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住まいと暮らしの雑学探検隊
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木材タイムスリップ (1)
第 45 回
住まいのヒミツ
【木材タイムスリップ (1)】
様々な技術が発展した今でも、日本の住まいと言えば「木の家」というイメージは変わりません。木には温もりがあり、美しさもある。今回からは、そんな住まいの材料である【木=木材】に注目して雑学探検です!
●木材から生まれた言葉
まずは、木材の扱いから生まれた、私たちが今も日常で使う言葉をいくつかご紹介しましょう。
●【いの一番】
最初に、または真っ先にとりかかる時に使われる言葉ですが、これは柱の番号が語源。
柱を建てていく際に、それぞれの部材がおさまる位置を明確にするために「番付」と呼ぶ符号をつけました。そのいろはの「い」の「壱番」は最初に建てる柱。ここからこの言葉が生まれたのです。
●【面取り】
カレーに入れるにんじんを、ちょっと綺麗に見せるために、角を削りとることがありますよね? これを「めんとり」といいますが、実は柱などの木材の角の面を削り落とすことが語源。
にんじん同様、柱を美しく見せるために生まれた、木材にまつわる言葉なんです。
●【几帳面】
きちんとしているさまや、規則正しくしている人を「几帳面な人だ」などと言いますが、これも、「面取り」同様に、柱の細工から生まれた言葉です。
「几帳」とは、平安時代に使われた間仕切り用の布製の屏風のこと。寝殿造りでは、間仕切壁がほとんどないために、御簾 (みす)・壁代 (かべしろ) などで、小さなスペースに仕切っていました。そのさらに内側に立てられたのが几帳です。
その几帳を支える細い柱は、角を面取りして鋭角に削り、その両側に刻みが入れてありました。
この面取り法を「几帳面」といい、とりわけ正確な技術が必要だったために、今のような使い方がされるようになったのです。
ことほど左様に、日本の住まいや暮らしと「木」は切っても切り離せないものだということが、このような言葉からもわかります。では、さらに時代を遡ってみましょう。
●古代から適材適所に使われた木
太古から豊かな緑に覆われていた日本。古事記に並んで、最も古い歴史書の一つである「日本書紀」のスサノオノミコトの話に、こんな一説があります。『ヒノキは宮殿に、スギとクスノキは舟に、マキは棺に使う』。確かに、ヒノキは割りやすく古代の製材としては扱いやすい木で、美しい木肌や香りもあり、これほどうってつけのものはありません。さらにスギやクスノキは、くり抜きやすいので、舟をつくるのにぴったりです。また、水に強いマキは、腐りにくく棺に適していたとも言われ、すべてが文字通り適材適所。日本人は、古から木に親しみ、木の力を知っていたのです。
●なぜ、日本はこれほど木の文化が浸透したの?
森林資源が豊富だったから、木の住まいの文化が栄えてきたのもありますが、木は西洋のような石の建築材に比べ、道具による加工が簡単だったり、水に浮くので、川などを使って、遠くに運搬出来るという大きな利点があったからだとも言われています。石の方が頑丈で長持ちするではないか、という人もいるかもしれませんが、木造建築は、適切な修理を行えば、かなり長持ち。千年以上の長寿建築が今も30数棟残っています。しかも解体・組み立ても出来ますし、腐ったり割れたりした部材を交換することも出来るという、実に手入れしやすい部材なのです。
そして何より、木の家は住み心地がいい、これに尽きます。木は熱を伝えにくいので、触ると温もりを感じます。また水分を吐いたり、吸ったりするので、室内の湿度を適度に保つ事が出来、日本の風土にぴったりの建築材だったわけです。
●木霊が宿る木材
そんな「木」を私たちの祖先は信仰の対象ともしてきました。山川草木には魂が宿ると信じられていたのです。特に、木材を伐採・運搬する人々は、顕著だったと言われています。その特徴は、彼らが山で木を伐採する斧にありました。斧には、3本と4本の筋が入っており、3本の筋は、「ミキ」=御神酒を意味し、4本の筋は、「ヨキ」=地水火風をあらわしたもので、山海の珍味・五穀を意味しています。山の中ではお酒や五穀を供えられないので、替わりにこの斧を立てかけて拝んでから、伐採したのです。
またみなさんご存じの通り、神社仏閣の多くには、ご神木があり、注連縄を巻いて崇める文化があります。住まいや生活の中で木の恩恵を受けてきたからこそ、木を愛し、木の霊、つまり「木霊 (こだま)」を崇めてきたのです。木には魂がある、それは即ち、生きていることを知っているということ。そのことを古の大工さんも熟知していました。腕のある職人は、経年による、反りや、ねじれ、長さの変化も見越して、神社・仏閣、宮殿、また住まいを建てたのです。現在でも神社仏閣の再建を請け負う棟梁は、「この建物の完成は200年後。木が変化を遂げてから」と言う人が少なくないそうです。
使う木の特性を知り、愛着をもって扱うことは、私たちの住まいづくりにとって大切なことのひとつかもしれませんね。
次回は、そんな木材の特性を生かす古の教えや、エピソードをいくつか探検します。
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