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第 49 回
住まいのヒミツ
木材タイムスリップ (5)
そろそろお屠蘇気分も抜けて‥という日々となりました。その区切りとなるのが、小正月 (こしょうがつ)。日本では、1月15日 (7日という地域もある) には、門松などを焼き、餅を焼いて、厄を祓うという儀式が行われてきました。いわゆる「ドンド焼き」(別名=左義長<さぎちょう>) です。
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都会では神社などで行われるだけとなりましたが、その昔は地域にとって大切な儀式でした。このドンド焼きを見ると、時折、「パーン」と大きな音がするのをご存じでしょうか? 実はあれ、わざと鳴らしているんです。そこにはやはり、家や家族、そして村を守るという願いが込められています。
●そもそも、小正月ってなに?
まず、小正月とは何かを紐解いてみましょう。一月一日の元旦を初めとする正月を大正月、これに対し、一月十五日前後の数日を小正月と言います。その昔、日本では満月から満月の間を1ヶ月と定めていたので、年の初めは一年の最初の満月の日、陰暦の一月十五日にあたったのです。つまり小正月が元旦だったのです。この日に、豊作を願う餅花 (柳などに丸い団子をつけたもの‥繭玉など) を座敷に飾りました。これは家族総出で行うのが普通で、子供のお小遣いほしさと、粘土細工のようにお餅を様々な形につくるのが歓びでした。また家族みんなでつくるというのが、家族の結束や、コミュニケーションの機会となったのです。この他にも、病気や厄災をのぞく“鳥追い”や“かまくら”など、実は農耕生活にまつわる伝統行事は、そのほとんどが小正月に集中しています。その中でも最も大切な行事が、正月行事の区切りとなる「ドンド焼き」です。
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●ドンド焼きには大声合戦、鬼ごっこもある?
ドンド焼きは、正月の門松や注連縄などを神社や広場などに持ち寄って焼き、年神様を天上に送るというもの。この火に当たると病気をしない、災難に遭わない、厄が祓えると言われ、書き初めの紙を焼くと筆が上達し、餅や団子を焼いて食べると若返り、その灰を家の四方にまくと魔物が入らないとされています。
ある地方ではその昔、家々から薪一束や藁に門松をそえて、ドンド焼きの場所に持っていきました。それを村の若い衆が、松や栗の木の丸太で家を建てるように柱をたて、集められた薪や藁を上へ上へと段を重ね、縄をまわし、円錐型の焚き物を作ります。さて、ここで隣村との勝負が始まるのです。長く燃えていることは縁起がいいとされ、隣村より長く大きく火をと、遅くつけるための駆け引きが行われたのです。さらに、火がつくと集まった子供達は声を限りに叫び (地域によってかけ声は違う)、隣村との大声合戦を繰り広げたと言います。中にはライバル村の人の悪口を、まるで歌のように言いあうものもありました (もちろん冗談として)。またある地域では、ドンド焼きで出来た炭を男女で追いかけっこして塗りあうという、まるで鬼ごっこのような儀式も行われていたようです。それはもう地響きがするほどの賑やかなもので、地域によって違いはあれ、村々の結束や地域交流のひとつとして、各地で行われたのがドンド焼きなのです。
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●ドンド焼きの爆裂音は鬼払い
さて、冒頭に書きましたように、ドンド焼きでは、時折「パーン」という凄い音がします。これは門松の竹がはぜる音。でもそれだけではありません。あえて孟宗竹などを焚き物の中に潜ませ、大きな音をさせているのです。
九州には、ドンドをオニビ又はオンビと呼ぶ地域があります (7日に行う)。太い孟宗竹を中心にやぐらを築き、そのてっぺんに鬼の絵を描いた紙をとりつけ、火をつける前にその鬼めがけて弓を射るか、鉄砲で放つものでした。さらに火がつくと孟宗竹が勢いよくはぜ、その音はものものしくて、大変賑やかだったとか。鉄砲も竹のはぜる音も、鬼を近づけない、また鬼を追い払うためのものです。
実は、ドンドは音を伴うのがミソで、竹を使わない地域でも、パーンとはじける笹や豆がらをいれて火を焚きます。神を見送る儀式と言われるドンドですが、前回の門松同様に、村や家々に魔物を祓う、近づけない、という意味合いが強くあったのです。
熊本のある地域では、竹を囲炉裏で焚いていたという資料もあります。もちろんあの音を出すためです。この事実から、ドンドはかつて家の火だったのではないかとも言われているのです。
家や家族、そして地域を守るために、音を出し、賑やかにふるまう火祭りだったドンド焼き。悲しい事件が多く、地域の大切さが言われる昨今、みなさんも家族と一緒に、ご近所のドンド焼きに出掛けてみてはいかがでしょうか。 |
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