キッチンの神さま「かまど神」
一家の食事を支える“かまど”を守っていた火の神さまで、現代ならガスコンロの神さまといったところでしょうか。昔は火事で家を失うことも多く、火を焚くかまどを守ってもらうことはとても大切なことでした。農業や家族を守る神さまでもあり、「おかまさま」「荒神」「ヒョートク」などさまざまな名前で全国各地に伝えられています。
このかまど神は、とっても子だくさん!36人の子どもがいるそうで、関東地方では10月に36個の団子をお供えする風習があったそうです。
メジャーな神さまをわが家に!「屋敷神」
敷地内に小さな祠を建てて祀られる家の守護神。鬼門に祀られることが多く、庭の隅から家をしっかり守っています。この「屋敷神」という名前は単なる総称で、実際に祀られているのはお稲荷さんや弁天さまなどさまざま。仏さまや観音さままでいるそうです。つまり、お気に入りのメジャーな神さまを社寺からわけていただき、わが家にお祀りしている神さまなんですね。
けがれを食べ尽くすトイレの神さま「厠神」
きれいな女性の神さま、盲目の神さまなど、地域によって伝えられる厠神はいろいろ。明確な姿を持っているのはウスサマ明王で、「糞便で築かれた城をいともあっさり食べ尽くしてしまった」という逸話の持ち主。けがれをきれいに焼き尽くす力を持っているのだそうです。
ちょっと意外ですが、厠神は出産とも深い関わりがあり「トイレをきれいにしていると良い子に恵まれる」という言い伝えや、「赤ちゃんをトイレにつれていって厠神に参らせる」といった風習も各地に残っています。
神さまのお留守番「留守神」
読んで字のごとく留守番をしてくれる神さまですが、人が出かけた後を守ってくれるわけではありません。年に一度、神無月(旧暦10月)になるど、神さまはそろって出雲大社に出かけます。神さまの全国集会があるわけですね。そこで、その留守を任されるのが留守神。実際に留守を担う複数の神さまがいて、ポピュラーなのは恵比寿さまだそう。10月には恵比寿さまを祀る日「恵比寿講」がありますから、出かけるわけにもいかないのだとか。
ほかにも、土地を守る「敷地神」、玄関や門を守る「門神」、納戸に祀られる「納戸神」など、家には驚くほどたくさんの神さまがいます。
人にとって家は暮らしの中心であり、一番安心できる大切な場所。そのため、さまざまな神さまをお祀りして、家を災いから守っていたのです。ちなみに、八百万の神々は、その多くが民間信仰から生まれたもの。暮らしを守ることを何より大切にした昔の人の思いが伺えますね。
「七福神」はインターナショナルな神と仏の混成部隊
身近な神さまといえば、今も大人気の「七福神」。すっかりお馴染みのこの神さまが、実はとってもユニークな存在だということをご存知でしょうか。
七福神のメンバーは、恵比寿、大黒天、弁財天、布袋、福禄寿、寿老人、毘沙門天。この中で、純粋な日本生まれの神さまは恵比寿さまだけなのです。大黒天、弁財天、毘沙門天の3神は“インドの仏神”、布袋さまは“中国の僧侶”、福禄寿は“中国の仙人”、寿老人は“中国・道教の神”と、そのほかの6神はそれぞれ異国から日本へとやってきました。
その多国籍ぶりもさることながら、神と仏が混ざり合っていることもとても珍しいことなんです。このユニークな混成部隊は、古来、海を渡ってきた神さまや仏さまを寛容に受け入れてきた日本ならではのもの。明治になると神と仏の分離が行われましたが、「神さま、仏さま!」という神仏頼みは今も健在で、暮らしの風習にはその柔軟な感性がしっかり受け継がれています。素朴に幸せを願った昔の人にとって、神か仏かというこだわりはあまりなかったのかもしれません。
ちなみに、家を支える重要な「大黒柱」は七福神の大黒天が由来ともいわれています。大黒さまは富と豊穣の神として祀られていたことから、一家を支える中心的な存在のことを、大黒柱と呼ぶようになったんですね。

「家内安全」は、今も昔も変わらない一番の願い。だからこそ、こんなにたくさんの神さまを祀って、家を、暮らしを、守ろうとしてきたのでしょう。
神さまをお祀りする家は、だんだん少なくなっているかもしれません。それでも、家を建てるときには地鎮祭や上棟祭を執り行い、初詣に行けばお守りや破魔矢をいただく、そんな風習は暮らしの中に自然と息づいています。
家を、暮らしを守る。神さまに願うその気持ちは、メンテナンスやリフォームといった住まいへの心配りにも通じるもの。そんなことをちょっと意識しながら、ずっと大切にわが家を守っていきたいものですね。 |