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第 40 回
 住まいのヒミツ
【お庭タイムスリップ (4)】


 引き続きお庭タイムスリップですが、今回は古 (いにしえ) の庭文化を検証しながら、私たちの家の庭をどうしたら「日本庭園風」にできるか、を探検してみます!


●まずは、日本庭園を分類すると…

 これまでご紹介したように、“ありのままの自然との調和を大事にする”のが日本庭園の特徴です。これを大きく分類すると、「廻遊式」(池を中心に、庭を散策する方式)・「枯山水」(玉砂利などを使って海や川の流れなどを表現する方式)・「茶庭」(別名、露地庭。茶道から誕生した侘び寂を表した方式) の3つにわけられます。もしも私たちの現代の家に、ごく一部でも日本風の庭をつくりたいと思ったら、そのお手本となるのは、【茶庭】と言えるかもしれません。なぜなら、廻遊式の庭は大きな池が必要ですし、枯山水もあの竜泉寺のような世界観を造り出すのは容易ではありません。茶の湯をたしなむために造られた茶庭は簡素な造り。私たちも真似できるアイテムがいくつかあります。

●千利休が造りだした茶庭の世界観

 では、そもそも【茶庭】とはどういうものなでしょうか。この世界観を生み出したといわれる千利休は、【茶庭】を「露地」と呼び、禅宗的な発想から、その庭は仏界であるとしたと言われています。つまり、ここに入るにはまず雑念を捨てなければなりません。雑念を捨てたら、まずは、≪露地口 (ろじくち)≫という露地の入り口から、典型的な茶庭に入ってみましょう。
 この≪露地口≫は、露地の周囲をめぐらした高塀や土塀などに、小門あるいは切通門を付して、引き戸などによって出入り口とすることが多いようです。すると入ったところに、片流れの屋根の≪腰掛け≫と呼ばれる小さな小屋が配してあります。ここは、露地周りでお客様を迎える者が待機する場所であり、お客様が出入りする時に、ちょっとした荷物をおける場所。さて茶室はどこかと、まだあわててはいけません。正式な茶庭は、外露地と内露地にわけられ2重3重に構成されていて、中門を通ってから、茶室のある内露地に入ることになります。外露地には、先ほどの≪腰掛け≫のほかに、庭を愛でながら迎えを待つ≪待合≫、そしてトイレタイムスリップでもご紹介した≪雪隠(せっちん)≫があります。庭には季節を感じさせる木々があり、ふと足元を見ると、秋らしい落ち葉がいっぱい。踏みしめるたびにサク、サクといい音がします。茶庭には落葉樹が少なくありません。それまでの庭の発想では、落ち葉は邪魔で汚くなるものとされていましたが、利休はこれさえも「自然を楽しむ演出」として取り入れているのです。 さぁ、内露地に入ると、私たちの家の庭を日本風に出来るアイテムが風情よく配されています。それが、≪石灯籠≫や≪手水鉢 (ちょうずばち)≫≪蹲踞手水鉢(つくばいちょうずばち)≫です。

●石灯籠は献灯と庭灯篭の2種類

 もともと灯篭は、社寺の参道やお堂前を照らし出す献灯が始まりでした。これが安土桃山時代頃からの茶道の流行と共に、使用しなくなった献灯を茶庭の照明用として使うようになったのです。さらに、利休の弟子である古田織部の時代となる、茶庭用 (露地用) の石灯籠も登場します。これが織部型庭灯篭と言われるもので、献灯にあるような華美な装飾をしていません。だからこそ、自然にとけこみ、日本庭園の特徴である「調和」を生み出します。他にも江戸時代に登場した、背の低い≪雪見灯篭≫などもあります。いいものは決して安くはありませんが、上手に配すれば、我が家の庭が日本庭園風になる重要なアイテムのひとつです。

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●手と心を清める蹲踞と手水鉢

 もうひとつが、石の一部をくりぬき水をためた≪手水鉢≫や≪蹲踞手水鉢≫です。元々は、神仏に参詣する人が口をすすぎ、手を清めるために使われていたものですが、茶室に入る前に、手はもちろん、心も清める意味をこめて置かれました。≪蹲踞手水鉢≫は、背が低い石を使い“つくばうように”しながら手を清めるので、その名がついたもの。これは、山中の湧き水をイメージしたもので、前後にも石を組み、自然のそれを演出しています。茶庭では、もっぱらこの蹲踞手水鉢が配されることが多く、わざと苔むすようにして庭の木々に溶け込ませるということもするようです。
 
 この他にも≪飛び石≫や≪生垣≫など、茶庭から学べる日本風庭園のアイテムがありますが、最も簡単なアイテムとして、昔懐かしい≪火鉢≫もお勧めです (茶庭には関係ありませんが)。これに水をそそぎ、水草を入れて季節を楽しむなんてことも、一つの手かもしれません。今の季節なら、池がなくても、火鉢の水面に映る「中秋の名月」も楽しめるかもしれませんよ。
 
 次回は、庭で“音”を楽しむ古からのアイテム「水琴窟 (すいきんくつ)」を探検します!
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