓上タイプのものなどいろいろ
店の入り口や、廊下・通路などで利用されていた
外国製のものや、美しい装飾を施してあるタイプのものもある
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