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home>Housing Column>住まいと暮らしの雑学探検隊>家具タイムスリップ (4)「家具職人のルーツ」
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Housing Column ハウジングコラム

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第 57 回
 住まいのヒミツ
 家具タイムスリップ (4)
【家具職人のルーツ】

 今回の「家具タイムスリップ」のテーマは家具職人のルーツ。とはいえ家具が日本の庶民に普及したのは、明治・大正以降。それ以前に家具職人はいたのでしょうか…。

●平安・平城・奈良の都づくりに欠かせなかった
木の国【飛騨の匠】

 まだ庶民が竪穴式住居に住んでいた時代。朝廷や貴族は、大陸の影響を受けながら平安・平城・奈良などに壮大な都を建設しました。この時、土木建築の技術は大陸から来た技術者に指導を受けましたが、実際の建築作業や調度品を作るために、木工技術に長けた者が各地より集められています。中でも最も多かったのが、現在の岐阜県飛騨・高山地方からでした。

●平安の頃から500年続いた飛騨の「匠制度」


 飛騨は山々に囲まれ、別名「木の国」とも呼ばれており、木工技術に長けた「匠」が数多くいたのです。さらに、耕地面積が少なく決して豊かな国とは言えなかったのもあり、中央政府は税の代わりに、里ごとに「匠」10人を差し出すよう「匠制度」を施行しました。これは飛騨限定の制度で、実に500年の長きにわたって続けられ、述べ5万人もの匠を輩出したと言われています。
 その要求にこたえるためにも、飛騨の人々は様々な木工技術を幼い頃から叩き込まれました。つまり、飛騨は「宮殿造営 (宮大工) の技能集団」を育てる地域ぐるみの養成所だったのです。
 ちなみに、日光東照宮の「眠り猫」の彫刻で有名な「左甚五郎」も飛騨出身と言われています。

●飛騨に匠が多かった謎


 宮大工といっても、その作業は多岐にわたります。樹木の伐採・製材から、それらを用いた土木建築、さらに祭具や、宮廷の机、椅子など。彼らは、実に様々なものを作ったという記録が残っており、飛騨の匠はまさに日本の大工さんのルーツ、家具職人のルーツのひとつであると言えるでしょう。
 それにしても、なぜ古代から「飛騨」には木工技術に長けた人が多かったのでしょうか。木々に囲まれた里は、他にもたくさんあるようにも思えます。
 学術的には解明されていませんが、大和朝廷が、日本統一をはかる段階で、出雲が「鉄の国」だったように、飛騨を「木の国」と決め、木工技術の長けた人物を集めた土地にしたのではないかという説があります。その真偽は別にしても、飛騨は確かに緑豊かな国であり、「木の国」と呼ばれるにふさわしい地域で、匠が育つ環境が整っていたことは言うまでもありません。

●家具職人の地として再び注目された飛騨


 時と共にその技術は全国に広がり、飛騨だけでなく各地で匠が育ちました。そして、戦国時代・江戸時代を経て、箪笥 (タンス) が一般庶民に普及しはじめる明治、洋風家具が憧れとなる大正時代を迎えます。その時、再び「匠」の国として注目されはじめたのが「飛騨」でした。
 ドイツで考え出された「曲木 (まげき)」家具の日本の産地のひとつとしてスポットを浴びたのです。
 「曲木」とは、木材を蒸して、型に入れて曲げる方法。この方法で、木材を継ぐことなく美しい曲線を描いた家具ができるようになります。
 最初にこの方法が導入されたのは宮城県の木工所でしたが、秋田を経て、曲木家具に適したブナ材が豊富な飛騨に伝わり、「飛騨の家具」と家具職人は一躍全国的ブランドになるのです。

●受け継がれた匠の技と心


 戦後、飛騨の匠の技術は、輸出用の欧米家具づくりで活躍。昭和30年代に入り、日本でもちゃぶ台に代わって「ダイニングテーブル」などのモダンな家具が注目され始め、そのノウハウを培ってきた飛騨家具の「食堂セット」が憧れの家具のひとつになりました。
 時代背景や経済的な事情もありますが、そこに木のすべてを知る「飛騨の匠」の血と技と心を継承する人々がいたからこそ、優秀な家具が作られ、有名になったと言っても過言ではないでしょう。

 現在、北欧やインドネシアなど様々な国の素敵な家具が人気ですが、最新のデザインを取り入れながら、日本の生活スタイルにあった家具を作り続ける「飛騨の家具」が再び注目されるようになっています。そのモダンさはもちろん、日本の家具職人「匠」ならではの確かさ、決め細やかさが魅力なのかもしれません。
 
 万葉集にこんな恋歌が残っています。
 ”かにかくに物は思わじ 飛騨人の打つ墨縄のただ一道に”
 (色々と物は思うまい、あの飛騨びとが打つ墨縄<材木へつける印>のようにただ一途に信じよう)
 
 晴海デザインセンターがある東京・晴海アイランド トリトンスクエア内にも「j-homestyle」という飛騨の家具を取り扱うショップがあり、素材と匠の技を生かした家具創りの相談にのってくれます。ぜひ、一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
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