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home>Housing Column>住まいと暮らしの雑学探検隊>家具タイムスリップ「収納家具 (1)」
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Housing Column ハウジングコラム

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第 54 回
 住まいのヒミツ
 家具タイムスリップ
【収納家具 (1)】

 今回のテーマは住まいや暮らしにかかせない「家具」。家具は、その機能や使い勝手はもちろん、部屋の雰囲気や個性を演出する大切な存在のひとつです。どんな住まいにしたいのかをイメージする時、部屋にどんな家具をおくか考えることが多いのではないでしょうか。
 大きなソファに、家族が集うテーブル、読書用のイス、便利で機能的な収納家具‥etc.ふと考えると、洋風家具が主流となった現代ですが、昔の日本ではどんな家具を使い、そのルーツはどのようなものだったのでしょうか。さぁ、「家具タイムスリップ」のスタートです!

●家具という言葉はとっても新しい?


 実は、日本において現代の「家具」のような考え方が一般にも普及したのは、江戸も中期を過ぎたあたりからと言われています。「家具」という言葉自体で言えば、明治~大正期に西洋家具が入ってきてから言われはじめたもので、それまでは「家財」であり、家の中の「道具」という認識ぐらいでした。鎌倉時代に「家具」という言葉はありましたが、梁や棟のことを指していました。「道具」という言葉も、その昔は仏教の修行に用いられる器具の総称で、それが広い意味で、ある目的のために使われるものを「道具」とよぶようになったのです。
 貴族や支配階級の家々には、中国大陸から入ってきた様々な家具が、平安の頃から普及しましたが、それはごく一部の人たちだけ。ちょっと時代劇を想像してみてください。確かに、江戸以前の庶民の家には、あまり家具がありません。ソファや椅子がないのはわかりますが、衣装や食器などの収納はどうしていたのでしょうか。

●最も原始的な収納家具は「籠 (かご)」

 収納家具として日本で最も古いものは、自然にある蔓(つる)や樹皮などを使った編み物類、いわゆる「籠 (かご)」でした。縄文時代の竪穴式住居跡などからも出土された籠類は、食べ物をはじめとして、衣類など様々なものをしまう持ち運びも可能な収納家具として使われていたのです。「かご」とは、「たか (竹) こ」がなまったもので、「こ」は、何かを「込める」という意味です。“竹で編んだ、ものを入れるもの=たけ&こ=たかこ=かご”となったわけです。今では、洗濯カゴなどに、籐製のものや竹製のものがお洒落な家具のひとつとして使われていますが、ルーツは縄文時代にあったのです。

●舌切り雀の葛籠 (つづら) ~ 行李 (こうり) の普及へ

 単なる籠から、ふた付きの箱形のものになり、それが室町時代になると「葛籠 (つづら)」として普及します。昔話の「舌切り雀」に登場する“大きなツヅラ、小さなツヅラ、どちらにする?”でもお馴染みのものです。
 葛籠もやはり、“持ち運びが出来る”という使われかたで、四隅と縁はなめし革で補強してあり、ふた付きであるのが特徴です。
 これが江戸時代になると、より簡略化された「行李 (こうり)」の登場へと変化していきます。行李は、籐製・竹製・柳製などがあり、葛籠より小ぶりで、皮の補強などがついていません。実はこの「行李」という言葉も中国語が語源で、“旅の荷物”という意味があります。
 ご年配の方なら、行李に衣類を入れて押し入れや納戸にしまったり、引っ越しの際に行李をリヤカーに乗せていったり、嫁入り道具を入れてきた、行李を担いで上京した、などというご記憶があるのではないでしょうか。それほど行李は使いやすく (風通しも良い)、安価だったので、現代の収納ボックスのように庶民の暮らしに深い関わりを持つ家具のひとつとなったのです。

●最初の木の収納家具はどんなもの?

 では、木で出来た収納家具で、日本で一般に普及した家具はどのようなものなのでしょうか。
 最初に木材家具として使われたのは、中世の頃に大陸から入ってきた「櫃 (ひつ)」と呼ばれた、ふた付きの木製の箱でした。当初は、運搬の際に泥が直接箱につかない足つきの「唐櫃」が貴族や豪族を中心に使われはじめ、次第に脚のなくなった「和櫃」となっていったと言われています。和櫃の代表的なものが「長持 (ながもち)」です。時代劇などで登場する、蔵におかれている箱や甲冑が仕舞われている箱といえばおわかり頂けるでしょうか。
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 籠といい、櫃といい、なぜ「持ち運べる家具」が主流だったのでしょう。それは、戦や天災も多く、当時の人々は移動する事が少なくありませんでした。しかも道もあまり整備されておらず、引っ越しには、“人の力で運べる入れ物”が必要だったのです。そこで、持ち運べて、家の中におけば収納家具として使える籠や櫃が普及したわけです。櫃でいえば、あまり持ち運びの必要がなくなった平穏な時代が訪れることによって、脚がなくなり、「長持」になっていったのでしょう。
 
 ちょっと脱線しますが、日本映画の巨匠・故黒沢明監督の名作「用心棒」でも、主人公が蔵に閉じこめられ、どうやって逃げ出すかというシーンに大きな「長持」が登場します。はたして「長持」をどう利用したかは、ぜひ映画を見て確認してみてください。
 
 次回は、日本の家具の代表格と言われる「箪笥 (たんす)」の登場を雑学探検します!
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