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住まいと暮らしの雑学探検隊

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住まいと暮らしの雑学探検隊 温故知新。「宮大工」の知恵
HOUSING COLUMN
第 76 回

温故知新。「宮大工」の知恵

 慌ただしい年の瀬も過ぎ、新たな一年が始まりました。新年の門出を祝う一月は、初夢、初日の出、初晴、初湯など、おめでたい初づくしの月。中でも初詣は、昔からお正月のちょっとした行楽として楽しまれてきました。今年の初詣、皆さんはもう出かけましたか?
 さて、そこで今年最初の雑学探検隊は、新年の行事、初詣にちなんだお話。お寺や神社の専門家「宮大工」にスポットを当ててみたいと思います。
 見る人をどこか厳かな気持ちにさせる日本の伝統建築。そこに秘められた宮大工の知恵と技を探ってみましょう!

聖徳太子は宮大工!?

 「宮大工」は、日本古来の木造建築を手がける大工さんのこと。つまり、お寺や神社、お神輿などを造ったり、修繕したりする専門家です。
 複雑かつ繊細な寺社建築を扱うには熟練した技術が必要で、その技術は国の「選定保存技術」に指定されているほど。現代の宮大工は、新築だけでなく、貴重な文化財を保存する大切な役割も担っています。

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 歴史をさかのぼると、日本に宮大工が誕生したのは遥か昔、飛鳥時代のことでした。朝鮮半島から来た二人の僧侶が奈良に飛鳥寺を建て、その技術が伝えられたのです。今では想像しにくいことですが、昔のお坊さんは建築技術を持っていることも多く、お寺も自分たちの手で建てていたそうですよ。
 ちょっと意外なのは、一万円札の顔だった聖徳太子もこの僧侶から建築技術を学んでいたこと。聖徳太子は法隆寺や四天王寺の建立でも知られ、大工道具の曲尺を発明したとも伝えられています。そんな理由からでしょうか。聖徳太子は今でも大工の神様として奉られ、大工さんの信仰を集めています。

抜群の美的センスを発揮

 「大工と雀は軒で鳴く(泣く)」という言葉があります。これは、雀は軒でさえずり、大工は軒づくりに苦労する、ということ。美しい軒をつくるということは、それほど難しいことなのだそうです。
 お寺や神社の屋根を見ると、きれいな曲線を描いて軒の端が反り上がっていますよね。宮大工にとっては、この「軒反り」が一番の腕のみせどころ。複雑な計算や技術を駆使して、いかに美しい軒反りを描くかに魂を込めたといいます。
 軒反りへのこだわりに伺えるように、宮大工は“姿の美しさ”を何より大切にしました。建物はもちろんのこと、周りの風景との調和まで考え、正確な数字よりも“どう見えるか”を優先して自由な工夫を重ねたのです。例えば、屋根の前後で大きさを変えてバランスを整えたり、山を背景に持つお寺では、建物を後ろに少し傾けることで真っすぐ建っているように見せたり。日本各地のお寺や神社を修復すると、そんなユニークな工夫がたくさん見つかるのだそうです。

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 古の宮大工がそこまでこだわったお寺や神社ですから、お参りに出かけたら、ぜひ建物にも目を向けてみたいもの。正面から見ることを想定して建てられているので、お寺では正門、神社では鳥居をくぐり、真っすぐ建物を見ることが一番きれいな姿を見るコツだそうですよ。

聖徳太子は大工の神様
聖徳太子は大工の神様
宮大工がこだわった軒 1)
宮大工がこだわった軒 1)

築1400年ってすごい!木を生かす知恵と技

日本初の世界遺産・法隆寺 2)
日本初の世界遺産・法隆寺 2)

 世界最古の木造建築、法隆寺。築1400年ともいわれるこのお寺に象徴されるように、日本のお寺や神社は驚くほど丈夫で長持ちです。木の建物が、地震や台風にも倒れることなく数百年建っている。考えてみると、すごいことですよね。そこには、木を生かし、自然と共存する知恵と工夫が詰まっていたのです。
 よく知られているのが、釘を使わない「木組み」の技術。釘をまったく使わないわけではなく、重要な構造部分にはあえて使わなかったのです。それは、木と木を組み合わせる方が、がっちり固めてしまうよりも地震の揺れを上手に吸収することができるから。木の強さと柔軟な揺れを利用して、高い耐震性を持たせていたのです。
 また、宮大工は木の癖や特徴を見極め、適材適所、木材を使うことにも長けていました。それが木の持つ力を最大限に引き出し、数百年の風雪、災害にも負けない建物を生み出したのです。
 木を生かす技術に加え、調湿効果に優れた土壁や、湿気を防ぎ木材を腐らないようにする礎石(建物の土台)なども、高温多湿な日本の風土と上手に付き合い、建物を長持ちさせる知恵。自然と向き合い、自然を生かすことを真摯に考えたからこそ生まれた知恵と工夫は、実に理にかなったものでした。だからこそ、千年以上の時を経た今でも、私たちの暮らしにしっかりと息づいているのです。

  千年もの昔から、宮大工は惜しみない知恵と工夫で、美しく丈夫な木造の建物を造り上げてきました。自然を見つめ、建物を守るために知恵を絞ったその心意気は、ぜひ受け継いでいきたいもの。環境との調和を大切した先人の教えは、これからの住まいづくりにもきっと生かしていけるのではないでしょうか。

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礎石の上に柱を立てた 3)
礎石の上に柱を立てた 3)

◎参考文献:宮大工千年の知恵 語りつぎたい、日本の心と技と美しさ(祥伝社)
日本文化いろは事典
◎Photo:1) GFDL, 2) 3) GFDL+creative commons2.5

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