Q2-21
住宅ローンを借りる場合、変動金利と固定金利とどちらが有利でしょうか。
A
10年程度の短期で返済できるなら今の金利の低い変動金利型や固定金利選択型を活用すべきですが、30年程度の返済期間が必要なら、固定金利型を中心に検討すべきでしょう。

 住宅ローンは借入金ですから、当然利息を払わなければなりません。その決め方に3種類あります。(1)変動金利型=6ヶ月に一度程度、そのときの金融状況(プライムレートなど)によって金利が変動するものです。(2)固定金利選択(特約)型=一定期間(1年とか2年とか10年とか)の金利を固定しておき、決められた期間が経過したあとは、その時点で新たに固定金利か変動金利を選ぶもの。また、変動金利を再度選ぶときの上限金利を契約時にあらかじめ定めておくものもあります。(3)固定金利型=借入期間中同じ金利のものです。なお、期間中1回だけあらかじめ決められた金利に変更されるものもあります。
 
 現在(平成16年6月現在)は、まだまだ低金利で、金利は先高状態といわれています。そのため、現在、変動金利型についてはおおよそ2.375%(優遇(*)後は1%台)、固定金利選択型の金利でも1%台(固定期間1〜3年間程度・優遇(*)後)というものまであります。一方固定金利型では、平成16年6月現在では、20〜35年固定ですと3〜4%程度になっています。ぱっと見たところでは、変動金利の方がとても得のように感じられますが、本当にそうなのでしょうか。
 
 まず、金利による総返済額の違いを比べてみましょう。

月々返済額表 元金1,000万円。元利均等払いの場合。
(単位 円)
期間
金利
10年 15年 20年 25年 30年 35年
1.700% 90,677 62,979 49,180 40,941 35,480 31,608
2.400% 93,816 66,210 52,505 44,360 38,995 35,216
3.000% 96,561 69,059 55,460 47,422 42,160 38,486
3.400% 98,419 70,999 57,484 49,528 44,348 40,752
3.700% 99,826 72,475 59,029 51,142 46,029 42,497

 返済額の総額を計算してみましょう。仮に30年は360ヶ月ですから、総返済額は1.7%の場合は35,480円×360=12,772,800円。これが3.7%になると43,029円×360=15,490,440円。確かに計算上は2,717,640円の差があります。ただし、これは1.7%という金利が30年間続いた場合です。変動金利型はもちろんのこと、固定金利選択型でも、将来は金利が上がることははっきりしています。それは、各金融機関ともに固定期間が長ければ長いほど金利が高くなっていることでも明らかです。(最近の主な銀行の金利の動向)
 
 (社)住宅生産団体連合会では、金利の変動を想定してある試算をしています。
例 - 1
35年返済の住宅ローンで、当初金利が2.375%で5年後に3.5%、11年目から4.0%と金利上昇があり、以降は平均4.0%で推移した場合。総返済額は、17,354,820円になります。3.0%で全期間固定金利のローンだと、38,486円×420ヶ月=16,164,120円。なんと、3.0%の方が1,190,700円も総返済額が減るという計算になります。
例 - 2
30年返済の住宅ローンで、当初金利が2%で5年後に3.5%、11年目から4%になり、以降平均4%で推移した場合。総返済額は15,783,480円です。(当初3年間1%で4〜10年の間3.5%でも同じような結果になるそうです。)同じく3.0%の固定金利と比較すると42,160円×360ヶ月=15,177,600円と、やはり61万円ほど少なくなります。

詳しくは「金利上昇期の住宅ローン選択 (住団連)」をご覧下さい。
 いずれの場合も、見かけ上は金利の高い固定金利型のほうが有利になります。しかも、金利の動向に一喜一憂することもありません。さらに、これらの計算は、最高の利率を4%と想定していますが、住宅金融公庫の金利でも13〜20年前は5.5%(*2)だったことを覚えていらっしゃる方も多いと思います。また、当時、住宅金融専門会社では10%以上の金利も珍しくありませんでした。そんな過去の金利のありさまから考えますと、将来、金利がどうなるかということは分からないものです。金利の上がり方が大きくなればなるほど、長期固定金利の安心感は相対的に高くなるといえます。
 ただし、つねに固定金利型のほうが有利とはいえません。たとえば借入期間10年ぐらいでの返済計画が組める場合です、仮に3,000万円の借り入れをしたときには、10年で返そうとすると、1.7%の金利でも月々の返済額は、272,031円になります。家賃などすでにこの程度の住居費を支払っている場合には、支払い可能ですから、できるだけ金利の低いローンを利用すべきでしょう。また、退職金などで一括返済の機会が10年程度以内にあるときも、金利の安いローンを使って残る借入金(ローン残債)をできるだけ少なくしておくことが得策でしょう。
 しかし、20年30年で返してゆこうとするときは、長期固定金利ローンを必ず検討に加えておくと良いように思われます。
* 金融機関による金利優遇
給与振込口座に指定するなどその金融機関との取引を増やすと金利が低くなる(優遇される)仕組みです。ホームページなどで、条件を詳しく記載している銀行もありますが、店頭で説明することになっている金融機関もあります。なお、公的支援(公庫買取型)長期固定金利住宅ローンについては、優遇がないことになっています。
*2 住宅金融公庫の金利の推移
1979年6月〜1986年1月まで5.5%。1990年9月〜1991年8月まで5.5%。なお、86〜90年の間は5.4〜4.2%まで下がっていた時期あり。91年以降は低金利時代で、5.4〜2.0%。(いずれも個人向け基準金利)
All Rights Reserved Copyright
Harumi Design Center